【感想・ネタバレ】戦始末のレビュー

ユーザーレビュー

感情タグBEST3

感情タグはまだありません

Posted by ブクログ 2020年05月04日

矢野隆という作家は、合戦シーンや勢いのある描写に定評があるのかと思っていたが、本作は各人物の心情変化にスポットを当てており、重厚な心理小説の形を取っている。

多くが殿軍を務める戦国武将を描くが、いずれもその大役を疎み、弱気で臨むという姿が、当たり前ではあるものの、新鮮で面白い。

①禿鼠の股座:秀...続きを読む吉の金ヶ崎の退き口。弱気の秀吉が、己への自信を根拠に反転するという心情変化が面白い。股間の「モノ」と心情を連動させる辺り、非常に作者らしい。

②夢にて候:長篠の戦いでの馬場信春の殿戦。回想が多く、小説世界に入りにくかった。

③勝政の殿軍:賎ヶ岳の戦いの柴田勝政の殿戦。頭で賢く考えるが、思い通りにいかず状況を恨む、柴田勝政の矮小さが目立っただけ…

④四方の器:小牧・長久手の戦いにおける堀秀政の桧ヶ根の戦い。秀政の心情を器の水に例える目の付け所と、唯一の功績であっても晴れない秀政の心情が興味深い。

⑤孤軍:高橋紹運の岩屋城の籠城戦。断トツで好きな話。理を尊びながらもそれ以上に義を信じる高橋紹運と、同じ理を第一に考え理の元に動く子・立花宗茂の対照的な父子の信頼関係が良い。最後の宗茂の涙のシーンは心揺さぶられた。

⑥丸に十文字:島津義弘の関ヶ原における島津の退け口。義弘の決断に至る過程は置いておき、徳川への禍根を、約250年後に明治維新という形で晴らしたという持っていき方が面白い。

⑦我が身の始末:関ヶ原敗戦後の石田三成。最後は殿戦ではなく、敗戦後の自己分析。自身の失態を理への過剰な信用とする分析は面白かったが、話としては冗長の感があった。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年01月28日

決戦シリーズのこの作者の作品は読んでいたので、短編集ではあるがじっくり読んでみたくて手にした。
戦国小説では戦の末、勝敗が決まると敗者は当然、打ち破られるか逃げるか自滅する。そこに焦点を当てた小説である。
それぞれが各自の想いを持ってその場で対応し行動する。
その心の内が味わい深い。「殿軍」の意味も...続きを読む分かった。

このレビューは参考になりましたか?

「歴史・時代」ランキング