あらすじ
江戸末期、坂本龍馬は薩長同盟を成立させると、武力倒幕ではなく大政奉還による無血革命を提言する。これにより龍馬は幕府のみならず諸藩からも命を狙われる身となり、京の近江屋に潜伏することに。そんな折、京都見廻組の刺客が潜伏先を襲撃し、続けて現れた新選組の沖田総司により龍馬は殺害されてしまう。そのまま沖田は江戸に運ばれ養生に努めていたが、数ヵ月後、仇討ちに燃える万次が出現。江戸期最後の死闘が幕を開けた。
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Posted by ブクログ
坂本龍馬を殺したのは誰か……諸説ある近江屋事件から完結までの流れが神懸かっていて、ああ……これを描きたいためにこのスピンオフを始めたのか……とさえ感じる出来栄え。
そもそも正直万次がついているのに坂本龍馬の暗殺どうするんだと思っていたけど、なるほど万次が不死なだけで剣術的にはそんなに強く無いからこそ成立する展開だし、そこに諸説ごちゃまぜにした手腕に唸らされた。
そして、龍馬を失い、決戦に挑む万次(とその相手)の心情描写を補完するかのように無印版原典の逸話やコマが散りばめられて……なんかよい……でもこれ原作者の関与が薄そう(クレジットが原作でもなく協力て)なスピンオフでやって大丈夫なの???な設定やら後日譚やらがさらっと完結までずっと続く。いやほんまに大丈夫???
絵的な話では、沖田総司が乙橘槇絵の三節薙刀を使って戦うシーンは出色の出来。
そして、無印原典ではパンクやメタルバンド関連の人名、作品名がキャラの名前の元ネタになっているのに主要キャラはなぜか「葛飾北斎」所縁なのはなんなんやろな……と疑問に思ってたけど、まさかこんなとこでこんな形で(しかも凶とか偽一とかもいて整合性は微妙)明かされるとはびっくり。いや大丈夫???
完結
唐突な完結!と思いましたが、今回は史実に絡めた物語なので、ここから先はなかなか続けるのは難しいだろうなと思いました。
まずはレジェンドのスピンオフ、相当なプレッシャーの中、描ききった作者に敬意を表します。
ですが、やはり沙村先生の独特な世界観の再現は難しかったみたい。
でもこの巻だけはすごく楽しめました。