【感想・ネタバレ】ハンニバル(下)(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

レクター博士はアメリカに帰還する。執念を燃やす復讐鬼は、クラリスを囮に使って博士をおびき出す計画を整えつつあった。その先には、究極の美食家に対する究極の屈辱となる報復が用意されている。かくして、 “怪物と天使”の運命は凄絶に交錯するときを迎えた……。スティーヴン・キングをして「前作を凌ぎ、『エクソシスト』と並んで20世紀に屹立する傑作」と言わしめた問題作、登場。

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まさかスターリングがハンニバル博士を助けて、その後、一緒に生活することになるとは考えてもみなかった。
殺人シーンは描写がリアルで恐ろしかった。

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2022年03月31日

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ネタバレ

映画を先に見ているため、ドレスに身を包んだクラリスの艶姿とレクター博士の息を呑む様シーンが脳裏にフラッシュバック。
想像の幅を狭めるという意味では、小説のメディア化は善し悪しあると言える。

それにしても、音楽に耳を傾け、絵画に目を潤し、人の心に憐れを想い…なんともゆったりとした気分になれる。

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2013年07月13日

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ネタバレ

【2025年65冊目】
レクター博士への復讐に燃えるメイスンは、クラリスを囮に博士を誘き出す算段を整えつつあった。そうして捉えた博士を豚に食わせ、その様子を彼自身に観察させる――。一方、クラリスはでっち上げの罪によりFBIを追われかけていた。上司であるクロスフォードは病に伏し、彼女を擁護できるものはいなくなっていく…たった一人、レクター博士を除いて。

映画と原作が少し違うということは織り込み済みで読みましたが、面白かった!レクター博士がプレゼント持ってきたのに捕まった時、残された手紙を見てなんかぐっと来てしまいました。恋じゃねぇか…。

メイスンの最期も映画とは違いましたが、原作準拠にするとそりゃとんでもないことになりますわな、R18どころではない。クレンドラーの脳漿を食べたのはクラリスだったんでしょうか…?

引き続きシリーズを楽しんでいこうと思います。
――
ここまで書いてから、映画の評論みたいなのを読みました。原作の要素を取り入れつつ、原作の重要なシーンを改悪していて、全く別の話になっているという指摘でした。なるほど、だから原作との乖離を感じて違和感があったのか、という納得感。確かに映画では精神的な説明がつかないみたいなシーンが多かった気がします。その分、原作の素晴らしさが際立つわけですが。あと、脳漿は二人で食べてました、やっぱそうだよね!

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2025年06月18日

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面白かった。
「羊たちの沈黙」ではレクター博士がクラリスを癒して、「ハンニバル」ではクラリスがレクター博士を癒して、薬が使われたとはいえ幸せな終わりになった。
FBIにとっては人材的に損失を被ってしまったけれど、評価されずに働いていたクラリスにとってこの結末は幸せなものだったのだろうか?
いずれ洗脳が解けたとき、どちらかは死ぬことになるのか?
ラストのグランドラーのシーンは今までされていた嫌がらせのことを考えてスッキリした。

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2025年04月06日

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ネタバレ

この物語の最初にクラリスは「理解と共感は違う。その違いを知ることが大人になるということだ。」と言っていたけれど、前作の若い頃からクラリスはレクター博士を「理解」できていて、それが今作の最後では「共感」もできてしまったということなのかな。

クラリスにとっては父親、レクター博士にとっては妹という心の大きな空洞があって、陰と陽が見事に噛み合ってしまった。もともと最初から自分たちは同族といった「理解」はあっただろうし、才色兼備な女性にありがちなクラリスの表層的な社会的鎧をレクター博士が薬と時間で溶かしてしまって、こういうラストになったのでしょう。

共通の敵となって殺されたサディストが、食肉加工会社の経営者というところからもクラリスは屠殺される側の恐怖から精神的に救われて、「羊たちの沈黙」は見事に伏線を回収したように思いました。
だから、この物語は『羊たちの沈黙』を読んでから読もう!

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2021年12月18日

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再読。映画のラストシーンも記憶に鮮明に残っているのにハラハラドキドキ。もう読みたくないほど気持ち悪い場面も多いのに読む手を止められない。おそらくレクター博士のイタリアでの生活や山の中での生活様式が優雅で穏やかだからなのかなぁと。悪人というのは本当に魅力的で、だからこそ本当に危険。またどこかで読み直すであろう作品。

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2020年11月08日

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ネタバレ

途中やや退屈に感じる場面も多かったものの、レクター博士がメイスンにとらわれてからは怒涛の展開で面白かった。

ただ、結末は映画のほうが好き。
同調して共に歩んでいくことになるのならそれはそれでわかるのだけど、薬を射たれる前までのクラリスはレクター博士とあぁなることを望んでるようには見えなかったので、ちょっと唐突すぎるというか…。
作者がクラリスを気に入ってるんだろうなという感じはするんだけど、あれではクラリスの人格だのなんだのを踏み躙りまくってるのでどう足掻いてもハッピーエンドではない。
そこを狙って書いたのだとしたらあれはあれでいいバッドエンドなのかもしれないけど。

個人的にはマーゴが好きかな。

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2018年05月15日

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クラリスが地道な捜査でレクター博士を追うが、メイスンが横槍を入れて、レクター博士を拉致する。クラリスの突入により、レクター博士は難を逃れ、麻痺したクラリスを催眠療法でいじりつつ、人肉ディナーを行う。ラストは、オペラ観劇をする、レクター博士とクラリスで締め。
メイスンがレクター博士を豚に食べさせようとするくだりは、どこまで本気なんだかと思うが、その後の展開から人肉ディナーのくだりは、ゾッとして良い。

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2015年11月13日

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上巻からの期待感で一気に読んだ。確かに面白かったが、レクター博士のサイコパスぶりを楽しみにしていた私としては少々物足りなかった。そしてこのラストにはがっかりした。レクター博士とクラリスには、最後まで正義と悪を貫き通し交わらずに対峙して欲しかったなぁ。
あくまで個人の感想です。

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2024年06月26日

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ネタバレ

面白い。
間違いなく面白いんだけど、『羊たちの沈黙』に比べると、登場人物全員の魅力が下がっちゃってるかなぁ。
レクター博士が超人的なのはいいとして、そんなら超然さを貫くか、あるいは逆にもっと俗さを出してほしい。
クロフォードやバーニーもそれぞれが魅力減。
挙句の果ての主人公たちの結末は、結局レクターの一人勝ちかいという感想しか出てこなかった。

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2021年03月20日

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クレンドラーの脳を食べる(食べさせる)シーンはゾッとした。
上流の暮らしを描くシーンにはうっとりさせられた。
しかし結末がふに落ちない。薬の影響なのか?あと、クラリスの「ヘルメットのような髪型」はどんなものなのだろうか…笑

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2020年08月17日

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 うむむ。上巻の熱情に比べると、個人的には地味なように思う。というか、クラリスが都合のいい女になりすぎじゃないか? 男のロマンというか、マイ・フェア・レディというか。そうして作り出された彼女に私は魅力を感じなかった。
 マーゴの方が興味深い。

(以下若干のネタバレあり)

 しかし、概説を読むと、レクター博士シリーズとして、これまでと同じように、猟奇連続殺人事件を主軸として、レクター博士を絡ませて続けていく手法もあったはずだ。けれども、それをやめ、新たな方向性へ舵を切ったのは、確かに英断だしすごい。

 あと、この物語が私にとって物足りないのは、私の心の中に抱いていた格好いいレクター博士から、より人間らしい、弱い一人の人間なのだと気づかされてしまったからかもしれない。確かに紳士かつ頭が良い天才で、狂気をはらみつつも性の危険性の無いおじさまっていうのは安全枠だ。
 結局、美しいクラリスがチョロくお相手になるわけだがそれでいいのかって思う。レクター博士もそんな自分の作り上げた理想の美女相手に欲情しているなんて、単なるエロオヤジじゃないの!っていいたくなる。彼の破綻が見たい。あるいはクラリスの反逆が見たい。それは私のエゴなのだろう。

 ハンニバル・ライジングはレクター博士の子供の頃の話。さて、どうなることやら。この先の時系列の物語を読むことが出来るのなら、それは幸せだろう。

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2018年03月10日

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食人(カニバリズム)を連想させる名前の通り、この作品の終盤にはハンニバル・レクターによるグルメショーがある。そこに至るまでにも様々な活劇がある。それは多くの読者が期待したものでもあるだろうし、見たくなかったものでもあると思う。厳戒房に囚われた危険でミステリアスなカリスマは、この作品で正体を晒し、ただのダークヒーローになってしまった感がある。
ラストは映画版の方が多くの人に受け入れられるだろうが、衝撃的で革新的なのは小説のラストだろう。想像の外にあった終わり方だ。好き嫌いはあれど、この結末はすごいと思う。

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2017年04月09日

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「天才」の描写って映像化するとどうしても伝わりにくいし、凡才に幾ら言葉を尽くして天才の頭の中を解説されても、中途半端な理解に留まるんだろうな、って思うのです(長)。
どうも、凡人代表です( ^ω^ )←

何だかもやもや感の拭えない上巻を何とか読み切った皆さん、ご安心下さい←←
下巻ではレクター博士の天才っぷりが炸裂ですよ〜*\(^o^)/*きゃほー!

「記憶の宮殿」〜?シャーロック(BBC)と同じようなこと(「マインドパレス」)言ってるじゃないの中2か!←←
とニヤニヤしたのは一瞬でした。博士の宮殿内部の描写がもう異次元過ぎて怖い。天才怖いよー!と思いながらも強烈に惹かれるこの感覚。何これデジャブ!と思ったら、そうです、彼女です。森博嗣が生んだ私史上最高の天才・真賀田四季博士です(お馴染み)。【羊達の沈黙】の時と同じこと書いてますが、懲りずに何度でも書きます←

本作では博士のマイパレ←能力を説明する部分で、「一度見た光景を自分の記憶の中に取り込んで、いつでも自在に取り出せる」っていうような描写があったんです。
が、真賀田博士の場合はもう一段階あるんです(怖)。
「一度接触した人格を自分の中に取り込んで、その人格と会話ができる」
んです。ひいいいいこーーわーーいーーーー!!!
しかも、その取り込んだ人格を幾通りもシミュレーションして調整したりするんですよ意味わかんないよ凡人には( ^ω^ )

レクター博士が亡き妹の影に囚われているという人間味を覗かせたのに対して、真賀田博士は愛する人を殺してそのキャラクタを自分の中に取り込むことで安定を得た、という不可解性が描かれた点も両者の決定的な違いでしょうか。

何が言いたいかって、レクター博士も理解の範疇越えてるけど、その博士に匹敵する(もしかしたら凌駕する)天才を生み出した森先生も大概よね、と思ったのでした。という話です。

…結局いつもと同じ展開の感想だぞ…ま、いっか。

いや、いくない( ^ω^ )

というわけで、長い前置きの後ですが、閑話休題。本作の感想を以下に。

◎案の定な大悪党の末路。
◎可哀想ないじめっ子クレンドラー
◎衝撃のラスト

これに尽きますね←
最後に描かれる博士とクラリスの姿に、クラリスと一緒に殺人鬼を追い続けた読者は愕然としたんじゃないでしょうか。
「これって薬で正気奪って既成事実作っちゃったんじゃねーの」と下世話なことを考えながら本を閉じましたが、やっぱり天才は理解の枠越えてるし、理解できない私はきっと幸せなのねと思ったのでした。凡人ゆえに!



クラリスを囮にしてレクター博士をおびき寄せる罠を仕掛けた大富豪。次第に追い詰められる二人が最後に選んだそれぞれの未来とは…。

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2013年11月13日

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