あらすじ
50にのぼるグローバル企業、公的組織をデザインした
元マッキンゼー東京支社長の集大成!
戦略による差別化が限界に達した現代の、
組織の本質を語る。
著者は東京大学で建築を学び、ハーバード大学で都市デザインを研究、マサチューセッツ工科大学(MIT)でMBAを取得。建築事務所を経て、マッキンゼーに入社。同社で2002年まで東京支社長を含め活躍し、国内外の無数の企業の組織デザインに関わった人物です。同社を退職後は、経済産業研究所、メガバンク、産業再生機構、東京大学をはじめとする大学など、さまざまな営利・非営利の組織に関わり、中でもビジネススクールを持たなかった東京大学で、エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)を立ち上げ、企画・推進責任者として、既存の大学のビジネススクールとは一線を画すプログラムを成功させたことで知られています。
本書は、国内外の無数の組織に関わった著者のエピソードを交え、強い組織のポイントをユニークなフレーズ(ボキャブラリー)を中心に説明します。経営者、管理職、リーダーにとって参考になるフレーズが必ず見つかります。(以下例)
◎「『小さな幸せグループ』こそが、組織の変化を阻害する大問題である。」⇒日本の組織の、まじめで正確なオペレーションを実現しているのは、出世に興味はなく、自分のやり方とペースで仕事をこなし、日常生活の中に楽しみを見つけている少人数のグループ。ところが、組織改革の場面では彼らが最大の障害となる。
◎「『性怠惰説』に基づく組織をデザインせよ。」⇒日本人はまじめだが、「見られていない」と感じると堕落する性質を持っている。「性善説」「性悪説」でもない性怠惰説に基づく組織づくりが重要だ。
◎「座りにくい椅子を用意する。」⇒座り心地を悪くすると、座っているよりは組織内を動き回まわって、今それまで会わなかった人に自分から出向いて行って会い、情報を手に入れるようになる。組織外にも出かけて行き、お客さんにより頻繁に会うようになる。
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Posted by ブクログ
組織改革の目的は、人の行動を変えること。そのため、行動とその背景にある動機づけに着目し、ありとあらゆる動機づけの仕掛けを変えていくことが具体的な取り組みとなる。
Posted by ブクログ
組織改革の目的は、「人々の行動を変える」こと。元マッキンゼーの東京支社長が、組織内の人々を動かすための組織デザインの方法を語った書籍。
人々の行動を左右する仕組み・仕掛けを「組織デザインのボキャブラリー」という。それは、例えば次のようなもの。
・人の行動を変えること、すなわち行動変容こそが組織を変える目的である。
人の行動変容は、組織デザインという、自分の組織にしか通用しない、個別、具体的なアプローチを通じて行う。
・ほとんどの組織のデザインが、素人仕事に終わっている。
組織のデザインには、意思決定や評価、人材育成などを熟知する必要がある。いかに優秀な担当でも、そのための訓練と経験を積まない限り、素人仕事しかできない。
・絶え間ないラーニングとアンラーニングが、欠かせない時代である。
変化の激しい時代を乗り越えるには「絶え間なく学習し、そして学習したことを捨てる」「過去の常識から脱却する」という2つの行動様式を身につけることが必要だ。
・過去、現在、未来を通じて「正しい」組織を求めない。変化できる組織を志向する。
組織は常に外部からの影響を受け続ける。従って、時代を超えた「理想の組織」は存在しない。より状況に適応できるよう、組織は変化を続けていかねばならない。
・組織の意思決定システムをデザインし直すことには、大きな戦略的価値がある。
事業の変化に伴って、意思決定のあり方も変わる。事業の特性に応じた、きめ細かい対応ができるよう、意思決定システムをデザインし直すことが求められる。
Posted by ブクログ
メモ:企業活動を3つに分ける。変化対応と素早い行動は若者が得意な部分、経験の蓄積が必要な分野は老練な中年が得意な部分、しっかりした先端的仕組みつくりは両者が協同・競争する部分。それぞれに最適な人事システムをデザインする。また、事業特性に応じた意思決定パターン分けをする。
時代を超えて理想の組織、正しい組織は存在し得ない。より状況に適した組織に向けて、変化できる組織を志向する。戦略を継続的に見直し、刷新し、実現できる組織。
Posted by ブクログ
「組織」という分かったような分からないようなものに対して、
言語化を試みた本。
著者はマッキンゼーの元日本代表の方だけあって、
企業の組織を主な対象としています。
いきなり、冒頭から
「組織変革というのは組織の形を変えることではなく、
組織に属する人の行動変容を変えることだ」
といったガツンとした主張から始まります。
組織が変わるときに、部長がメンバーに対して、
「組織は変わるけど、やることは変わらないから」と言っていたら、
その部長はクソだと。
(クソとまでは著者は言っていなかったと思いますが。)
言われてみれば、その通りなんですが、中々ハッとさせられます。
また、「組織は生き物(有機体)」というのも、
どこかで聞いたことがあるような気もしますが、
本を読みながら納得感のある主張でした。
生き物故に、常に揺れ動いており、
だからこそ「コレっ!」という固定解が存在しないのが、
組織の難しいところでもあり、魅力なのかもしれません。
本の中で出てくる「ボキャブラリー」という表現が何とも抽象的で、
分かりにくさを感じますが、
組織の変革に携わる方なら、学びの多い書籍だと思います。
Posted by ブクログ
元マッキンゼー東京支社長の横山氏の「組織デザイン」についての本。「組織論」ではない。氏の「組織デザイン論」の全体像を示したこと自体に意味がある。
主体を誰にするか、ガバナンスの観点、パーパスなどの位置付けなどいろいろと自分なりには、付け加えたいところが出てくるが、それこそボキャブラリーを増やすことはもとより文法を改変することも視野に入れてよい。
以下、意訳も含め、各章にコメント。
組織をデザインする目的は、人の行動を変えること・・・つまり変革論
・人の行動を変えること、すなわち行動変容こそが組織を変える目的である・・・そのとおり
・組織をデザインする上で重要なのはボキャブラリー・・・本書では28ある
・ほとんどの組織のデザインが、素人仕事・・・これは致し方ない面もある
・「小さな幸せグループ」こそが組織の変化を阻害する大問題・・・「性怠惰説」の裏返しか
・「外界との接点」からの発想を最優先すると、優れた組織になる・・・大事
・「性怠惰説」に基づく組織をデザインせよ・・・組織は、ほっておくと何もしない方にいく
・「優しいが実は冷たい」組織ではなく、「厳しいがどこか温かい」組織を志向する
・組織ごとに異なる「体内時計」は能力差につながる・・・「時間による差別化」は、やはり重要
・座りにくい椅子を用意する・・・フォーシングデバイス
組織デザインはプロフェッショナル組織である
・組織の「美意識」に注目する・・・大事
・企業カルチャーは最大公約数にすぎない。各部門にはサブ・カルチャーが存在する
・組織は隅から隅までデザインしてはいけない・・・玄人ならではの視点
・「問題意識」では人は行動を起こさない。「いつまでに」という時間軸を持たせて、「危機意識」に昇華させる・・・「デッド」ラインの重要性
・組織図をいじることが組織デザインだと勘違いする人が多すぎる
・過去、現在、未来を通じて「正しい」組織を求めない。変化できる組織を志向する
・組織は永続しないもの、そう割り切る方が賢明である
・組織デザイナーには戦略立案時に考えるべき二つの落とし穴がある・・・戦略とは「強みへの立脚」であり、また「コインの裏返し」ではない
マッキンゼーの7Sを組織デザインに使う
・マッキンゼーの組織の7Sは、組織の問題を採集・整理する枠組みとして使う・・・チェックリストとして使う
・戦略執行体制としての組織には、デザインする手順がある
・都市デザイン同様、組織においても「ミニ・プラン」アプローチが有効である
・マッキンゼーの7Sのうち、最優先すべき「S」は、シェアドバリューである
意思決定システム、業績モニター評価、人材育成が組織の3要素である
・組織の意思決定システムをデザインしなおすことには、大きな戦略的価値がある
・どんな評価であっても組織に不満は出る。「(評価対象者を)よく見た評価」でありさえすればよい
・「人材重視」のはずの日本の組織だが、実際は人材育成がおざなりである
組織デザインの普遍性、時代性
・組織図の箱、線、配置の意味するあいまい性を理解せよ
・ネットワーク型組織を一般解とするのは危険である。それを成り立たせる特殊状況を棚上げしてはいけない
・組織デザインは4段階に発展する。 ハード論=[実体論=形態=組織の箱→〈機能論=機能のパーツ→構造論=機能のパーツの集まり〉]→ソフトウエア論=OS?