あらすじ
著者のライフワークとも言える東北の大河小説「最新刊」がついに完成! 朝廷の容赦ない仕打ちに苦しめられ続ける民を救うべく、伝説の英雄・アテルイの血をひく若者が立ち上がる。やがて彼のもとには、その志に共感する、力ある者たちが集まってくる。圧倒的な数の差を知略で制し、不利と思われる状況にも臆せず力を尽くして立ち向かってゆく、蝦夷たちの気高い姿に心がゆさぶられる歴史長編。
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Posted by ブクログ
火怨の75年後、阿弖流為の曾孫 天日子が主人公。火怨と同じように、強く将の器である天日子と、知略に富んだ安倍幻水を中心に、物部が重要な導き手となってストーリーが進む。
天日子と幻水は火怨の阿弖流為と母礼を思い起こさせるが、ひとつ決定的に違うのは、幻水が蝦夷ではなく都の人間だということ。都で冷遇されてきた幻水が、蝦夷と共に戦って初めて一人きりではなくなったと泣くシーンが熱い。風の陣や火怨で悲願を果たせずに散っていった多くが、全くの無駄ではなかったのだと感じられる。
風の陣や火怨に比べてだいぶあっさりしているので、欲を言えばもっと読みたかった。