あらすじ
人生の最後に食べたいおやつは何ですか――若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた――食べて、生きて、この世から旅立つ。すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。
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Posted by ブクログ
この本は、死が波みたいに少しずつ、確実に寄ってくる。それは悲しいことでもないし、嬉しいことでもない。
小説でしか触れられない擬似体験だった。
読み進めるのが勿体無いと感じるほどに、
柔らかい文体と五感の表現が美しくて
お気に入りの一節を見つけると何度も読み返しました。
主人公が施設で過ごしたのはたった1ヶ月。
私が本を読んだのは2時間くらい。
でも、体感ではちゃんと“1ヶ月”だった。
時間の長さって、心が決めるんだなって思った。
そして、どれだけ死を受け入れる必要があっても
私が誰かに“死なないでほしい”と思うのは
生きることへの執着があるからで
それが健全だと思った。
Posted by ブクログ
そんなつもりはないのに、めちゃくちゃ泣いてしまいました。
医療者なのでマドンナの寄り添い方が素敵で良かったです。
主人公が最後お父さんに会えて良かった。
私もこんなホスピスで最期を迎えたいです。
Posted by ブクログ
小川糸さんが紡ぐ優しい物語。
ずっとずっとこの穏やかで温もり溢れる世界に浸っていたかった。
美しい景色、雫を支える人たちの優しさ、過去も今も未来も受け入れて懸命に生きた雫の強さにただただ涙が止まらなかった。あっぱれです。
Posted by ブクログ
末期の癌で余命宣告を受けた海野雫は瀬戸内にある島のホスピス「ライオンの家」で最期を過ごすことを決意する。ホスピスでは特にルールはなく、穏やかな環境でレモン島の人々との交流やおいしいご飯とおやつの時間によって、雫の気持ちが変化していく様子が伝わってきた。どんな状況にも臨機応変に対応するマドンナたちのおかげで、入居者たちは安心して最期を迎えることができるのだと思う。「生」と「死」がテーマだけど、優しさと温かさが詰まっていて、心が満たされた。当たり前の生活には幸せが溢れていて、今この瞬間を大切に生きていきたい。
Posted by ブクログ
久しぶりに泣いた。最後が特に涙が止まらなかった。
この本はあたたかいがたくさん詰まっていてやさしい本だけど、現実には症状が進行して最期を迎えることがある。
「最後まで耳は聞こえているから、話しかけてあげてください」このセリフで自分のおばあちゃんのことを思い出した。おばあちゃんはもう話せず、ずっとねたきり。今までは話しかけても無意味だと思っていたけれど近いうちにお見舞いに行って、話しかけてみようと思う。
Posted by ブクログ
最後大泣きした
死に向かう人を描くって、すごく難しいと思うけれど、めちゃくちゃ丁寧に描かれていた
今を大切に。
あと、すごくすごく、人に対する尊厳を感じた。
残された人が後悔しない、というか、雫さんの生き様を受け入れて尊敬している終わり方がすごくすごくよかった。
お父さんが、雫さんをとても愛しているし、でも最後の時に呼ばれなかったことや知らない雫さんがいたことを、自分のせいで苦労したとか思うのではなく、これが雫さんの人生で雫さんが本当に強い人だと感じたところが、とてもとてもよかった。
生きていることを感謝して生きたい、自分の人生を全うしたい、死んだ後も自分の人生に他人のせいと思わせるようなことはしたくない
などなどと思った
Posted by ブクログ
なかなかしんどい話だったけど、救われるところもあった。
私はほんと小さい頃から、死ぬことが怖くて怖くてどうしようもなかった。
最近知ったが、タナトフォビアというらしい。
その気持ちが少しだけ変化したのは、一度いきなり意識が飛んで頭から倒れて救急車で運ばれたときに、意識はないから鼻が折れるぐらいの倒れ方でも痛くなくて、懐かしい人や愛犬がたくさん出てきてすごく気持ちよかった。
そういうことなのかもしれない。
Posted by ブクログ
4点代には乗らなかったけど、3点代後半って感じ。
エリさんが一番好きな?おすすめの?小説。
小川糸さんの、この人の書く人生が好きって言ってた。
とても温かくて死について考えさせられる一冊。
もっと死について直接くらうなら1Lの涙とかのほうが心にダイレクトに届くし、そこまで来ないちょっと表面的な感じで終わってしまった気がしたかも。
瀬戸内に行ってみたくなった。
ーーー
「でもなんとなく温もりがあり」
「なんとなく温もりがあり、その場所に立つとほんの少し大人になったような」
ライオンのおやつp6
空気には、ほんのりと、柑橘系の香りが紛れている。25
ライオンのおやつみたいな、人が亡くなる間際みたいなところで働く経験してみたいな。
死を思って生きることができそう。
思いっきりレモン島を実装して、風や光と戯れる。132
これも健康な今ならできる。いつか急に一生できなくなる可能性もたくさんある。
だから今のうちにしておかないと。
人は楽しいから笑うんやない。笑うから楽しくなるねん。137
タッチセラピーとかいろんなセラピー。俺も興味ある。やってみたいな。
急にこの体に愛着が湧いてきて、手放すのが惜しくなってくる。155
お母さんが出てくるシーンで、急に母が愛おしく、大切にしたいと心から思った。明日ご飯を作って持ってきてあげようかな。182
バッハの曲を聴いたみたい。241
蘇っていうの食べてみたい。248
人生はろうそくみたいなもの。自分で火をつけられないし、自ら火を消すこともできない。一度火が灯ったら、自然の流れに逆らわず、燃え尽きて消えるのを待つしかない。
死について考えさせられた。
ろうそくの火が消えるまで
しーちゃんの一生が綴られた物語、楽しく読ませていただきました。
お父さんと梢ちゃんが会いにきてくれたとき、辛くて泣いてしまった。でも会えて良かった。
私にとっての思い出のおやつは何だろう。
小さい頃に母と作ったフルーツ白玉かなぁ。
久しぶりに作ってみたくなりました。
小豆粥も美味しそうだったから食べてみたいな〜。