あらすじ
関羽、張飛が非業の死を遂げ、主君劉備も逝き、蜀の危急存亡のとき、丞相孔明は魏の統一を阻止するため軍を率い、五丈原に陣を布く。史料の徹底的な吟味によってよみがえる孔明の「志」! 後漢の光和四年(一八一)、琅邪の諸葛家に次男が誕生した。名は亮。四歳のとき、黄巾の乱が起こった。宦官と士大夫が抗争を繰り返した後漢王朝は衰微し、中国は未曾有の動乱期に入ったのである。父を亡くした孔明は叔父にひきとられ、襄陽で青年期を迎えた。覇を競いあった群雄の多くは滅び、袁紹を破った曹操が北方の大勢力となった。万民の幸福を希求し、天下の形成を冷静に分析する「臥竜」孔明の草廬を、荊州の劉表に身を寄せる劉備が訪れる……。透徹した史眼、雄渾の筆致がとらえた諸葛孔明の新しい魅力と壮大な「三国志」の世界。
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Posted by ブクログ
彼は、なぜ、天下を三分にしなければならなかったのか。
陳舜臣が加える、諸葛亮孔明の真意。
天才軍師ならぬ、平和を愛した宰相、
その、人としての思いとは。
深い。この語りつくせぬ物語は、人の数だけあるということか。
浮屠。三国時代、時は、西暦200年。
この小説に登場し、諸葛孔明に三国各地のあやゆる情報を運んでくるのは、浮屠(ふと)、浮図、仏図-Buddha教徒。
陳舜臣曰く、彼の情報網は仏教徒であったとする説。
孔明その人の思考回路には、紀元前は春秋戦国時代の諸子百家の思想に加えて、仏教の境地も含まれていたか。
下巻。
万民の心の安らぎために苦悩した、男の生き様。