あらすじ
心中に失敗した とある文豪、異世界へ
男はその夜、
愛する人と玉川上水へやって来た。
自らの"恥の多い生涯"を 終わらせるために。
だが そこへ例のトラックがあらわれてーー
死にたがり作家の異世界転移冒険譚、ここに開幕。
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Posted by ブクログ
これはアイデア勝ち。そして作者がちゃんと太宰治を好きなんだってことが伝わってくる。
基本的には自殺したがりで厭世的で、絵に描いたようなザ・クズ文豪ってところは世間のイメージ通り。我が道を行く我の強さやなんだかんだ言いながら身を挺して人を守る部分は、太宰作品をいくつも読んでる人の発想だなぁ。
『人間失格』のイメージや心中のエピソードがあまりにも有名すぎて伝わりにくい部分だけど、実は太宰治は「自分を含めた人間の『愚かさ』に対してツンデレ」な人だと思うんですよね。
異世界転生もののあるあるネタを設定として上手く取り入れた世界観も面白くて魅力的。
なろうでもう一作、太宰治が異世界転生した作品を見つけた(そっちは1話読み切りのショートショート的なものだけど)
たぶん太宰自身に、なんか異世界転生ものの書き手が見ると「転生させたい!」と思うものがあるんだろうなぁ……
だざいがだいざい
文豪が主人公だけあって、中扉と奥付が文庫っぽいデザイン。
なんの役にも立ちそうもない、スキルの低い転移者だけど、醸し出すその不思議な魅力?で出会う人々を魅了しているのか?
独特の雰囲気でおもしろい。
アイデアはおもしろい
太宰治らしき文豪が、心中相手の女性と共に異世界に転生するという話。
(ちなみに、太宰治は1巻冒頭と同じく昭和23年6月13日に愛人と玉川上水に入水、心中している)
ただこの主人公、死にたがりの文豪と言う事でいわゆる勇者などではなく、戦闘力も無い。
かと言って頭で勝負するタイプでもなく、周囲をかき回すだけという特殊な存在。
この発想を思いついたことがまずすごい。
一方、シュールすぎるそのキャラは周囲と隔絶され過ぎており、巻が進むにつれて本格的「異世界冒険もの」となっていく本編となじまなくなっていくようにも思える。
要は、主人公がいてもいなくても大勢に影響がなく、エピソードを追加するだけの存在になっているんじゃないかと言う話。
このあたりは「異世界」と対極に位置するような人を主人公に持ってきたことから来る苦しみだと思う。
この違和感をこの先どう解消していくか、そこでしょうね。
絵はキレイで読みやすく、ストーリーも基本は異世界ものの王道。
シュールさを狙い過ぎてギャグが少しずれているように感じる事もあるが、大勢としてはなかなか斬新で良い作品だと思う。
先の読めない多ジャンル混成作品
野田宏の作風について語れるほど読み込んでいないが
様々なジャンルやモチーフを横断し組み合わせる作品が多く
それゆえに定石外しともいえる読めない展開が楽しめている
個人的に、作中の人物の事を「否定しない、肯定する」描かれ方をしているのが
自分としてはとても好ましく感じる
心中するという、人によっては最低の行為と考える罪を犯した主役を
この作品内では肯定して捉えているようにすら感じる
Posted by ブクログ
某文豪が心中しようとしたら異世界に召還された話。
『異世界当選トラック』って単語が妙にツボに入って笑った。異世界転移(転生)の原因はなぜかトラックとの衝突が多い、というお約束を盛大にディスってる……いやいや、リスペクトしてる(?)のが面白いです。
何の能力もなければ、世界を救う気概もない、チートじゃない主人公がいいです。ただひたすら心中がしたいだけで、アンニュイなのが売り(?)の某文豪先生。心中がしたい、という一心が何故か周囲を微妙に救っていくようなそうでもないような。力の抜けたマイペースっぷりを披露しつつ、信念のようなものをちゃんと持ってるバランスの良さが、この主人公の魅力なのかな、と思いました。私は好きです。
この1巻では主要登場人物との出会い編って感じですが、2巻以降はもう少し話が動いていくのかな?期待してます。