【感想・ネタバレ】人生のちょっとした煩いのレビュー

あらすじ

村上春樹翻訳・至高の女性作家の第一作品集。アメリカ文学の伝説はここから始まった!

村上春樹と、アメリカ文学の生きた伝説、グレイス・ペイリーのコラボレーション。
「ペイリーさんの小説は、とにかくひとつ残らず自分の手で訳してみたい」と村上氏は語る。キッチン・テーブルでこつことと書き継がれた、とてつもなくタフでシャープで、しかも温かく、滋味豊かな短篇集。巻末にデビュー当時を語ったエッセイと訳者による詳細な解題付き。世紀を超えて輝く傑作10篇収録。

※この電子書籍は2005年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「ペイリーさんの小説は、とにかくひとつ残らず自分の手で訳してみたい」と村上氏が語る、
アメリカ文学のカリスマにして伝説の女性作家の第一作品集。
キッチン・テーブルでこつこつと書き継がれた、
とてつもなくタフでシャープで、しかも温かく、滋味豊かな十篇。
巻末にデビュー当時を語ったエッセイと訳者による詳細な解題付き。

アメリカ文学、ヘミングウェイに続きグレイスペイリー。
訳が村上春樹。

10篇の短編集なのだが、
通して思った事が、この人が書く話は、取り立てて特別な出来事を書いていない事が印象に残る。
だけども、読んでいて面白いし、何処か哀しみや憂いを含んでいる。

10篇のうちいくつかの感想を書く。

・さよならグッドラック
ある女の子の叔母が昔の話を語るお話。
叔母はある劇場の俳優と不倫をしていて、
その辺の経緯を昔話のように語る。
ヴラシュキンと言う名の俳優。
終盤、彼にとって人生がリハーサルのような物だったのねとローズおばさんが語る。
不倫はお互いのポジション設定が難しいのだろうなとか思った。

・淡いピンクのロースト
別れた旦那と子供を引き取った奥さんの話。
これもまた、男女の考え方の違いと言うべきか、
不思議な雰囲気でありながら、あたかもそれが当たり前の様に繰り広げられる。そういった構成を作り上げる事に圧巻しました。
愛の為とはなかなか言えないもんですよ。

・コンテスト
ユダヤ人の彼女とその男の話。
クイズに答えて賞金を手に入れる話。
これもまた独特の雰囲気がたまらなかった。
ホント言葉でこれだと言い表せられないような感覚が冴えわたっていると思う。このお話も結構好き。

・変更する事の出来ない直径
チャーリーと言う男が、裕福な家庭の女の子に手を出しちゃう話。
チャーリーの冷静具合とひねくれた感じが、なぜだか親近感があった。
女の子の父親とチャーリーのやりとりなんかを読んでいると、若干笑える。

・そのとき私たちはみんな、一匹の猿になってしまった。
下町で世界平和を維持する為に科学実験を行う科学おたくの青年の話。
彼は、イメージ的に頭のキレるガキ大将みたいな感じで、
仲間が自然と出来上がって最終的には毒ガスを作ってしまう。
イッツィークと言う猿は彼曰く、父親と猿との間に生まれた子供らしい。
よって彼の兄にあたるらしいが、真相は分からん。
読んでいて、不気味な感じがあった。
まぁ実の兄が猿って言う設定が不気味なのかもしれないけれど。

これはまた再読したらまた新たな発見がありそうな一冊でした。

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2012年01月29日

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