【感想・ネタバレ】三国志名臣列伝 後漢篇のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

三国志において、後漢の衰亡に抗った人々の生き様を描く7つの短編集。
時期としては、三国志の中でも、献帝が曹操の手中におさまる以前(つまり魏呉蜀の三つ巴が始まる前の時期)を中心にしている。

何進や朱儁、皇甫嵩など、三国志を読めば必ず目にする脇役たちが、ひとりひとり美点もあれば欠点もある人間として生き生きと描かれていて面白い。

最後に収められた短編は「荀彧」であり、他の作品とは時期がずれている。しかし、読んでいくとどうやら、荀彧を単に曹操の臣でなく、献帝をも支えた「陰徳の人」として描くことで、あくまで後漢の臣と捉え『三国志名臣列伝 後漢篇』に収めたということのように思われて興味深い。
また、荀彧が死に際し、空の器を曹操に与えられた、という謎掛けのような故事について「空の器を王朝であるとみれば、あなたはそれをかかえて死ぬがよい、といったともとれる」と読み解いていたことも、荀彧を後漢の臣と規定するならば、確かに納得できる暗喩だと思わされた。

短編ながらそれぞれ読み応えがあり、また宮城谷三国志を一から読み直したくなる。

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2021年04月20日

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