【感想・ネタバレ】ダブルハーベスト―――勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザインのレビュー

あらすじ

「AI実装の現場」を熟知する2人が、戦略的導入のフレームワークを解説!アフターデジタル世界で勝ち続ける「何度でも稼ぐ仕組み」とは? 「結局、ウチの会社でAIってどう使うの?」と思ったらまず読む決定版!!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある作業をデジタルに置き換えただけの直線的なデジタルシフトではなく、AIに新しく学習させるためのデータを自走的に作り出して再学習させるループを何重にも回していけることが重要という点はとても腹落ち。この点、前職の事業会社でDXの名の下で行われてたことも思い返せば前者だったのだなとなかった視点。所々、それは本当に差別化できるユニークなループなのか疑問な点はあったものの総じて新しい視点が得られた。特にユーザーインザループの構造で、ユーザーが気づかない無意識な行動で新しくデータを生み出させるGoogleの例は面白く、行動と結びついたUXのデザインと密接に結びついていくのだなと思いながら読み進めてたらその通りに書いてあった。

0
2023年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

■単なるコスト削減にとどまらない
- [ ] 入力作業から解放された担当者がセールス業務に注力したことで、売上アップに繋がった。つまり、データ入力というのはセールス担当者にとっては余計な仕事にすぎないわけで、それを免除されれば、本来彼らにしかできない仕事に専念できる。
- [ ] 「業務標準化」の価値はコスト削減ではなく売上エンジンへの更なる注力となる。

■自社事業やサービスをつくらず全てをAPIやSaaSで賄おうとする弊害
- [ ] 自社にデータを貯める仕組みが無いため、強いループ構造を生み出すことができない。
- [ ] 最近複数のSaaSを提供されている企業は特に痛手になるのではないか?自社で新規事業を生み出す必要がある。
- [ ] そのため、ただのSaaS提供は別の不を産み出している可能性がある。新規事業とSaaSをセットで提案するのが顧客目線な気がする。
- [ ] コスト削減以外のアウトカムを提供する。


以下メモ。

ダブルハーベスト 勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン
 
「技術」から「戦略デザイン」へ
〜AIブームの背後で起きた「ゲームチェンジ」に気づけているか〜
・肝心なのは「AIをどのように企業の戦略の中に組み込んでいくか」。
 
■日本企業には「勝ち続ける仕組み」が欠けている
AIがコモディティ化し、ゲームのしょうてんが「技術」ではなくなった今、求められているのはAI活用の「戦略デザイン」。これからのビジネスは以下を問うべきフェーズに来ている。
アフターデジタルの世界においては、人々のリアルな体験=UXを通じて人々の行動データが集まってくるようになる。行動データをAIによって解析すれば、人々の行動をなめらかにサポートできるようになる。
・AIを取り入れることで、御社の持続的な競争優位性を高められるか?
・AI実装によって何重にも利益を生み出すループを描けているか?
・御社のAI活用は勝ち続ける仕組みをデザインできているか?
 
■「DX=デジタルシフト」という致命的な誤解
・AIは目の前の勝負に「勝つための手段」では無い。むしろAIは「勝ち続けるための仕組みづくり」においてより大きな威力を発揮する。
・そのためには、AIがより賢くなるようなループ構造を作って回すのが第一のステップとなる。だが、ほとんどの企業はこの段階でつまずいている。ループ構造がつくれていないから、せっかくAIを導入したのに、大した効果が得られないのだ。
・そのため、蓄積されたデータによって、AIの精度がどんどん高まっていくループ構造をつくるのが当面の目標となる。それができるだけでも、競合に対するアドバンテージとなるだろう。だからこそ、もはやAIの本質は、技術論ではなく戦略論の方にある。
・そこで必要なのは、競争力の源泉を1つだけつくって満足するのではなく、二重、三重のループをつくって、複数の競争優位を築くことである。これこそが「ダブルハーベスト」の狙いであり、デジタルを駆使して会社を丸ごと進化させるDXの1つの理想形といってもいい。そこまでやってはじめて「AIを使いこなした」といえる。
 
■AIと人間のコラボレーションの価値は、単なるコスト削減にとどまらない
・世界有数のメガバンクグループ「HSBCホールディングス」のケース。ローン審査にまつわる書類の入力作業を1万人以上のセールス担当者がそれぞれ行なっていた。その作業の一部をAIによって自動化したところ、単なるコスト削減以上の効果があった。
・入力作業から解放された担当者がセールス業務に注力したことで、売上アップに繋がったから。つまり、データ入力というのはセールス担当者にとっては余計な仕事に過ぎないわけで、それを免除されれば、本来彼らにしかできない仕事に専念できるということ。
 
■AIの学習にユーザーを取り込む「ユーザー・イン・ザ・ループ」
・AIと人間のコラボは、社内人材やエキスパートだけにとどまらない。ユーザーに参加してもらってAIの精度を上げていく「ユーザー・イン・ザ・ループ」というアプローチもある。その典型は、グーグル翻訳の右下についている翻訳結果のコピーボタンだ。
・今まではグーグル翻訳で訳された結果が使われているのか、使われていないのか、グーグルには把握できなかった。
・ところが、ここにコピーボタンをつけたことによって、使われたかどうかが分かるようになった。コピーされたということは、その訳が正しい(あるいは使える)とみなされたわけで、翻訳結果が正しいかどうかという判定をユーザー自身がしていることになる。それによって、AIが学習するための教師データがどんどん溜まっていく。
・さらに、もしユーザーが翻訳結果に満足しなければ、AIでも分かるように、文章表現を簡単にしたり、主語述語の関係をはっきりさせたりして、似たような言葉を入力し直すこともあるだろう。すると、コピーボタンを押さずに再度入力された文字列が、翻訳結果のズレを修正するためのトレーニングデータになる。これがユーザー・イン・ザ・ループの破壊力だ。
・コピーボタンを置いたからといって、グーグルはユーザーに何かを強制したわけではない。ただ、翻訳結果をコピペしたい人にとっては、ボタン一発でコピーできた方が便利だという「UX(ユーザー体験)の改善」に過ぎないのだ。
・しかし、その延長線上で、AIのトレーニングデータが自然と溜まっていく仕掛けになっているところがすごいのだ。まさにデータを育てて収穫する「ハーベストループ」の考え方そのものだ。
 
■AI戦略は水平分業から垂直統合へ(E2E学習)
●出来合いの機能を組み合わせればすぐに始められる。
・学習によってAIをどんどん賢くしていくためには、教材となるデータを育て、収穫する仕組みをつくる必要がある。私たちはこれを「ハーベストループ」と呼び、いち早くグループ構造を回すことを目指している。
・一方、すでに述べたように、AIは既にコモディティ化して、誰でも安く利用できるようになっている。今や利用可能なさまざまなAIのモジュールが公開されていて、それらを組み合わせるだけで、誰でも簡単にAIの恩恵を享受できる。
・そのため、手っ取り早くハーベストループを回すには、利用可能なAPIやライブラリから必要な機能を引っ張ってきて、それらをレゴブロックのように組み合わせるだけでいい。それだけAIは身近な存在になっているわけだ。
■借り物は借り物でしかないという現実
・グーグルを筆頭に、すでに学習済みの有用なライブラリがいくつも公開されているので、そこから定評のあるものを選んで組み合わせればいい。借り物のパーツの寄せ集めでも、全体で65%くらいの精度はすぐに実現できるだろう。それだけでもかなり負担が軽減されるはずだ。
・ところが、こうしたアプローチでは、AIを自分たちの思ったように賢く育てることはできない。公開されたライブラリは、ある特定の機能を提供してくれるだけで、再学習する機能はほとんど提供されていないからだ。
・もっとこうしたい、こういう風に使いたいというファインチューニング(微調整)ができてはじめてAIを賢く育てられるわけで、最初からそうした機能が提供されていなければ、いつまでも精度65%のまま利用し続けるしかない。ループを回すことで学習用のデータを自動的に収穫し、それをAIに再学習されることで精度を上げていくのが本来の狙いなのに、再学習する仕組みが無ければ、AIは永遠に同じ精度のままだ。
■AIを賢く育てるにはE2E学習が不可欠
・そこで、次に求められるのが、自前でAIモデルを構築することだ。パーツの寄せ集めを脱すれば、最初から最後まで一気通貫でAIをトレーニングすることができる。これを「E2E(End to End)学習」という。E2E学習は、ハーベストループを回し続けるための前提となる。
・つまり、スタート時は何よりもスピードが大事なので、ありもののAPIやライブラリを組み合わせていち早くAIモデルを実現する。しかし、いったんモデルができ、ループが回ってデータを収穫できるようになったら、出来るだけ速やかに自前のシステムに移行して、E2E学習でAIを賢く育てていく。こういう二段構えの取り組みが求められているのだ。
・E2E学習が有利なのは、最初から全体最適を目指して訓練できるからだ。自分たちの目的に応じて独自に育て、収穫したデータを自前のAIに与えて、自分たちで再学習を進めるからこそ、精度を上げていくことができる。最終的に85%以上という高い精度を実現できれば、借り物のパーツでシステムを組んだライバルよりも2割増しで優位なポジションにつけられる。それだけ精度に差があれば、コスト競争力上でも優位だし、AIによって実現するサービスの質にも開きが出るだろう。
・APIやライブラリの組み合わせだけでは、差別化のための戦略デザインが完成しない。E2E学習の考え方を取り入れていかないと、これからの競争に勝ち残れないことは肝に銘じておくべき。
■AIが実現する5つの「最終価値」
・1.売上増大
・2.コスト削減
・3.リスク/損失予想
・4.UX向上
・5.R&D加速
 
■AI導入を戦略デザインに組み込むための基盤づくり
・AIを使ってある価値を実現したとして、それを1回限りの勝利にしないためには、AIが学習するためのデータが半ば自動的に入り続ける構造をつくる必要がある。それによってAIを育て、勝ち続けるためのハーベストループを回し続ける。
 
■「機能」と「データ」のかけ算で「最終価値」を実現する
・「最終価値」は「機能(Function)」と「データ(Data)」のかけ合わせによって実現される。
 
■「UVP」をキープするのが戦略立案の目的
・戦いに「勝つ」とはどういうことだろうか。「市場で1位になること」という捉え方では単純すぎる。むしろ、ここでは「自分たちが決めた軸で1位になること」を定義したい。
・そして、ライバルよりもユーザーに対して手厚いフォローアップをするにはどうすればいいかを考え抜くことで、戦略が見えてくる。
・最終的には、ユーザーに選ばれなければトップになれないので、「顧客に対してどのような価値を提供するのか」という視点を抜きに、戦略は語れない。他者には無い唯一無二の価値を提供するという意味で、これを「ユニークバリュープロポジション(UVP:Unique Value Proposition)」と呼ぶ。
・UVPがあれば、他社に対して競争優位になる。他とは違う自分たちだけのユニークな価値を提供できるから。そして、「勝ち続ける」というのは、そのユニークさがずっと維持されている状態を指す。
・UVPを維持するには、ユニークさを不断に追求し続ける必要がある。さもなければ、一時的にユニークな価値が提供できても、やがて他社に追いつかれる危険がある。
 
■データを“狩る時代“から“育てて収穫する時代“へ
・AIがブームになる少し前は、ビッグデータという言葉が流行っていた。データを握ったものが勝者になるという意味で、「データ・イズ・キング」と考えられていた時代だ。しかし、単にデータをたくさん持っていれば勝てるというのは幻想に過ぎないことが分かってきた。
・ビックデータ時代にもてはやされたのは、すでにあるデータをどう活用するかという発想だった。典型的なのが「こんなデータが取れました」「こんなデータもあります」「それを使えば、こんな傾向が読み取れます」というパターンで、大量のデータからインサイト(洞察)を抽出して、それを競争力に繋げていこうという考え方が主流だった。
・ビックデータ時代にもてはやされたのは、ストック型のデータだった。しかし、AI時代に使い勝手がいいのはどんどん流れてくるフロー型のデータであり、フロー型のデータを扱うには、データがリアルタイムで入ってくる体制をいかに築くかが勝負を決める。
・ビッグデータ時代は既存のデータを探して狩る狩猟の時代だったと表現できる。だが今は、必要なデータを自ら育て、できたそばから収穫する農耕の時代に突入した。
・そして、データを育て収穫するサイクルこそが、本書が提唱するハーベストループに他ならない。データを握った者が勝つのではなく、リアルタイムでデータが入ってくるループ構造をつくった者が勝ち続ける。「データ・イズ・キング」ならぬ、「ループ・イズ・キング」の時代の到来だ。
 
■AIプロジェクトに向いているのは「生データ+アジャイル型開発」
・今では、どんなデータが必要なのかを最初から決めなくてもいい、という見方が新たに広がってきた。つまり、とりあえずテキストデータを全部残したり、現場の様子を丸ごと録画・録音したりしておいて、そこから何を抽出するかは、運用しながら考えていけばいいし、状況に応じてどんどん変えていけばいいという発想。
・とにかく見切り発車でも始めてしまえば、あとからいくらでも調整できる。その意味で、AIプロジェクトというのは、走りながら考えるアジャイル型の開発に向いている。中小企業でもAIに取り組みやすいのは、アジャイル型だと初期投資が少なくて済むから、という面も忘れてはいけない。
 
■人間にしかできない仕事にメスを入れる
・今まで構造化できなかった領域にこそ、人間にしかできない仕事が含まれている。いわゆる職人芸の世界だ。属人的な要素が強すぎて、うまく言語化できない。あるいは言語化されてこなかった領域にメスを入れて、その一部だけでもAIで代替することができれば、レバレッジが効く。
・すでにある程度自動化できていた部分でAIを使っても、効果は限定されるのに対して、これまで自動化とは無縁だった職人芸の世界で、たとえ3割でも自動化できれば、その効果は絶大だ。
・職人の勘と匠の技で培われてきた世界にAIで切り込めば、今まで個人間でしか伝承できなかった技の一部が横展開できるようになる。親方の背中を見ながら10年かけて身につけた知識と技が、たとえ一部であってもAIによって代替できれば、相当な強みとなる。
 
■データを複数つなげば無敵になる 自社しか持てないリンクデータ
●自社固有のユニークなデータとは何か?
・ハーベストループを回すときは、どんなデータをためればいいのかというのが中心的な議論になる。誰でもためられるようなデータでは、他社と差別化できず、戦略上の価値はあまりない。そこで、ここでは「データをためる時のコツ」を紹介していく。
・どんなデータなら、ユニークといえるのか、他社に真似されにくいデータ、自社にしかためられないデータとはどんなものなのだろうか。この問いかけがすべての出発点となる。
・結論からいうと、データを単独で持っていても、実は、大した効果は期待できない。そうではなく、いくつかものデータをお互いにリンクさせることで、他社にはない、ユニークなデータが手に入るのだ。
・たとえば、オンライン英会話サービス。そのようなビジネスを展開している場合、おそらく授業のあとに毎回簡単なアンケートに答えてもらえば、顧客満足度のデータは簡単に取ることができる。しかし、それだけでは、講師の評価には使えるかもしれないが十分ではない。たとえば、レッスンの様子をすべて録画するようにすれば、何が起こるだろうか?生徒の表情データを元にすれば、顧客の感情分析ができる。とはいえ、これだけでもまだ、「その企業だけのユニークなデータ」とはいえないかもしれない。表情データそのものは、Kaggleなどを探せば、オンライン上にたくさん見つかるからだ。
 
●複数のデータをつなげればユニークネスが生まれる。
・しかし、ここで、顧客満足度と表情データをリンクしたとすると、どうだろうか。この表情のときには満足していて、この表情のときには満足していないということが関連づけてデータ化される。このデータはオンライン上に転がってはいないし、他社には取れないデータである。
・さらに、生徒の学習の進捗データともリンクさせてみよう。すると、満足度は高くても、学習進度は遅く、悩んだ顔をしている。といったことが分かってくる。学習進捗データと表情データと満足度データの3つをかけ合わせると、いろいろなことが分かる。
・しかも、進捗データがあれば、パーソナルラーニング(学習状況に合わせた個別指導)の領域に入ってくる。1人ひとりの個性に合わせたパーソナライゼーションは、差別化戦略の王道の1つだ。
・それだけではない。さらに講師の表情データ、声のトーンのデータなども合わせれば、講師サイドのクオリティ向上やトレーニングにも役立てることができる。生徒のUXが向上し、講師のスキルもアップする。ダブルで効いてくるから、非常に強力なループとなる。
・複数のデータをリンクさせればさせるほど、それを1つにまとめて持っている人が他にいる可能性はゼロに近づく。そのデータも、生徒や講師個人のIDと紐づいているから、その価値は右肩上がりで増えていく。
・このように、データとデータをリンクさせるというのが最大のポイントだ。単独では大した価値を生まないデータでも、複数集めてつなげれば、思わぬ価値を生み出す可能性がある。データは王様ではなくなったが、リンクデータには大きな価値がある。
 
■「どうやるか?」よりも先に自問すべきことがある
・「戦略」の観点だけではビジネスは成り立たないというのも事実。
・事業で最も大事なのは、「どうやるのか(HOW=戦略)」ではなく、「なぜやるのか(WHY=目的)」。

0
2021年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

aiをいかに戦略に組み込むかということに関する本。わかりやすく面白い。
human+machineと同様aiのあり方関係性について論じられているのがよい。

メモ
・戦略デザインの視点
 aiにより持続的競争優位を高められるか
 aiにより何重にも利益を生み出すルールを描けているか
 aiは勝ち続ける仕組みをデザインできているか
・競争優位は厳選を1つではなく、二重三重に複数築いていくという発想。
・ヒューマンインザループの三パターン
 人力検査型 全チェック
 人間バックアップ 時々サポート
 監査型 確信度低い時だけサポート
・e2e学習 end to end 一気通貫でのaiトレーニング
・aiが実現する5つの最終価値
 売上増大
 コスト削減
 リスク損失予測
 ux向上
 r&d加速
・ai活用で期待できる機能
 認識、予測、対処
・重要なのはユニークバリュープロポジション。いかにこれを最大化し続けられるか。
・ai活用によりまず、uxの向上につなげる。
・精度が85-95%に近づくと、aiが解けなかった問題を人間の手でファインチューニングすることに比重がうつっていく。飽和点に近づくほど例外処理作業が増えていく。
・ループ構築例 契約書ai ドキュメントデータ、フィードバックデータ二つを学習サイクルに。
・自社業務で手に入りやすいデータを考える。データを使ってaiがどう強化され得るかを考える。
・モービルアイは画像処理ai強化と位置情報リアルタイム紐付けという二つのループを構築している。
・ハーベストループ実装ステップ
 ストーリーを完成させる
→KPIに落とし込む
→推論パイプラインのデザイン
→初期データの特定と準備
→初期実験とファインチューニング
→蓄積データの型特定
→uxuiデザイン
→実装とデプロイ
→クオリティチェック
→実運用と継続効果検証
・エクスペクテーションサンドイッチ
 望ましい水準と許容できる水準を設定し、挟み撃ちでこれのズレを減らしていく。

0
2021年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルの意味は、1回収穫して終わりではなく、AIを組み込んだ戦略を正しくデザインし、自走する仕組みを作ることで、二重に実りを収穫し続ける、という意図だそうで、AIの技術論ではなく、AIを活用したビジネスのあり方について述べた本。
この収穫を得続ける=他社に勝つだけではなく、勝ち続ける仕組みが重要で、AIというと、自動化する、人の手間を省くというイメージが先行していますが、少なくとも実務ベースの効率化と金融ベースの収益の拡大、という二重のループがどんなビジネスでも理論的に可能であり、そのループ(仕組み)を回し続け、他社は追いつけなくなるはず、というのが最大のメッセージ。

割と初めの章で、「3人で行っているチェック作業が一人で済めば効率は3倍よくなる」、「3割自動化するだけでもコストダウンにつながる」とありますが、自動化した分だけ、違う人の手間がかかっている企業や部署も多いのではないか、とも感じるので、通常業務のどこにAIを組み込んで、どのようにアウトプット出していくかということを、ビジネスができる人とAIが分かる人がうまくタッグを組まないといけないだろう、というのが所感。2章に、システムの範囲内でけでみるとAIで効率化できる部分は限られる、と述べており、むしろシステムの外側で人間が作業している部分に着目すること、という指摘は確かにその通りなので、明日から会社にいって、よしやこれをやろう、とならないのがもどかしいです。

AIを活用した、人の作業を減らせるなら、本当にそうしたいと考える人は多いのではないでしょうか。会社の偉い人から「これからAIだ。なんでもいいからやれ!」と本には、よくわかっていないにくせに、キラーパスを不運にも、もらってしまった人などには、いいのではないでしょうか。

なるほどと思ったのは、AIは最初の精度はいまいちで、データを与え続けて賢くなるという性質上、開発案件などでよく使われるウォータフォール型の思考で進めるとうまくいかないことが多い、というのが印象に残りました。

0
2021年07月23日

「ビジネス・経済」ランキング