【感想・ネタバレ】騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(上)―(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年10月24日

第2部上では、秋川家、免色、雨田具彦の過去がだんだんと明かされ始めた。

なかでも印象に残っているシーンは大きく2つ。
1つ目は「私」が秋川まりえをモデルに肖像画を描くシーン。
「何かを与えると同時に何かを受け取る。」まりえを描くことを通して、『肖像画を描くという行為=限られた時間に限られた場所でし...続きを読むか起こらない生命の交流』なのだと気づく。
第1部までの「私」は、『肖像画を描く行為=モデルの内部に埋もれていたイメージの発掘』と捉えていた。ギバーとテイカーではないが、画家→モデルという一方通行の関係から、画家←モデルへと相互的な繋がりを感じた...?
穴に関しても、第1部では肖像画同様の解釈で『内なる無意識のメタファー』として捉えていた。しかし肖像画を描くことの意味合いが上記のように変化したことで、『内と外と相互に作用するもの』的な意味合いも持ち始めそう。そしたら、「私」が最終盤に立てた、穴は実は色々な場所に繋がっているという仮説も成り立ってきそう。現実と非現実の間と
か....
もう1つは、肖像画を描きながら「私」が芸術について考えを巡らせるシーン。限られた時間に限られた場所でしか起こらない生命の交流はやがては薄らいで消えてしまう。しかし、その記憶は残り、時間を温めてくれる。そして芸術はその記憶を、温もりを、形に変えてそこにとどめることができる。
私自身、絵を見てその絵を描いた時の気温や風の強さ、周囲の音を想像するのが好きだからとても腑に落ちた描写だった。言語化すると、この感覚はこう表されるのかと感動した。だから絵画は時代を超越して心に語りかけてくるのかと
胸に迫るものがあった。
どんどんまとまらなくなっていくが、「私」と免色が人生について語る場面も考えさせられた。人生における退屈な時間や遠回りを無駄と捉えるか、欠くことできない人生の一部と捉えるか。人生観が違うと、何を第一義に生きるかも全く異なると思うからとても奥が深い問題だと思った。
そわそわするので早く下巻読む!

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Posted by ブクログ 2023年03月31日

主人公が見つけた「騎士団長殺し」の絵。そして、主人公が描いた免色の肖像画、雑木林の中の穴、さらには少女の肖像画。
これらの絵画を描いたのは主人公だが、描き終わってしまうと、それらは何かを訴えてくる。
果たして、その訴えとは?そしてイデアとは何か。さらには失踪してしまった少女の行方や出生の謎。ユズの子...続きを読む供は誰が父親か。など、最終巻に向けて次々と問いかけてくる形。

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Posted by ブクログ 2021年10月29日

・目に見えるものが好きなの。目に見えないものと同じくらい。
・世界は年を追ってどんどん面倒な場所になっていくみたいだ。
・しかし記憶は残る。記憶は時間を温めることができる。
・自分が自由な人間であることを証明する為に、何か馬鹿げたことをやってみるべきなのかもしれない。
・ときどきそうやって原点に立ち...続きを読む戻る必要があります。今ある私を作った場所に。人というのは楽な環境にすぐに馴染んでしまうものですから。
・時間と空間と蓋然性

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Posted by ブクログ 2024年03月01日

いろんなことが巻き起こりますねー。
秋川まりえの行方や、おばさんと免色の関係も気になるところ。
免色さんはおじいちゃんのイメージだったのですが、中年ということなのでもうちょい若いのかな?ダンディーな感じで確かにモテそうだけど、個人的には主人公の方が魅力的に思えます。
続きが気になるので急いで次巻へ!

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Posted by ブクログ 2021年11月23日

「目に見えるものが好きなの。目に見えないものと同じくらい」

「試練は人生の仕切り直しの好機なんです。きつければきついほど、それはあとになって役に立ちます」

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Posted by ブクログ 2021年10月24日

ずっとまりえちゃん居なくなってしまいそうと感じてたけれど…一体どこに行ってしまったんだろう。ユズの妊娠がとても驚いた。村上春樹さん2作目だけど表現が素敵で好きです。

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Posted by ブクログ 2020年11月10日

まりえの口調がふかえり、遠隔受胎のエピソードも1Q84、井戸はまだ読んでないけどねじまき鳥クロニクル、小腹空いたらチーズクラッカー、ウイスキーエッセイの島、めちゃくちゃ村上春樹作品のオマージュある。まりえの失踪あたりからすごいハラハラする。

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Posted by ブクログ 2020年05月30日

あいかわらずの村上ワールド。この作品を適切に評することは難しいのだが、基本的には楽しく読むことができたということは間違いない。ただし、個人的な評価としては『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』や『海辺のカフカ』には及ばない。おもに不満があるのは最終盤で、まず、表現的な問題として、「61」「6...続きを読む2」あたりは秋川まりえ視点の文章が、あくまでも「私」が実際に聞かされたという態で綴られているのだが、そこにもお得意のメタファーなどが頻出することが挙げられる。しかし、まりえは「チシテキ」の意味すら知らないような少女で、本人がそのような修辞を使うとは考えづらい。かといって、単に話を聞いているだけの「私」がそのように表現を変えていると考えることも不自然だろう。要はいきなり「著者」が顔を出しているようなもので、物語のクライマックスというべき部分でこのような表現をされてしまうと、どうにも引っかかってしまう。この部分は非常に残念である。また、その結末の内容自体にも引っかかっていて、夫婦は元のサヤに納まりました、「私」はいまだに肖像画を飽きもせず書いています、というのは、なんだか安物の映画を観せられているようである。ではどのような結末ならばよかったのか、それを具体的には挙げることができずまことに申訳ないのだが、すくなくとも本作のラスト・シーンに違和感を覚えたことだけはたしかであるし、こういう「粗」を見るにつけ、著者もそろそろ衰えてきたのではと思わずにはいられない。

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Posted by ブクログ 2024年04月10日

肖像画家の「私」は、近くに住む免色(めんしき)さんの依頼を引き受ける。

まりえは叔母とやってきて、スタジオで2人きりでデッサンを始める。まりえが気にしていたのは、自分の身体的なことだった。そんなことを口にする少女っていないと思うけど。

妻のゆずから手紙が届く。離婚届にすぐに捺印をありがとう。妻も...続きを読む何を考えているかわからないわー。

叔母は免色に興味をもったようだった。車の話で意気投合する。まりえは警戒している。

まりえのお父さんは、ある宗教団体にのめり込んでいた。妻の死がきっかけ。なんてこと。

友人の雨田(あまだ)から、有名な日本画家の父の弟の話を聞く。戦地に連れて行かれ、壮絶な体験をして生きて帰ったけれども、自分を死に導いた。遺書にはそのことが克明に記されていたそうだ。

「かもしれない。」という描写が多いなー

免色と秋川のおばがつながった!まりえは気づいた。見られていると。

まりえがいなくなった!穴の絵が出来上がったから消えたのではないかと言う「私」の憶測。

免色さんとほこらの穴にいく。ペンギンのプラスチックが置いてあった。まりえのものだった。護符のために置いたのかもしれない。

騎士団長が出てきた。「〜あらない」という言い方が面白い。まりえを救い出すためのヒントは明日の午前中にかかってくる電話に必ず答えること。

次巻に続く。

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