【感想・ネタバレ】みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

ようこそ、村上さんの井戸へ――川上未映子はそう語り始める。少年期の記憶、意識と無意識、「地下二階」に降りること、フェミニズム、世界的名声、比喩や文体、日々の創作の秘密、そして死後のこと……。初期エッセイから最新長編まで、すべての作品と資料を精読し、「村上春樹」の最深部に鋭く迫る。十代から村上文学の愛読者だった作家の計13時間に及ぶ、比類なき超ロングインタビュー!

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Posted by ブクログ

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川上未映子さん以上のハルキストはいるのだろうか。
村上春樹さんが忘れていることまで、ディテールまで覚えていてたじたじの場面も。でも、のらりくらり「覚えていない」という春樹さんは本当に覚えてないのかもしれない。
それにしても鋭かった。特に村上作品における女性の描き方、女性の見方についてのところ。
村上さんは、文章を書くのが大好きで基本ポジティブだということ。地下一階の自我の葛藤には興味がなく、地下二階に降りようとしていること。集団的無意識みたいなところに。
文章を読んだら、カキフライが食べたくなるような文章を書きたいというのが、村上春樹さんの目指すところ。
それと忘れちゃいけない直接的なメッセージは決して書かないけど、フィクションの中でかなりポリティカルということ。

この本を読んでさらに村上春樹さんの魅力が浮き彫りになった。川上さんのファンにもなった!

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2024年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

川上さんと村上さんの対談記録。川上さんの質問がかなりパーソナルな部分にも迫るものだったから(フェミ的観点からの指摘の部分なんか特に)たじたじしつつ受け答える村上さんが浮かぶようで新鮮でした。

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2021年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「対談」って手抜きで本を作ってテキトーに売ってる印象があって普通は読まないんだけど、村上主義者なのでこれは読みました。
対談じゃなくてインタビューですね。村上春樹を死ぬほど熟読して、どこに何が書いてあるかも、小説の登場人物についても知り尽くし、村上春樹がどこぞのスピーチで何を言ったかもフォローしている川上未央子氏の、一作家として、読者として、ファンとしてのすごいインタビュー。「騎士団長殺し」に出てくる「イデア」と「メタファー」についても一体何なのか(多くの読者が聞きたいところ!?)掘り下げて聞く。
…まぁ答えは例によって「僕にもわからない。」なんだけど。
一番心に残ったのは、あぁつまり、村上春樹は本当に小説のテーマとか構造とかそんなものはどうでもよくて(どうでもいいというか二の次で)、ただ単に「文章を書くのが好き」という話。「文章を書くのが好き」。「なんでもいいから何か書きたい」。「なんかフレーズが頭に浮かんで、そこから物語が発展する」。
大学で文芸サークルみたいなのに所属していたとき、みんなそういう感覚だったな、と(もちろん本物の作家とは全然レベルは違うんだけど)思った。
私も文章書くのが好き。読んで、書くのが好き。だから読書のレビューもこうしてコツコツ書くし、新聞に投書したりする。あとけっこうこまめに人に手紙を書きます。素敵な自分らしい文章をこれからも書きたいな。

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2021年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

予想以上に川上未映子が突っ込んだインタビューをしていて、かなり読み応えがあった。
あの村上春樹が、作品や過去に受けたインタビューで答えた内容との矛盾?を川上から指摘され、ややたじろぐ様な場面もあり、読んでいる方がハラハラ。それでも飄々と村上節でかわしていく?様子はさすがだなと。だけど終始和やかな雰囲気で、2人の信頼関係がこちらまで伝わってきて、作家として人間としてリスペクトし合っているのがめちゃくちゃ伝わってくる。
さすがというか、とにかくインタビューの内容が濃い。かなり勉強になりました。
家に例えると、その人の普段の生活や考えてることを1階とすると、日本の近代文学は地下一階を扱っていて、村上春樹は地下二階を書こうとしているという話。
リアリズムをリアリズムの文体で書くことを試みたノルウェイの森、テーマやストーリーよりも文体が先であること、物語というフィクションは過去から現在、未来に至るまで一番強いポリティカルであり得るのではないか、ここに書き出したらキリがないくらいの興味深い話が繰り広げられて。
ほんまに?!何この人本気なん?!と川上未映子と一緒に村上春樹の井戸に入って何が見えたのか、私は入ってみて本当に良かったです。
さてさて、来年は村上春樹をしっかり読んでみようか!

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2023年12月24日

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