【感想・ネタバレ】カエルの楽園2020(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

二匹のアマガエルがたどり着いた夢の楽園は悲劇的な末路を迎えたはずだったが、悪夢の翌朝、二匹はなぜか再び平和な地にいた。今度の世界では、ウシガエルの国で「新しい病気」が流行っていたが、楽園のカエルたちは根拠なき楽観視を続ける。しかし、やがて楽園でも病気が広がり始め……。国難を前に迷走する政治やメディアの愚かさを浮き彫りにし、三通りの結末を提示する、警告と希望の書。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作「カエルの楽園」と同様に、物語で敵にあたるウシガエルとカエルの楽園であるナパージュのカエルたちによる攻防が書かれていました。またこの本は現代の日本をカエルの国として置き換えられています。

今作はカエルの楽園に病気が蔓延し、カエルたちはどうするのかという話でした。

エンディングが3つありましたが、ひとつは作者さんの現在の日本に対する考えが述べられていて、物語の結末というわけではありませんでしたが、自分だけではいまいち現実と本の内容が合わせられなかったので、この話はあってよかったと感じました。

感想を書いている時期とこの本の出版時期はだいぶ時間が空いているので、コロナウイルスの感染状況なども変わりましたが、日本をカエルの国に置き換えることで見えてくることがありました。

国が動くのが遅く、止まるのも遅いという言葉はその通りだと思いました。

0
2021年09月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「寓話でもこんな極端な話はないだろう」とはならず、実際にこれに等しいことが起こっているのが悲しい。


特にある元老発言(要約すると「俺は批判するのが仕事。アイデアはお前たちが出せ」)が自分の上司と同じ発想だったので、読んでいてこっちまで辛くなってきました。

以下個人的に好きなセリフ
P102 「ナパージュのカエルたちらは昔から、何か恐ろしいことが起こりそうな時でも、たいしたことにはならないと考えるんだ。」

P172 「ナパージュという国はなー動くのが遅くて、止まるのも遅いんだ」

0
2022年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初見の衝撃は和らいでいましたが、面白かったです。

ウシガエルは中国と仮定して、南シナ海問題を暗喩し、南の崖からウシガエルが来るのは北朝鮮のミサイル、ウシガエルやヌマガエルの移住は移民問題、というより日本だと外国人留学生の問題か。ウシガエルの残虐行為はウイグル人迫害に似ていると感じました。

やっぱり良くも悪くも、日本は戦争の悲劇を美化しすぎているのかもしれないですね。確かに戦争は良くないし、原爆も落とされて苦しい思いもしました。敗戦国としての処遇も受けました。では、なぜそんな事をしたのか。祖国を守るために戦ったという気持ちが消え、やってはいけないことをしたということだけが強調されており、なんで戦争をしたのかと聞かれて、「日本を守るため」と答えれる人は少ないかもしれません。細かい理由はおいといて、祖国を守るために戦ったというのは忘れ去られてそうで、罪悪感だけが残っているのが今の現状かもしれません。

病気はコロナ。メインテーマはこれだろうな。
桜の会などを糾弾しすぎて、もっと大事なことの議論が進まない様子が頭に浮かんできました。もっと話すべきことは別にあるだろ!と思いながら当時ニュースを見ていました。

今後自分たちがどうしていくべきか考えることはすごく大切です。何か変えようと思うのではなく、今の現実に疑問を持つことが大事なのだと思います。隣人愛も日本人の良いところですが、なんでもそれが通用しないというのが、今の世の中です。せめて、自分と自分の周りはしっかり守れる人間になりたいです。

0
2024年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コロナ禍をテーマにした続編。前作はまさに寓話で人にも勧めやすいですが、今作はかなり直接的なので小説としては難しい評価ですが、作者のメッセージは伝わってきます。

私はハンドレッド好きです。イエストールのことは息子さんのYouTubeは見ますが、ちゃんと知らなかったのでXフォローしてみました。
デイブレイク、ツーステップさんは、、、。
チェリー広場のパーティーってあれですよね。あの時このパーティーのことばかり報道され、うんざりしてました。
終章Ⅲ(グッドエンディング)は安倍さんが亡くなった今読むと泣きそうになりました。
今後バッドエンドにならないことを願うばかりで、テレビやなんとなく耳に入る情報だけではなく、自分で情報を得て誰の政策や行動を信じるかを選んで行かなくていけないですね。難しいですけどね。

挿絵のカエルたちも百田さんが描いているのですね。最後のハンドレッドカエルが可愛い。

0
2024年11月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現実をなぞった寓話なので、小説内でも何が正しい選択なのか分からないという結論ばかりでスッキリはしないため★★★。

あとがきで作者自身が言っている通り、カエルの世界に置き換えるだけで自分が普段、いかに簡単に立場のある人の言葉に流されているかに気がつけた。そこがこの本の素晴らしい部分。

コロナ時代が過去になった頃にまた読みたいと思う。その時は違う視点と違う感想を持てるといいなあ。

0
2024年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

疑問が二点ほど…
新しい病気の流行において、パラレルワールドである理由があったのか?

終章において、敢えてハンドレッドを作者だと明かし、ソクラテスとロベルトをフェードアウトさせる意味があったのか?


普段自国で起きていることに関心の重きを置いており、近隣国の天災にしても何処か他人事のように考えていた。
しかし、本書を通して、別の国の情勢や現状を知ることは自国の防衛や発展に繋がることなのだと感じた。

また、今回のコロナウイルスの一件に関して、俯瞰で見ることが出来るのは良いなと思った。

寓話というより物語への感想になるが、最後のプロメテウスの一刀には壮快なものがあった。

0
2022年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コロナ禍の日本をカエルの世界で表現した小説。

これが書かれたのは2020年5月で、筆者も断ってはいるが、状況は大きく変化している。

特に一気に規制を緩和するというのをグッドシナリオとしているが、これは昨今の韓国の例を見ても明らかなように好ましくない方策であり、作者のシナリオは的外れということになるかもしれない。

結局のところ、未来は誰にも確実に予測できないのだと思う。

0
2021年12月05日

「小説」ランキング