あらすじ
シングルマザーのレイチェルの娘が誘拐された。何者かから、身代金をビットコインで送金し、他人の子どもを誘拐しろと指示されるレイチェル。レイチェルが誘拐した子供の家族がまた身代金を払い、その家族がさらに別の子供を誘拐すれば、娘は生きて解放される。失敗すれば殺されてしまうというのだ。 謎の人物が仕組んだこの連鎖誘拐システム〈チェーン〉に組み込まれてしまったレイチェルは、無関係の子供の誘拐計画を試みることに……被害者から加害者へと変わってしまった彼女の運命は!?
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Posted by ブクログ
「チェーン」は終わらない。
レビュー
プロットが素晴らしいの一言に尽きる。
誘拐犯の子どもは別の誘拐犯に攫われていて、その誘拐犯のもまた別の誘拐犯に攫われ、という、無数に繋がるチェーンという設定自体が秀逸だ。そして、そのシステムの性質上、自分の誘拐だけでなく、繋いだ先の誘拐の成否すら責任を負わなければならない。(会社で人事部のあなたが誰かを採用して、その採用した誰かが採用した人が問題を起こしたら、あなたまでその責任を追及されるということだ。)
この鎖は単なる誘拐連鎖ではなく、システムに組み込まれた時点で、その当事者の身体、そして精神を縛る鎖だ。我が子への愛を担保に繋がっていく。
レイチェルの決断力、カイリーの勇敢な脱出未遂、ピートの協力、誘拐した子どものアレルギー反応など、どれもが予想外であり興奮する要素になっていて、ページをめくる手が止まらなかった。
そして、カイリーとの邂逅も束の間、次のミッションも難儀を極めそうで、非常に楽しみだ。
余談
チェーンといえば、作中にも出てくる「暗号通貨」の技術である「ブロックチェーン」。これは分散システムであり、中央集権的なシステムでないからこそ、改竄を防ぎ、確実な追跡を可能にするものだ。この物語はきっと、この技術の特性を理解して、そこから着想を広げたのではないだろうか。
Posted by ブクログ
癌治療,離婚と最悪の時期を何とか乗り越え,新生活の第一歩を始めようとしたまさにその日,レイチェルに人生最大の悪夢が訪れる。娘が誘拐されたのだ。しかも誘拐犯からの要求は前代未聞のものだった。
誘拐犯が,次の誘拐を要求するという設定がすごく興味深くて読んでみた。普通の人がなりふり構わず,しかし良心の呵責に耐え切れずに苦しみながらも次第に犯罪に手を染めていく過程がものすごくて,でもほとんどの人が「自分もやるかも・・・」と思わざるを得ない。読んでいてしんどくなるうえ,チェーンの黒幕に対するむかつきが半端ないです笑
レイチェルの元夫マーティは悪人ではないんだろうけど頼りなさ半端なくてなんかむかつくし笑
レイチェルも共犯となってしまうピートももちろん犯罪者としては素人?なので,色々失敗や予想外の出来事に見舞われるものの,おおむねは成功して娘のカイリーが返ってくる。
上巻はここまでだけど,娘が無事に帰ってきても終わらないのがこのお話。レイチェルが選んだ被害者は無事に次の誘拐を実行できるのか。