【感想・ネタバレ】人口減少社会のデザインのレビュー

あらすじ

「都市集中型」か、「地方分散型」か。
東京一極集中・地方衰退→格差拡大→財政は改善?
地方への人口分散→格差縮小・幸福感増大→財政は悪化?
果たして、第3の道はあるのか。

2050年、日本は持続可能か?
「日立京大ラボ」のAIが導き出した未来シナリオと選択とは。

借金の先送り、格差拡大、社会的孤立の進行……
転換を図るための10の論点と提言。


「集団で一本の道を登る時代」―昭和
「失われた30年」―平成
そして、「人口減少社会」―令和が始まった
「拡大・成長」という「成功体験」幻想を追い続け、
「先送り」されてきた、「持続可能な社会」モデルを探る。


社会保障や環境、医療、都市・地域に関する政策研究から、時間、ケア、死生観等をめぐる哲学的考察まで
ジャンルを横断した研究や発言を続けてきた第一人者による10の論点と提言

①将来世代への借金のツケ回しを早急に解消
②「人生前半の社会保障」、若い世代への支援強化
③「多極集中」社会の実現と、「歩いて楽しめる」まちづくり
④「都市と農村の持続可能な相互依存」を実現する様々な再分配システムの導入
⑤企業行動ないし経営理念の軸足は「拡大・成長」から「持続可能性」へ
⑥「生命」を軸とした「ポスト情報化」分散型社会システムの構想
⑦21世紀「グローバル定常型社会」のフロントランナー日本としての発信
⑧環境・福祉・経済が調和した「持続可能な福祉社会」モデルの実現
⑨「福祉思想」の再構築、“鎮守の森”に近代的「個人」を融合した「倫理」の確立
⑩人類史「3度目の定常化」時代、新たな「地球倫理」の創発と深化

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人口減少社会という確実に見えている未来に向けたあり方を考えるためのヒントとして読書。
幅広いデータに基づいて論理展開されており、
納得感のある論であり、良著。これからを生きるヒントとなりそうな本。

メモ
・今後の持続可能性に関する重要論点
 財政、世代間継承性における持続可能性
 格差拡大と人口における持続可能性
 コミュニティないしつながりに関する持続可能性

・aiによる日本未来シナリオ、都市集中型か、地方分散型かが最大の分岐点

⭐︎経済成長あるいは一人当たり所得水準が一定レベルを超えると幸福度との相関が弱いものになっていく。幸福を左右する要因は
コミュニティのあり方、つながり
平等度ないきは格差
自然環境とのつながり
精神的、宗教的なよりどころなど。

・都市のありようを歩行者が歩いて楽しめる姿にしていくということ。それがコミュニティあるいは福祉的な意味、環境面での効果、経済の観点からもプラスの意味を持ってくる。

・工業化、情報化・金融化ときて次はローカル化に進むのではないか。AI分散型システムにより。グローバル化が落ち着き。持続可能性・幸福への関心が高まっていくのではないか。

・人類史において拡大と成長を大きく2回繰り返しており、定常期には心のビッグバンや精神革命のようなことが生じている。次なる定常化においては?

・これからの社会保障
 人生前半の社会保障の強化。最近スタートラインの格差が広がりつつある
 ストックに関する社会保障の強化。

0
2021年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人口減少時代に突入している日本で、
今後の社会のあり方の考え方を学ぶため、購読。
本書は、都市政策や地域活性化などにも言及しているが、
核となるのは、それらを受けた、
社会保障のあり方への提言だ、と思う。

○本書をまとめると、社会保障のあり方は、
・事後から事前へ―人生の前半への社会保障を厚く
フローからストックへ―住宅などへの保障を
・サービス・ケアの重視へ
・都市政策、まちづくり、環境政策と、社会保障の統合


以下、参考になった部分の要約。←は私のコメント
・現在の日本の地方都市の空洞化は、国の政策の失敗の帰結ではなく、むしろ政策の成功によって、実現した結果である。
←自動車のための道路で分断された都市計画
 住宅と土地を個人が所有し、スクラップ&ビルドする
 住宅政策。

・若い世代への支援が重要。人生前半の社会保障の充実を。

・日本では、人口減少はむしろよいのかもしれない。
 狭い可住地面積に密集しすぎている現状が、
 揺れ戻しで人口減少し、ある均衡点に落ち着く。
 問題は、際限のない人口減少である。
 そのためには、合計特殊出生率が2.0くらい必要。
←人口が増えすぎたのは、将来への期待感からかも。
 右肩上がりだから楽天的に産めよ増やせよとできる。
 逆に現在は、将来の見通しが暗い。
 この暗い見通しが、さらに出産をためらわせる。
 つまり、人口(ストック)と出生数(フロー)
 の間には、自己強化型のフィードバックループがある、ということだ。

・日本は、集団が内側に向かって閉じている。
 ―知っている者同士の間では極端なほどに気を遣い、
 仲間意識を持つ。
 逆に見知らぬ者、ソトの者に対しては関心を向けないか、
 潜在的な敵対関係を持つ。
←まさにその通り。ウチとソトで異様な仲間意識の差がある。気持ち悪い。

・社会資本整備はS字型で進む
←これはよくある普及のロジスティック曲線。
 y=1/(1+exp(-x))
・第4のSは情報化らしい。
←このあと、物質・エネルギー、情報、時間 など、
 かなり哲学的な内容になるので、読みとばしてよい。

・日本の福祉は、社会保障の給付に見合った負担を
 負わせることを回避し、
 将来世代にそのツケを回している。
 これは、困難な意思決定を先送りして、
 その場にいない将来世代に負担を強いるという点で、
 高福祉の欧州、低福祉のアメリカと比べて、最も無責任な対応だ。

・住宅などのストックに関する社会保障が、日本では現在足りていない。
 また、年金制度の在り方は、
 公的年金の必要性が相対的に薄い層(高所得層)に
 過剰ともいえる年金が支給されている。

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2021年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

定常社会論なんだけど、まとめとしての読みやすさがキモ。新しい話はあまり多くないし、突っ込みどころはさらっと流しているけど、ともかくひとまとまりになっているのはありがたい。

0
2023年02月23日

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