あらすじ
人は死を前に、何を見、何を思い、何を考えるのか?
死は誰にも平等に訪れるものです。
それゆえ、古来、人は死を恐れ、「死を思う」ことで自らの存在を見つめてきました。
現代においても未知の感染症の拡大で、死の恐怖を身近に感じる事態が起こります。
本書は半世紀以上前に、死を迎えつつある人の心の動きを、二百人におよぶ患者の聞き取りで解明しようとしたものです。
自分や周囲の人の死をどう受け容れるか。
死について考えるとき、道しるべとなる一冊です。
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Posted by ブクログ
「死ぬ」ということを語ることによって、どこかで苦しみが理解される実感、孤独が和らぐ瞬間があるのだろうか。それは、「死ぬ」ことをタブーとしてきた私達にとって、驚くべきことだろう。もちろん人によって感じ方は様々だろうが、タブーを超えること、またはタブーを受容することによって、生身の私が浮き上がり、機械的ではない対話へ繋がっていくのかもしれない。「言葉をこえる沈黙」は、言葉を交わした後にしかこないのかもしれない。しかし、死の過程の諸段階は、どのような形であれ必ず私に訪れるものだ。それを忘れてはいけない。
Posted by ブクログ
がん宣告されないことも多かった、宣告することが残酷とされていた時代の中、患者はそれでもある程度死期を悟っていたよう。直接的に触れてはいけないものとして扱われており、死に対する医師の考えも今とは全然違うみたいだ。死を目前にした人々にインタビューを行い、死に向かう過程を提唱したキューブラー・ロスのインタビュー記録や、考察を読める。内容の濃い一冊。
Posted by ブクログ
読み初めは退屈でしたが、2章3章と読み進めていくにつれ面白くなってきました。
最初のうちに合わないと思っても断念せずに最後まで読んでみることをおすすめしたいです。
大きなショックを受けた時の感情の移り変わり、そして抑圧された気持ちを認め・解放することがどれほど大切か、さまざまな患者さんたちの話や病院スタッフとのやり取りから浮かび上がってきます。
人に優しくすること誰かの役に立つ事は生易しいものじゃないのだと思わされます。
何かしてもらわなくてもいい、分かってもらいたい、それだけで救われる…という心境は、死が迫る人だけじゃなく生きている人全てに言える事なのでしょう。
どんな生涯であれ自分の内側に立ちかえる事で見える景色が変わるのだと、そっと大きな愛に包み込まれたような気分です。
Posted by ブクログ
『死の五段階説』を提唱したエリザベス・キューブラー・ロスのベストセラー書籍。2001年新訳バージョン。旧訳で「死の瞬間」という邦題が付けられたためそのまま旧タイトルが採用されているが、本来は「死の過程」を意味したものを著述している。200人以上の末期患者とのインタビューを経て、患者自身の死に対する受け止め方や、医療従事者や身内の反応などが報告されている。この書に関しては、キューブラー・ロスの死生観というより、死に瀕した人々が残してくれたメッセージと受け止めたほうがいいだろう。個人的には、穏やかな死の準備は、患者を取り巻く周囲の反応も大きな影響を及ぼすということが、非常に勉強になった。生きているうちに、自らが今後死に向かう過程でどのような姿勢を周囲に発信していくかということを熟考していきたい。
Posted by ブクログ
読み継がれて50年。まさに、万人が読むべき一冊。200人に及ぶ末期患者への直接面接により、死に至る人間の心の動きを探る。
ただ延命をすればいいというわけでもない。患者の家族の意見が優先されがちであるが、死に臨む患者の暗黙の訴えにもっと敏感になるべきである。
Posted by ブクログ
死に直面した人達のインタビューがたくさん載っていて
死ぬ前の不安や気がかりについて色々聞くことが出来る
無意識下では自分は不死身であるという言葉にハッとさせられた
確かに普段からあと1年で死ぬかもしれないとかそういうことを考えてはいないが、可能性としてはいつでも、なんなら明日にでも死ぬ可能性はある
死というのは命が消える瞬間ではなくその過程であるらしい
そして命が消える瞬間は穏やかな身体機能の停止でしかないとのこと
本書を通して死への恐怖が薄れた
死が迫っている人に対してその話を避けるべきではなく、死にゆく人も残される人も死を受けいれた方がお互いに良い結果になるようだ
もし自分も死が迫ってきたらその意識で無理はしないようにしたい
Posted by ブクログ
元々は臨死体験者や末期患者が死を前に何をしたかったか等を書いた物だったけど、続編は死そのものをテーマに、またそれぞれの宗教の死生観等が纏められている。
死はいつか来る。自分だけでなく周りの人達も。受け入れるのはそれぞれの立場があるし、難しくて当然。
私もずっと咀嚼し続けて来たし、今も続けている気がする。