あらすじ
NHKドラマ化もされた大人気「まんまこと」シリーズ第3弾!
江戸町名主の跡取り息子・麻之助は、親友とともに様々な謎と揉め事の解決に立ち向かう。ふわりとした筆致で描かれた、6つのあたたかな短編集。
「私は父親になるのかい?」妻のお寿ずから懐妊を知らされ、驚きつつ大喜びする麻之助には、思いもよらぬ運命が待ち受けており――江戸情緒とともに、切ない幕切れが心にしみる1冊。
解説・小谷真理
※この電子書籍は2011年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
うっかり先を知ったうえで読んでしまったけど、それにしてもお寿々が死んでしまったのは悲しい…江戸時代には本当によくあったことなんだろうけど。麻之助が普通を間違えてるのに気がつけていないことが一番悲しい。
早く、麻之助がお寿々の思い出と一緒に幸せを感じられる展開になってほしいから続きを読まないと。
Posted by ブクログ
現在、NHK木曜時代劇で放送中の、『まんまこと』シリーズの第3作である。しゃばけシリーズと違い、純然たる人情時代物であり、捕物帳的要素もある。最初に言っておきたい。一話完結ではあるが、『まんまこと』と『こいしり』は読んでおくべきである。
主人公は、町名主の跡取り息子・麻之助。幼なじみの悪友・清十郎、堅物の吉五郎というおなじみのトリオが今回も健在。なお、町名主とは、奉行所では裁き切れない町内の揉め事を裁定するのが役目。麻之助がどう裁くかが、読みどころの一つ。
「おさかなばなし」。主がいるという噂が立つ〝置いてけ堀〟に、清十郎が落っこちた。噂を探ってみると…悲しい裏側があった。魂が救われる日は来るか。「お江戸の一番」。一枚の番付が生んだ揉め事を、どうせならイベントにしてしまえという話。そもそもの対立理由というのが…。麻之助でなければ収まらなかっただろう。
「御身の名は」。極めて現代的で、やっかいなテーマ。誰にでもある心理だけに、誰にでも降りかかるのが怖い。同情する面もないことはないが…。「おとこだて」。これまた現代的な問題である。お武家といえども、そんな簡単にはいかないとは、知らなかった。もう少しうまい手はなかったのかね。現代なら専門のカウンセラーもいるが。
「鬼神のお告げ」。現代でいう宝くじを巡る、一騒動。麻之助も面倒に巻き込まれることに。本編のコミカルさの裏では、ある事態が進行していた…。こうなるのはちらっとは聞いていたけど、こうするしかなかったんですか畠中さん、と言いたくなる…。
最後の表題作「こいわすれ」。ショックから立ち直れない麻之助を気に掛ける、清十郎と吉五郎。そんな麻之助に持ち込まれたゴタゴタ。何だかにぎやかで、いつものこのシリーズらしい。それだけに、最後のシーンが…。思い切り泣け、麻之助。
この先、麻之助がどう生きていくのか、気になるではないか。既に続編『ときぐすり』が文庫化されているので、読まなければ。江戸時代だろうがネット時代だろうが、人の心は不変なのではないか。畠中作品は、過去と同時に今も描いているように思う。
Posted by ブクログ
こんな大事な巻を読んでなかったとは。先を読んでしまっているので麻乃助は妻お寿ずと生まれてくるはずだった子供も亡くしてももっと飄々とことに当たっているのかと思っていた。こんなにも苦しんでいたんだ。大丈夫と言い続けなくてもいい。気を緩め疲れたと声に出してみていい。友が、親が、周りにいた皆が、心配してくれていたことに気づいた。これで前に進めたということだったんだ。切なかったけど読んでよかった。いや、この巻は読まなきゃだめだった。
Posted by ブクログ
のほほん飄々としていたけど、本当に大事なものを失ってしまうと普通では居られないものです。
しっかり受け止めて前を向いて生きていけるようになりたいです。
Posted by ブクログ
まんまことシリーズ3巻。なんとなく、危ない空気が漂ってはいたものの、まさかの展開。当時の出産は、今よりはるかにリスクの高いものだったとはいえ、なんとも悲しい結果となってしまい、ここまでやるとは思っていなかったので驚いた。友人や家族、周りの人の暖かさが沁みる。
清十郎も仕事を頑張りつつあり、男ぶりが増している。吉五郎は相変わらずまっすぐで、男にモテまくっている。今後、おこ乃やお由有がどう絡んでくるのか、切ない期待を込めつつ。
Posted by ブクログ
日常ミステリー江戸版。
主人公たちが庶民的な、ちょっとした『ご町内』の問題を解決していくシリーズ3作目。
時代が違っても、お金に対する執着、親子関係、男女関係の悩みは変わらないものだったのかな、と思う。
これが外国ものだったらちょっと違うかもしれないが、日本人の物の考え方、というのは確かに不変だと思うのだ。
江戸時代が身近になる。
…にしても切ない展開。
主人公の恋の行方は、もしかしたらそっちへ向かうの???
続編が待たれます。