【感想・ネタバレ】科学とはなにか 新しい科学論、いま必要な三つの視点のレビュー

あらすじ

科学を毛嫌いする反知性主義も、過度に信奉する権威的専門家主義も、真に科学的であることはできない。科学の意味を問い直す「新しい科学論」。

専門家だけに任せるの間違っている!
私たちは科学技術とどう付き合えばいいのか?

科学における「事実」とはなにか?
「普遍的な知識の体系」である科学だが、「いつでもどこでも正しい」わけではない。
なぜか? どう考えればいいのか?
科学を毛嫌いする反知性主義も、過度に信奉する権威的専門家主義も、真に科学的であることはできない。
日本の科学技術力はなぜ衰退しているのか?
疑似科学信仰はなぜ拡大するのか?
研究不正を個人の責任にできない理由とは?
科学の意味を問い直す、「新しい科学論」。


【もくじ】

はじめに──新しい科学論が必要な理由

第1章 「なぜ」「どのように」科学について語るのか?

第2章 科学の事実と日常の事実──科学技術の方法論

第3章 科学技術は誰のものか──(1)近代科学の誕生以前は

第4章 科学技術は誰のものか──(2)「科学のあり方」が変質していくなかで

第5章 科学知と生活知──科学技術の飼い慣らし方・理論編

第6章 「二正面作戦」を戦い抜くために──科学技術の飼い慣らし方・実践編

第7章 「今」「ここ」で科学技術を考えること

終章──科学技術を生態系として見る

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

・科学とはなにか、とは、これまで私が考えてきたように普遍的な一意の答えを求めるものではなく、人間社会と切っては切り離せない中で時代にも応じて常に探し続けなければならないことを教えてくれた
・著者の個人的な俯瞰であるとは注釈があるものの、新しい視点を与えてくれて大変な名著であったように思う

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2021年02月07日

Posted by ブクログ

読み終わった。タイトルから原論っぽい印象を受けるが、社会(特に日本社会)における科学のあり方の変容みたいな感じの内容。知らないことがたくさんあった。

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2021年01月12日

Posted by ブクログ

科学に詳しいが“科学者ではない”著者が科学を俯瞰的に見て、生態系に例えて科学に詳しくない人にも噛み砕いてくれる一冊。
とても読みやすくて初心者向けな感じ。
「市民科学」という考え方も初めて知る→

知らないことがたくさんあって、面白かった!

冒頭のアインシュタインの来日写真に一番驚いちゃった時点で、私の科学知識がほぼゼロなのは伝わるだろうし、そんな私が楽しく最後まで読めたので、かなり読みやすいと思う(笑)

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2024年08月19日

Posted by ブクログ

科学とどう付き合っていけばいいか、ずっと知りたいと思っていたことへの答えをの一つバチッと知ることができました。

「論文によると〜」というようなセリフに対して、これってどのぐらい信じていいことなんだろう、という疑問を自分は以前から感じていました。
この本では、その疑問への解を提示してくれてると思います。
科学的事実が確定されていく仕組みや、科学界の内情を紹介する章はとても面白く読むことができました。

また、「科学的事実と価値判断を混同してはいけない」というルールは科学に縁取られた世界を生きる上では極めて大切だと思いました。少し遅めかもしれないけど今このことを知れたことに感謝しています。
最近自分と接点の多い子育て関係の情報には本当に嫌になるくらい事実、価値判断の安易な結び付けが横行しています。
大切なのは自分がいま、ここでどう行動したいか、どう生きていきたいかを考えること、それを実現するために科学を利用、飼い慣らすことだと知り、考えることがもっとシンプルになる気がしました。

価値判断を考える学問である人文学はどう考えても世の中にとって重要であるし、自分個人でもちまちまと勉強していきたいと、改めて思わされました。

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2022年04月20日

Posted by ブクログ

トランスサイエンスやコミュニケーターなど、科学と社会を繋ぐ役割を考えさせられた。社会科学出身者が自然科学と向き合うためにも有用だと思う。

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2021年04月13日

Posted by ブクログ

自身の体験や、科学の歴史的な歩みを追いながら、科学と社会の関係を俯瞰的にみつめ、科学技術のあり方や向き合い方を提案してくれる。示唆に富んだ本。

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2021年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

科学技術をどのように使っていくか?

科学(知識)と技術(力)の社会における在り方や認識を時代を追って特徴を明らかにし、これからの科学技術に携わる者、つまり専門家だけでなく一般の人々含めすべてが、どのように科学技術を扱うべきか述べた本。

科学の知識は何か人が行動するときの理由付けの手段となる。しかしそれは唯一絶対ではないし、行動は善のために、また公共のためにあるべきである。科学的知識は何回もの再現実験を経てようやく確からしいと認定されるが、一般の市民が求めるのは「今、ここの、自分にとって」である。それは夕日の例えからよくわかる。地動説が正しいけれど、夕日は沈むのである。だから専門家はそのような行動を取る市民に対してわかっていないというのではなくて、専門家の知識を生活の実際に良く活かすためにはどうしたらいいかを共に考えてほしい。

サイエンス・コミュニケーションという考え方が東日本大震災後よく耳にするようになった。新型コロナウイルス対策にもこの考え方は重要である。別に理系じゃないし、専門家では全然ないけど、科学的知識を生活に取り入れて、よく生きることから逃れられないのだから。ここでも分断は大きな問題となってくる。エコーチェンバーやフィルターバブルとの戦いは、民主主義社会においてもはや必然であり、しかもなかなか有効な作戦が出てこない。

明確な光は見えないけど、この本で整理された考え方について、これからも考えていきたいと思った。

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2024年01月28日

Posted by ブクログ

科学について語っているのは間違いないし,大事な側面について語っているのだけど,「科学とはなにか」と言われると個人的には「科学研究」あるいは「科学とはどういう営みか」と感じてしまう。

そういう側面がないわけではなし,科学とは科学研究だけではないので,私の認識の問題(偏り)でもあるけれども,本書はどちらかというと「科学知とはなにか」の方が適しているように思う。

でも,実は私のこの認識(科学とはなにか=科学研究or科学とはどういう営みか)自体が古臭いもので,その認識を改めようとした本なのかもしれないと思う部分もある。

10年後にまた読んでみたい。

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2021年02月25日

Posted by ブクログ

 現代社会において科学はいかにあるべきか、一般の人間は科学技術といかに接していくべきかについて、科学の発展の歴史的な経過をたどりながら、読者を丁寧に導いてくれる。

 科学の規範モデル、ロバート・マートンが提唱した理想主義的なCUDOSに対する、ジョン・ザイマンが現実の姿だとしたPLACEという対比
 科学者共同体の共有財産として知識を共有するという古典的な知識生産モデルから、特許による囲い込みに見られる経済原理の侵食。
 1999年に発表されたブタペスト宣言を、今日的にバージョンアップするための考察。シチズン・サイエンス=市民科学の興隆に向けて。

 ほぼ同時期に読んだ『解放されたゴーレム』と重なる部分もあり、科学技術と社会との関係を良いものとしていくことが、正に現代的課題であることが良く理解できた。


 各章のエピグラフは、すべてアガサ・クリスティーの作品からの引用である。著者はおそらくクリスティーファンなのだろうが、まさか科学に関する記述がこんなにクリスティー作品にあるとは驚きだった。

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2021年01月26日

Posted by ブクログ

トランスサイエンス領域。
最後、「人口に占める大学院生率少ない、大企業役員の最終学歴に占める大学院生以上の割合が6%と少ない。アメリカでは修士以上が60%以上(MBAが多いと考えられる)。修士・博士を持っていればいいわけではないが…」確かにそれだけ割合が違うのは気にはなるが、それが具体的に定量的にどういう問題につながっているのかの因果関係がよく分からなかった。あと著者自身が自分の特性を振り返っていて、物事の俯瞰視は得意だが、細かい事象を積み上げて結言するというのは…とあったが、確かに発散的な内容であったように思った。だからこそ科学とはの大きなテーマに向き合えたのだろうとも思ったが、あんまり好きな内容じゃなかった。すみません。

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2025年02月18日

Posted by ブクログ

博士の先輩から、研究室入って初期に読むと良いと言われた本。

主に、科学とは何か、すなわち社会と科学の関係性を、哲学的な立場、研究者としての立場、社会一般人としての立場から、論じるという内容であった。

大学院生という、研究者の卵(卵にもなれてない未受精卵と言っても過言では無い)の立場から読んでいても刺さる部分は多々あった。

アカデミアは、社会を見すえている一方、自然の中で未解明があるからこそそれを知りたいと思って研究していること。しかし、科学技術は、社会のためにあるべきだ!という風潮が高まり、その風に晒され続ける企業研究者はアカデミアに対し、「なんの役に立つのか」という説明をする。

双方誰も悪くなく、社会がそのように出来ているから、難しい。

読んでいて、最初の印象に残ったのは著者の経歴であった。
生態学を専攻し、猿を観察していたら、その観察方法やデータの取り方が、国ごとに違うことに驚き、科学の発展はその土地の文化に密接に関係し、独自の発展をしているのではないかという疑問から、人と科学との関係性へと専門性を移していった。
そのときどきで、自分の興味に向きあい進んできた著者は、美しいと感じた。

正直、1回で全て理解は不可能である。哲学的に、俯瞰的に述べてる点が多いため、飲み込みに時間がかかるし、自身にも共感できる取っ掛りがないとすんなり頭に入ってこない。また、時間を空け、自分を取り巻く環境が変わった時にもう一度読み返してみたい。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

科学とは誰のためにあり、何のためにあるのか。

科学は、事実を語るもので価値を語るものではない。価値を語るのは、人文である。

専門家の鼻持ちならない上から視点はあかんし、科学的視点のあやふやなシロウトの傲慢もまた、害である。答えはその間のどこかに。
必要なのは、科学の「縁側」。
玄関から正面切って科学どやさ、ではなく、ちょっと気軽に上がって、気軽に話ができればいい。
そう言うことなんだろうね。
科学知識は絶対に必要なのだが、生活に必要なのは、必ずしも、科学的な視点ではない。そこに矛盾がある。

読みやすいし、全体に納得なんだけど、人文的価値に立ち入ると弱い感じ。
そっちの知識とか知見が十分とは思えないが、簡単に語ってしまうところは、科学的知見のないシロウトの傲慢と通じるところがあって、面白い。

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2023年04月25日

Posted by ブクログ

科学そのものというより科学技術と社会の関係を中心とした科学技術史という感じ。期待とは少し違った内容だったけどあまり考えていなかった視点や角度もあり楽しめた。特に面白かったのは日本における科学の受容のされ方で明治時代に「科学技芸」という語が使われていたこと。職人による技術や言語化し得ない感覚も含む「◯◯道」との境界が曖昧な受容は、例えば帝国日本軍部の兵士の技芸や精神に至上の価値が置かれたことにもつながりそう。

科学が社会に利するためのものであるか、それと科学が明らかにする「事実」とは別物かという話の歴史的推移も面白かった。

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2022年12月04日

Posted by ブクログ

正直なところ、作者の思い出話しとか科学の歴史とか、第4章まで眠い。読み飛ばせばいい。
本書は第5章から本筋が始まる。ここの出来は良いと思う。

本書はブルーバックスです。
全てのブルーバックスの最終ページにある「科学はむずかしいという先入観を改める表現と構成」なる言葉から逸脱したような本書は誰に書いた物なのだろうか。

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2021年03月07日

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