【感想・ネタバレ】放課後探偵団2 書き下ろし学園ミステリ・アンソロジーのレビュー

あらすじ

大好評を博したアンソロジー『放課後探偵団』が10年の時を経て復活! 第22回鮎川哲也賞受賞『体育館の殺人』にはじまる〈裏染天馬〉シリーズが大人気の若き平成のエラリー・クイーンこと青崎有吾、『楽園とは探偵の不在なり』で注目を集める斜線堂有紀、〈響け!ユーフォニアム〉シリーズが大ヒットし話題を呼んだ武田綾乃、『あの日の交換日記』がスマッシュヒットした辻堂ゆめ、『タスキメシ』などのスポーツものから吹奏楽など幅広い形の青春ドラマを描き続ける額賀澪。以上1990年代生まれの俊英5人が描く、学園探偵たちの推理と青春。【収録作】武田綾乃「その爪先を彩る赤」/斜線堂有紀「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」/辻堂ゆめ「黒塗り楽譜と転校生」/額賀澪「願わくば海の底で」/青崎有吾「あるいは紙の」

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「その爪先を彩る赤」は、多重人格を装う必要性がよくわからなかった。さらにはあまりに露骨なヒントでねらいが読めなかったなぁ。総じてキャラ設定の意味を十分に活かせていない気がする。長編だと違うんかな?

「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」は、妙に淡々としていたがトリックはよかった。というか、淡々としていたからトリックの良さが際立ったのかもしれない。高校という世界をどのように色づけるかは、世界観だけではなく、トリックの受け取り方まで変えるんだなと改めて思った。

「黒塗り楽譜と転校生」は、転校生って必要?って感じの扱いになっちゃった気がする。タイトルにつけて一定の役割を期待したのだとは思うけど、作品全体としてはむしろマイナス方向ではなかろうか。今回の謎の本質をよりプラスにさせるためのテクニックだったと仮置きしても、それでもなお悲しい存在になっちゃってるなぁと思う。3枚目にもなりきれない的な。

「願わくば海の底で」という作品は、海の底で、もしくは海の底に何を願うのかという、タイトルをどう受け取るかで事件との距離感を変えてしまう難しい作品かもしれないと思った。それがまだまだ誰の記憶にも新しい震災だからということではなく、人の生き死にには、特に残された人にとっては当人にしかわからないことがあるという大前提をミステリーの伏線にしたところだろうと思う。ミステリーは誰にとってもフェアでなければならない。イレギュラーな形で人を失う辛さを、誰しもがもつ感情や意図で隠さなければならない状況を持ち込むことでそのフェアさを担保したという。短編だから表現できたのかもしれないね。長いと震災のイメージがデカくなりすぎるかもしれない。

「あるいは紙の」は、高校というおそらく10代のそれなりに濃密な時期が、こうした日常の謎で彩られていたかもしれないというある種の夢をリアリティをもって見せてくれた(つまりは自分の高校時代は多分もっと平凡だった)。新聞部の矜持とかいうことではなく、おそらくただの若気の至りなんだろうけども、何をするかより、誰とするかみたいなところで主人公の彼は、裏染と向坂にアテられたんだろうな。
ただ、タイトルの意味がわからなかった。向坂が無理をしてる理由もよくわからないままな気がする。今回の事件の前の2つの殺人事件を経て、もしかしたら向坂は裏染の立ち位置が広がってることになんかちょっと焦ったのかもしれないね。

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2023年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 ☆「その爪先を彩る赤」(武田綾乃)
生徒会でこき使われてるボクっ娘が、多重人格と言い張る理事長の娘とともに、演劇部の小道具(赤い靴)盗難事件の謎を追う。
 ☆「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」(斜線堂有紀)
文芸部の部室で部員が殺された謎を、奇人の部長が解く。ほのぼの系が多い中で、オチの付け方など、かなり異質。
 ☆「黒塗り楽譜と転校生」(辻堂ゆめ)
合唱コンクール用の楽譜が黒塗りにされた理由を、語り手の少女の、幼馴染である変わり者の男子が解く。リア充滅せよ。
 ☆「願わくば海の底で」(額賀澪)
これもトーンが重い。3.11で消息を断った祖父の足跡を追う青年を、手伝うことになった語り手。彼の美術部での先輩もまた、震災で行方不明となっていた……。これミステリになるのかな、と思ってると。
 ☆「あるいは紙の」(青崎有吾)
裏染天馬シリーズのスピンオフ。本来ブレーキ役の新聞部副部長が、彼なりに探偵役を務める。このシリーズ食わず嫌いで読んでなかったけど、読んでみようかな。

以上5作。学園モノだからか、探偵役のキャラが濃い話が多い。そのせいでシリーズ物の第一話みたいだな、と感じた。実際にシリーズ物なのは、「あるいは紙の」だけのようだが、案外このキャラで別の話が書かれるかも知れない。

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2020年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

それぞれの作者の個性が出ていて面白かったですね。

東日本大震災を舞台にした「願わくば海の底で」は考えさせられましたね。あの状態で何ができるのか。推理小説だけにとどまらないものがありました。

学生時代は一度きりだけど、人生は続くわけで、その一時だけが特別とも思わない私ですが(学校大嫌いだったし)、読書として楽しむのは構わないですよね。

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2020年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久方ぶりの裏染シリーズ「あるいは紙の」。久しぶりすぎて、あれ、こんなんだったけ? 次作の伏線っぽいのがあったけれどもどうなるのか。他作品はおいおい読んでいきます(2021/2/13記)。

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2021年02月13日

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