【感想・ネタバレ】三国志名臣列伝 後漢篇のレビュー

あらすじ

後漢という時代は、ひとの美質のなかで、「孝心(親孝行)」を至上とした。
能力よりも徳を重視し、頭脳よりも心を尊重する国家がつくられた。
184年に始まった「黄巾の乱」により、王朝の礎が揺らぐ中、
後漢の理想を体現する名臣たちが輩出する。

大将軍の何進、
劉備の師である盧植、
曹操を支えた荀彧など7人を描く、宮城谷昌光の「三国志」シリーズ。

解説・湯川豊

目次
何進(かしん)
朱儁(しゅしゅん)
王允(おういん)
慮植(ろしょく)
孔融(こうゆう)
皇甫嵩(こうほすう)
荀彧(じゅんいく)

※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

三国志において、後漢の衰亡に抗った人々の生き様を描く7つの短編集。
時期としては、三国志の中でも、献帝が曹操の手中におさまる以前(つまり魏呉蜀の三つ巴が始まる前の時期)を中心にしている。

何進や朱儁、皇甫嵩など、三国志を読めば必ず目にする脇役たちが、ひとりひとり美点もあれば欠点もある人間として生き生きと描かれていて面白い。

最後に収められた短編は「荀彧」であり、他の作品とは時期がずれている。しかし、読んでいくとどうやら、荀彧を単に曹操の臣でなく、献帝をも支えた「陰徳の人」として描くことで、あくまで後漢の臣と捉え『三国志名臣列伝 後漢篇』に収めたということのように思われて興味深い。
また、荀彧が死に際し、空の器を曹操に与えられた、という謎掛けのような故事について「空の器を王朝であるとみれば、あなたはそれをかかえて死ぬがよい、といったともとれる」と読み解いていたことも、荀彧を後漢の臣と規定するならば、確かに納得できる暗喩だと思わされた。

短編ながらそれぞれ読み応えがあり、また宮城谷三国志を一から読み直したくなる。

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2021年04月20日

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