あらすじ
※2020年8月8日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。
大ヒットシリーズ第5巻が文庫化!
八咫烏の支配する異世界「山内」の謎が明らかに
高校生の志帆は、かつて祖母が母を連れて飛び出したという山内村を訪れる。そこで志帆を待ち受けていたのは、恐ろしい儀式だった。人が立ち入ることを禁じられた山の領域で絶体絶命の少女の前に現れた青年は、味方か敵か、人か烏か? ついに八咫烏の支配する異世界「山内」の謎が明らかになる。荻原規子氏との対談収録。
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Posted by ブクログ
"名前"と"認識"が印象的に描かれていた。山神と玉依姫が椿と志保であったように、奈月彦も自覚と他者からの認識があれば奈月彦としての自我を感じることができるのではないだろうかと考えてしまう。
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金烏と同じように、玉依姫も代々の記憶を持って、体を乗り移っているようで。
でも志帆の意志や感情は消えてなくて、
そうすると若宮もやっぱり感情はあるんじゃないかな。護衛が山神に殺されてしまったとき、感情がないようには思えなかった。
死んでしまった護衛が誰かも気になる。。
雪哉、無事でいてくれ。。
志帆の他人の幸せが自分の幸せ、っていう考え方は、素晴らしいのかもしれないけど、身内は辛いなとも思う。
自分の幸せを考えて欲しいって、親や祖母の立場から望むのは当然で、でも志帆本人の幸せとはまたずれるから悩ましい。。。
志帆は椿とともに滅ぶことを選んでしまったけど、それが本当に幸せなんだろうか。。難しいな…。
そして、山神が滅んだあと、山内はどうなるんたろう。不穏な終わり方で続きが気になる。
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八咫烏シリーズ第5作!
神話にまつわるセオリーを感じる今作『玉依姫』
そう来たか!阿部智里!
と思わずにはいられない、この八咫烏シリーズ第5作「玉依姫」
前代未聞の脅威、八咫烏(ひと)喰い猿の出現により、窮地に立たされた山内という流れからの、まさかの違う世界での話。
前作まで読んだ人にとってはネタバレにはならないですが、八咫烏の住む山内の外側である外界には、人間が住んでいます。
ここに来て、人間が関わってくる!
タイトルに『烏』が付かない今作のメインは、
「八咫烏」ではなく「人間」なのです。
前4作までのファンタジー世界とは毛色の違うファンタジー。
ある意味では、宗教・集落・伝統(言い伝え)・祭事という、人ならざる者と人間との繋がりを描くミステリーファンタジー物語として定番ではある部分を、これまでは「人間」が出てこなかったから、第5作目にして出てきたわけです。
前作までに少しだけ話に登場した、商売相手の大天狗もがっつり登場。
若宮・奈月彦は外界に遊学した経験があり、人間世界について、他の八咫烏と比較して詳しいですが、
外界に混じって生きている大天狗がいることで得られる情報がすごい!
人間を基準としてみた「人ならざるもの」を描く物語のセオリーが、大天狗を通じて読者に説明されているのですが、
具体的には、p.184〜あたりの“自覚”の話。
本人の“自覚”と他者が“そう見ている”という2つの点が揃うと、それは「事実」になる。
『思い込みの強さや、信じる力、言霊』
のようなものの大切さにも通ずるものがある。
そしてその力は、人を人ならざるものたらしめることもあれば、“神”という存在を擁立することにもなる。
儀式というものは、そのように擁立してきたものであり、その信仰が薄れてきた時にどうなるかは、この八咫烏シリーズで描かれるところである。
(そして「人ならざるもの」を描くミステリーファンタジーの定石でもある)
立ち返ってこの基本を描くことが、そうきたか!と思ったのです。
日本固有の信仰である“神道”の概念の基本が描かれていて、現代人が忘れ去れさっていく神への畏怖・崇拝つまりは“伝統”につながるものを改めて描くような物語り。
あまり日本の神々について詳しくはないので、玉依姫が何を指すのか知らずに読んでいって上記のように思ったのですが、まさにp.221にして『玉依姫』が誰かわかり、やはりなと感じました。
もともと『玉依姫』をご存じの方は、物語で描きたいことというのも感じながら読まれるのでしょうね
いやぁ、神話・神にまつわることは不変のテーマだなぁ。
今作の主人公である志帆の決断というものは、
自己犠牲を伴いながらも、自らが判断して選択した結果だと本人が自覚しており、そういう選択をすることこそ、生きるということだなぁと思いました。
さて、八咫烏シリーズとしては
前作までの『山内の危機』の正体が描かれましたが、一応はこれでひとつの結末を迎えました。
山内どうなっちゃうの?
猿、結局どうなった?
と気になる気になる!
Posted by ブクログ
子供の頃、昔話の人柱や人身御供が怖くてたまりませんでした。
選ばれた人たちに感情移入してしまい、今でも思い出すとゾッとします。
今回の主人公は人身御供に選ばれた女子高生の志帆ちゃん。
前半のホラー感は一瞬で過ぎ去り、子育てストーリーになると一気に雰囲気が変わります。
後半はミステリ要素もあり、面白くて最後まで一気に読んでしまいました。
八咫烏シリーズの一つで、過去に何があったのかを知る大事な話。
いよいよ次回からは烏対猿の話でしょうか。
楽しみなような怖いような…
Posted by ブクログ
山内中心から急に外れて、
今までベールに包まれていた山神様が序盤で出てくるのには、驚いた。
また、これまで烏からの猿の視点を見てたため、
そもそも
人からの人ならざるもの(猿、烏、さらに今回は天狗)の視点が、
新鮮であった。
人がいないと人ならざるものという線引きもできない。
信仰がないと神は存在できない。
自分は、人ならざるものなのだという、
強い意志と他人からの認識がなければ、
人と同じになる。
これは、人ならざるものであっても、
志帆が自分の意思で玉依姫になったように、
共通することなのだ。
最後のラストは、かなり哲学的な要素もあったように感じ完璧に認識するのは難しいそうだった。
山内の外が普通に現代日本だったのが驚きだったし、そこまで話が広がるとは思わなかった。
今作の主人公と山神の終着点は感動的だったが山内はどうなってしまうのだろうか。
Posted by ブクログ
やっぱり面白い。
これは、八咫烏の住む山内の外、私たち人間の住む
世界の話。
とは言っても、まだ金烏の記憶全てを思い出せてい
ない奈月彦もあの大猿も登場する同時代の話。
ちゃんと前作から続いてます。
まず、シリーズ1作目から追ってきた凛とした奈月彦
との印象の違いに少し戸惑いました。
でも、山神という存在、山神と八咫烏の関係性が明ら
かになると、その違和感も解消されます。
山内が生まれた理由や八咫烏が人間の形になることが
出来る理由など、様々な事が明らかになります。
読み応えもあって面白いです。
椿が怒り狂って村を滅ぼした時は、人間は怒りの理由
を理解せず、また同じように、神の怒りを買わないよ
うに…と生贄を用意するんだろうなと思った。
なんだか愚かで、そういう履き違えでどれだけの命が
世界で奪われたり失われたりしているんだろうと思う
と悲しくなった。
書き直したり手を加えたとはいえ、これを高校生が書
いたなんて、素晴らしい想像力に感動しました。
感謝。
【追記】「弥栄の烏」を読む予定なら、すぐに読むか、
この「玉依姫」の記憶が鮮明なうちに読むべき。
Posted by ブクログ
山内の起源。今までの巻からまたガラッと変わって、人間が登場し、その世界側から見たお話。
八咫烏シリーズの中で、この巻が1番お気に入り。古事記から伝わる日本の神々の説話を織り交ぜた話により、山内という異世界が改めて構築されて、物語がスッキリと全貌を表したように思う。
そして、玉依姫のどこまでもお人好しで、ポジティブなところが、少し退廃的なお話をどことなく明るくしてる。
相変わらず悲しい出来事が起こるけど、救いが与えられ、最後は椿と英雄の正体に、安堵した自分がいる。
そして大天狗さんが結構能天気でいいキャラ。
Posted by ブクログ
これまでの話から一気に視点が変わり、読者側からのこの物語の世界の見え方がわかる話。
話を通してあまり気分が良くない、理不尽で悲しい話であったように思う。
志帆の気持ちが反映されているという話だけど、それも志帆の主観であって、話の最後まで「それは本当に志帆本人の気持ちなのか?」と疑う余地のある設定なので、どうしてもすっきりできなかった。
Posted by ブクログ
急な現代に始めは戸惑ったけど、山内とはなんなのかが明かされる大事なお話でした。
八咫烏シリーズの原点、ここから書き始めたのかと思うと壮大さに驚かされます。
山神様の怒りによって死んでしまった、怪我してしまった奈月彦の側近たちが誰なのか…
続きも気になりますね。
Posted by ブクログ
高校生の志帆は伯父に誘われ、祖母が母を連れて出て行った山内村を訪れる。異様なほどの歓待を受けたが、実はそれは志帆を山神様の生贄として差し出すためだった ―― 。
一度は逃げ出した志帆でしたが、山神の母になると決意し戻ります。山神に仕える八咫烏の長の奈月彦や大猿。それぞれの思惑もありましたが、志帆が戻ったことで山神は落ち着きます。
この巻は人間世界の話なので、八咫烏は奈月彦とますほしか名前がでていないのが寂しい気がしました。
生贄の儀式を残している村の住人は自分達さえよければいいのですね。生贄として娘を差し出さなければならないのに村を離れないのは恩恵があるから。
今回も一気に引き込まれて読んでしまいました。面白かったです。
最後まで大猿の考えは明らかになっていないので少し不気味です。
新しい山神様と今後の八咫烏たちはどうなっていくのか、続きが楽しみです。
Posted by ブクログ
神域を抜けた先の現代日本が舞台。高校生の志帆が叔父に騙されて山神の供物にされる。奈月彦、ますほ(の薄)は出てくるけどあとは「八咫烏」とだけ。怪我した八咫烏はあの子?そしたら死んだ子はまさか…著者あとがきより、そもそも著者が高校生の頃に「玉依姫」の元となる物語が完成していて、八咫烏シリーズはある意味そのスピンオフらしい。八咫烏以外にも大猿、天狗が出てきたけど、大猿は駆逐されたのかな?個人の感想だけど、奈月彦が今までの金烏の感じがしなかったなぁ。続きを読めば何か分かるのかな?という事で、次巻も楽しみ
Posted by ブクログ
『空棺の烏』からウッキウキの八咫烏シリーズ第5巻。
どん底もどん底に突き落とされた…。
ひたすらに辛い、ずっと辛い…。
まず、登場人物紹介にお馴染みの面子がほぼいない。うん?と読み進めると舞台は現代(1995年)の日本。
でもどうやら、『空棺の烏』で若宮たちが禁門を開いたあとの話のようなので時系列的には『空棺』の数年後のよう。
まず、最初の印象は「因習村じゃん…」と思った。
ただ、そのまま進むと生贄の少女はそのまま悲しい結末を迎えるはずなのだけれど、この作品はそうはならない。
醜い山神を我が子として育てる生贄の少女。
…って、ちょっと待って…!
山神って八咫烏シリーズで散々出てきた、山内を創ったとされる神様じゃん!?こうも普通に登場してきてビックリ。神話の類を神話であるからと片付けず、紐解く設定の奥深さに感服。
さらにさらに、シリーズ最大の敵と思われた猿も普通に出てきて、普通にコミュニケーション取ってるじゃん…
ここまで八咫烏の長たる姿勢を崩さなかった若宮も山神にはお馴染みの傍若無人な態度は取れず、まるで別人を見るかのよう…動揺や怒気に満ちた姿が度々出てくるので若宮の人間くささ(人間…?)が幾度も垣間見える。ちゃんと心あるじゃないですか…(涙目)
とにかく辛かったのは、どうしても八咫烏サイドに心を寄せてしまっているため山神の怒りによって八咫烏の同胞たちが痛手を追うシーン。
これ、誰だとか名前が一切でてこないのが………阿部先生鬼畜や……『空棺』の後にこのエピソードを持ってくるなんて………結局最後までずっと心配して読んでました……辛いわ……
重症を負いつつも一命を取りとめた八咫烏って…やっぱ…AKRくんなんでしょうか……『弥栄の烏』を読めば判明するんでしょうか……それはそれで見たくないような…でも確かめなきゃいけない(使命感)
山神の怒りによって山内村が燃え盛るシーンは「ゲ謎」を観てたのですっとイメージが頭に入ってきた。やっぱり神様を怒らせたら怖い。
猿も倒されたとの描写だったけど、今後そのあたりもどうなっていくのかすごく気になる。
巻末、対談ページにて阿部先生の「読者の心に傷を残してなんぼ」とのお言葉、まさにでっかいでっかい傷を刻まれました…やられましたよ、ほんとうに。
山内が心配すぎる!!!!!(次巻に続く)
Posted by ブクログ
前の巻がこれからいいところ!
で、終わったのですごく期待していたら…
話がガラッと変わっていてがっかり。
まるでスピンオフのよう…
実はこちらは八咫烏シリーズの先駆けになるものだったようです。
玉依姫と山神の悲しい定めも
最後には本物の愛と互いに認めるところとなり
良かった良かった…
でも、そうなるとこれからどういう展開に
なるのでしょうか?
やはり気になります。
Posted by ブクログ
この巻だけ毛色が違うな?
現代パートの違和感も確かにあるけど、それより志帆の心の動きが最初から最後までずっと気持ち悪い感じがする。わざとこんなに気持ち悪くしてるんだろうけど、おかげで感情移入できない。
本筋の流れとしては、八咫烏と山内の過去が少しだけ、明らかになる。