あらすじ
光り輝く、夜のあたしを見てくれ!
女たちの孤独な闘いを描いた最高傑作。
名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。
「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」
悪魔的な美貌を持つニンフォマニアのユリコ、競争心をむき出しにし、孤立する途中入学組の和恵。
ユリコの姉である“わたし”は二人を激しく憎み、陥れようとする。
圧倒的な筆致で現代女性の生を描き切った、桐野文学の金字塔。
解説・斎藤美奈子
※この電子書籍は2003年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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モデルがあったとは。それが一番のどんでん返しでした。
なかなか入り込めず、感情移入ができない女の独特な人間関係と思考。
東電OL殺人事件をモチーフに、エリート女性たちの転落を作者が書き上げた作品。
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東電OL殺人事件をモデルにした小説。
元の事件はエリート高給取りで一億円貯金もある被害者が、異状な程の安値で売春するという謎に包まれている未解決事件です。
桐野先生の想像力・創造力の前では、まるで最悪の結末までの蟻地獄に吸い込まれるかのようにストーリー展開されていきます。
実際の事件とは無関係のフィクションであり、謎解きではありません。
個性的な登場人物の表面上は美しくとも一皮剥けばグロテスクな本性が顔を覗かせます。
和恵の誰にも真似できない自分への執念は見ものです。
主人公に固有名詞をつけないのは、ユリコの姉ということを印象づけるためでしょうか。
社会的立場やハーフなど属性でしか自分の居場所や価値を示せない象徴のようにしているのかもしれないと考察します。
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あるツイートで腐女子は読むべき課題図書であると書いてあり、いずれ読まなくてはなぁと思いながらも機会がなかったのですがようやく読み始めました。まだ上巻しか読んでないし、元ネタの事件のことも知らないのでどのようなストーリーが展開していくのか楽しみです。
語り手である「わたし」が、いわゆる信用できない語り手なので、物語のどこまでが真実でどこまでが嘘なのかまったくわからない中での読書はちょっとだけしんどいです。
しかもこの語り手、底意地の悪さが半端じゃないので、読んでいてすごく嫌な気持ちになります。よくぞここまでひどい性格や思考でいられるな、と思いつつ、ちょっとだけ似ている人を知っていて(学生の頃の友人)、程度はあれどこういう悪意に覚えはあるな、とは思いました。
和恵のある種純粋で真っ直ぐな姿を滑稽で無知幼稚と描写する語り手の悪意には我が身を顧みてちょっと傷ついたりもしました。
しかし、お金持ちの内部性たちを、豊かさは淫靡であると表現したのには言い得て妙だなと思いました。
豊かさは淫らで享楽的。すごいいい表現だと思う。
女の意地悪さ、プライド、無知、思い上がり、自意識過剰、いろんな悪いものを詰め込んだみたいな小説って印象の上巻でした。(語り手の悪意を通しているからこそ際立っているのかもしれないけれど)
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登場人物それぞれに共感するところがあり、一人の人間のある部分をデフォルメして各人物が出来ているのかなと思いながら面白く読み進めることが出来た。
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初桐野夏生さん作品。
にんげんはグロテスクな生き物だ、と思う。でもそのグロテスクを裏とすれば、反面美しい表の瞬間だっていくつもあるはず。でもこの小説ではそんな瞬間は一切描かれないので、かなり読むのに困憊した。悪意悪意悪意にまみれながら、それでもこの人たちの結末を知りたいと下巻を読むであろう私もなんだかグロテスクな気がする。
「ミツルはこの学校の中で生まれた突然変異なのです。人並み外れた良心と優しさを持った生物。それはきっと、心の中に人より大きな悪魔がいるからなのです。ミツルの中の悪魔が、良心と優しさを育てたのです。」
「姉は私が化け物だと幼い頃から苛めてきたが、私には美しい外見などどうでもよかった。それより、姉のように母に似ていて、血が繋がっていることを目で確認できる方が重要だった。」
「私の中の淫蕩な血は、いずれ私を滅ぼす。そんな予感がして、私は沈黙した。」
「皆、私の主体性などとうでもよかったのだ。
私は他人と一緒の時は主体性を押し潰す訓練をとっくに始めていたのだ。まるで玩具の人形のような私を、誰が心の底から大事に思ってくれるというのだろうか。」
「私は、この学校では子供の振りをしてやって行こうと決心した。
だが、私には育ちのよさが与えた特権的好奇心や無遠慮さはない。
私は自分を欲する人間によって、生きている実感を得ている存在なのだから。」
「だって、すべての原因は、その人間を形作っている核とでもいうべきものに存するのではないでしょうか。
変貌する原因は自身にあったのだと思いますよ。」
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まだ上しか読んでいませんのでなんとも言えませんが
何か瞬発的におおきな驚きや、面白い!と感じる部分はありません。
ジトジトした描かれていることの面白みはとても感じます。
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自分が理解出来ないことへの不安や恐ろしさが嫉妬や差別を生んでいくのだと感じた。
人間は自分が今までされてきたことを無意識的に、周囲の人にしていく生き物なのかもしれないと思った。
なので、核を作る途中にある子供の頃の体験が自身に多大な影響をあたえるのだろう。無力反応。
モノとして扱われてきたから、周囲も自分もモノとしてしか扱えないユリコ
希少価値や理由がないと、自分も周囲も存在するべきではないと考える和子
家庭のどこにも休める場所がない人はどうやって自身の核を作れば良いのだろうか。
普通に生きることって、物凄く難しいのかもしれない。
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桐野さん初めての作品ですが、おもしろすぎてこちらの上下巻読み終わったら違う作品も読んでみたいと思いました。主人公?というか語り手に共感の嵐でした。面白かったです。
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妹のユリコと高校の友達の和恵が娼婦になり殺されるという結末から始まる。
『わたし』の一人語りで、Q女子高の時代から始まる。
とにかく怪物級の美しさを持つユリコへの数々のいじわる、和恵が壊れるよう間違ったアドバイスをして様子を見て笑う、『わたし』の腹黒さ、嫌らしさ。
女子校の内部生、外部生との越えられない壁、努力でもどうにもならない部分を明確にあぶり出している。
『わたし』、和恵が1961年生まれユリコが1962年生まれなので、時代的に古いが今も昔も大差ないのだと思う。
下巻に続く…
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読むのに体力を消耗する作品。
こんなに人間の醜さを文で書き連ねられるのか、と驚かされた。
姉と妹の言い分が違うのも本人と他人の認識の違いからくるものなのかな、でも姉の性格の悪さは読んでて胸が苦しかった。
Posted by ブクログ
名門女子高校に通う女子高校生たちの悪意、嫉妬、陰謀が複雑に絡み合うピカレスク小説。主人公だけじゃなく、登場する人物全てがエグくて、思いやりとか、善行なんてことをこれっぽっちも考えない。
娼婦となるべく生まれてきた美女、ユリコと彼女を心底、憎み続ける姉のマサミの手記に記される日常は食うか食われるかのグロテスクな世界。少女たちは自らの性、知、美を駆使し、他人を踏み台にして欲望を満たそうとする。
彼女たちの努力は認めるけど、どう考えても破滅に向かっているとしか思えない。ユリコの死はすでに示されているが、それは彼女にとって、ようやくの安らぎだろう。
そんな汚れた世界は下巻に続く。
Posted by ブクログ
東電OLモデル人物の心理描写がとにかく圧巻。これが真実だろうと思わずにいられない。周囲の架空人物は邪魔にすら思えたが人物造形もラストも物凄い!桐野ワールド恐るべし。
Posted by ブクログ
主に女性の中に存在する、「他人を攻撃したい気持ち」がとても強い主人公だった。
実生活で、特に親しい間柄の女友達との会話において「なぜこの人は今私を攻撃するような言葉を使ったのだろう?」と思うことがよくある。反対に、「この人の嫌な部分をこの人に伝えたい」と思った時に、それを察させるようなまわりくどい意地悪を言ってしまうことがある。
このような意地悪を含んだ会話をしている時、会話と同時並行して、サイレント口喧嘩が行われているようで、私はこの時間がとても嫌いである。そして、それをしてしまうまでの心の動きが細かく描写されており、興味深かった。