動物実験などに対し過激な手段をとるテロ組織「動物解放同盟(ALA)」がカリフォルニア州の生物科学研究所を襲撃。
そこにいた動物を解放している中で見つけたのが、出産間近のチンパンジーでした。
運び出されたチンパンジーは無事出産をするのですが、驚くべきことに生まれた嬰児は人間とチンパンジーの交雑種「ヒューマンジー」だったのです。
ヒューマンジーはチャーリーと名付けられ、チンパンジー研究の権威スタイン博士夫婦に引き取られます。
成長したチャーリーは服を着て二足歩行をし言葉を話し、見た目はチンパンジーっぽさがありますが人間と変わらない生活を送っています。
高校に通うことになったチャーリーですが、学校では注目の的で…。
読み始めた最初は、人間を超えた生命体が生まれ人間を脅かす存在になる…といったSFかと思いました。
しかしこの物語はそんな簡単な構造ではありませんでした。
それを最初に感じたシーンが、チャーリーが学校で仲良くなった陰キャの優等生ルーシーとの会話です。
「ヒューマンジーなのってどんな感じ?」
というルーシーからの質問に対し、チャーリーは
「人間なのってどんな感じ?」
と聞き返すのです。
ルーシーは無意識にチャーリーを人間ではない異物と考えて質問をしてしまったのです。
正に「潜在的の差別意識」を比喩したシーンだと思います
また、チャーリーと両親がヴィーガン(動物への搾取と残酷さを排除しようとする考え)である事に対し、スクールメイトがヴィーガンの平等性を揶揄しました。
その際、チャーリーが平等について考えを述べるのですが、人間の考える「平等」とは異なる「平等」でした。
それは人間第一主義からするとゾっとする考えだったのです。
このように、この物語は随所で「差別」と「平等」を考えさせられます。
そんなある日、町で爆発テロが起きます。
犯人はチャーリーの産みの親のチンパンジーを解放したALAでした。
彼らは人間だけを特別視せず、すべての動物の平等を目指し、反する人間に鉄槌をくだすことを知らしめるため、更に過激な手段を選んだのです。
そんなALAは彼らの戦いにチャーリーを巻き込むことを画策します。
「人間だけを特別にする理由はあるの?」と問うチャーリーの平等はALAの目指す平等と近しいような気がします。
しかし、今まで両親としか接してきていなかったチャーリーが色々な人と出会い、多くの人間を観察することでどう変化していくのか…。
最初はSFかと思いきや、中盤はヒューマンドラマ、後半に至ってはサスペンス要素があり、1巻だけでも充実感が凄いです!!
序盤でこんなに面白くて、続きはどうなってしまうのか…。
チャーリーが生まれた意味とは?
ALAの戦争に巻き込まれてしまうのか?
気になることがいっぱいです!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
謎は深まるばかり
チャーリーの実の父親の話やルーシーの過去など仄めかしの形で新たな伏線がはられて今後のストーリー展開が読めない。チャーリーの格闘シーンも多くアクション漫画としても楽しめる巻。養父母が殺されてしまってチャーリーの表情描写が変わったが、闇堕ち展開もあるのか?
Posted by ブクログ
リナレスはチャーリーの通っている学校の筆頭株主でもあり、自らの目的のために スタイン夫妻にチャーリーの保護をお願いしていたのだが、スクールシューティング事件と、ALAがチャーリーをリーダーに指名したことを受けて、スタイン夫妻にしばらくはチャーリーを敷地から出さないように命じる。
しかしスタイン家に街の長達がやってきて、シューティング事件を受けて街から出ていくように要求する。この要求を夫妻は断るが、街の不満は頂点に達しており、グラハム保安官が夫妻の説得に当たるもうまくいかない。
チャーリーにルーシーが好きという感情が芽生え始める。チャーリー捕獲のために暗闇を縫ってルーシーを誘拐、森におびき寄せるALA。しかし捕獲部隊を蹴散らし、ルーシー監禁の小屋でファイヤーアーアベントと対峙するチャーリーに、彼はチャーリーの遺伝子上の父親であるディヴィッド・グロスマン博士の謎を告げる。
しかしチャーリーが不在の間に、スタイン夫妻は殺され、その家には火が放たれていた。
物語の主要な登場人物であるスタイン夫妻があっさり殺され、謎も深まった。ハリウッドのサスペンスみたいな展開。