あらすじ
【解説:入山章栄 早稲田大学大学院(ビジネススクール)教授】
ベストセラー『世界標準の経営理論』の著者、メディア出演多数
いま最も注目される入山教授による、日本語版への序文掲載!
人間関係のさまざまな摩擦を、力に変えていくために――
チームで仕事をする誰もが直面するこの問題への処方箋!
仕事のほとんどは、組織やチーム、クライアントなどがあっての、人間関係で成り立っています。
経営トップ、上司、同僚、部下、クライアント、取引先、顧客・・・・・縦横ナナメ、そこかしこに一筋縄ではいかない「やっかいな人」「めんどうな人」「気の合わない人」はいるでしょう。
単に関係を遮断できれば話は簡単ですが、そうもいかないのが難しいところ。なかには「人当たりに難はあるが才能がある人」「業績はよいが、周りを焼け野原にしてしまう人」などもいるからです。
彼ら彼女らと、どのように付き合っていけばよいか?
自分がストレスをためないために、どうすればよいか?
EIのスキルを活かして、誰もが直面する「困りごと」に対処する具体策が満載。
世界最高峰のマネジメント誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』が贈るEIシリーズ、第7弾!
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Posted by ブクログ
炎上してた「職場の困った人」の良書版として紹介されてて興味を持った本。
ケーススタディが中心でEI寄りだった。
読んでてまず思ったのは、自分も対峙者によっては職場の困った人で他人事ではないなと。
また、一見マネジメント向けだけど「人を動かす」という意味では誰にでも当てはまることも多かった。
DeNAの南場さんがモチベを保てない新入社員に「給与をもらって働いてる自覚がないのか」と注意したのが話題になってるけど、そういうマインドセットは外資系のように経営層が評価制度やインセンティブ設計を工夫して、組織の血流を良くしないと浸透しないよねという印象。
上記は日本企業では難しいので、マネジメントがEIをあげて「物事の理解は認知、行動を突き動かすのは感情というのを理解する」が求められてるのかなと思った。(そしてマネジメント職の負荷や組織内での責任が大きくなり、マネジメントになりたい人がいなくなる。。)
360°評価は現場の視座もあがるしいいかもと思ったけど、時間とコストかかるし、性格的に日本人には不向きなんだろうな。。
Posted by ブクログ
【核心的な気づき】
「自分こそが『やっかいな人』になり得る」という自覚がスタートライン。他者への批判やイライラの背景に、実は自分の認知バイアスや未解決の課題が潜む。
【本書で得た有用な視点】
1. 鏡の法則(自己投影のメカニズム)
・他者の言動に過剰反応するとき、自分にも似た傾向がある可能性。
・例:同僚の「遅刻」に苛立つ→自分も期限厳守に固執しすぎていないか?
2. 認知の歪みチェックリスト
・「白黒思考」「過度な一般化」など10のパターンを自己診断。
・実例:
「あの人はいつも私を無視する」(事実?/解釈?)
→ 無視された「具体的な場面」を3つ挙げるよう促す。
3. 感情の温度調節技術
・「熱い対立」(怒鳴る)と「冷たい対立」(無視)のバランス。
・効果的な介入:
- 体温上昇を感じたら「2分間の休憩」を提案
- 沈黙が続いたら「今の意見、どう解釈すれば?」と問いかける
4. 境界線の明確化プロセス
・許容範囲をチームで定義(例:人格否定NG/事実ベースの批判は歓迎)。
・「これは越境行為か?」を判断するフローチャートを共有。
【自己診断ステップ】
1. 過去1週間で「やっかいだ」と感じた相手を3人書き出す
2. 各人物について「自分が同じ行動をしていないか」を反すう
3. 該当例があれば「なぜ自分は許容されると思ったか」を分析
4. 改善策を「Iメッセージ」で言語化(例:「私は~と感じるので、~したい」)
【実践的解決策(本書ベース)】
■ 自己変容編
・身体センサーの活用:
手の震え/発汗を「感情のアラート」と解釈→6秒深呼吸で反応を遅延。
・認知再構成トレーニング:
「あの人は意地悪」→「彼はリスク回避が強いだけ」と解釈変換。
■ チーム改善編
・心理的安全性スコアボード:
匿名で「意見を言いやすい度」を1-5点で評価→月次で共有。
・役割交換デー:
リーダーとフォロワーをランダムに入れ替え、相互理解を促進。
【検証中の課題】
・「認知の歪み」自覚後、具体的にどう行動修正するか(書籍の案例不足)
・多忙な現場で「6秒ルール」を継続する現実的手法
・AIツールを使わない感情可視化の具体策
【総括】
本書の最大の価値は「他者を変えようとする前に自分を見つめる」という視点。特に「無意識の二重基準」(自分に甘く他者に厳しい)への気づきが重要。実践編の具体性にやや物足りなさを感じつつも、EI(感情的知性)を高める基礎訓練として有用。
(※「やっかいな人を資源化」説は私見。書籍では「管理すべきリスク」として扱われている点に注意。)