【感想・ネタバレ】奇書の世界史 歴史を動かす“ヤバい書物”の物語のレビュー

あらすじ

本書で紹介する奇書とは、数“奇”な運命をたどった“書”物です。

「かつて当たり前に読まれていたが、いま読むとトンデモない本」
「かつて悪書として虐げられたが、いま読めば偉大な名著」

1冊の本を「昔」と「今」の両面から見ると、時代の流れに伴う価値観の「変化」と「差分」が浮かび上がります。
過去の人々は、私たちと比べ、「どこまで偉大だったか」「どこまで愚かだったか」――。
これらから得られる「教訓」は、私たちに未来への示唆を与えてくれるでしょう。

【目次】
魔女に与える鉄槌
~10万人を焼き尽くした、魔女狩りについての大ベストセラー
台湾誌
~稀代のペテン師が妄想で書き上げた「嘘の国の歩き方」
ヴォイニッチ手稿
~万能薬のレシピか? へんな植物図鑑か? 未だ判らない謎の書
野球と其害毒
~明治の偉人たちが吠える「最近の若者けしからん論」
穏健なる提案
~妖精の国に突き付けられた、不穏な国家再建案
天体の回転について
~偉人たちの知のリレーが、地球を動かした
非現実の王国で
~大人になりたくない男の、ネバーエンディングストーリー
フラーレンによる52Kでの超伝導
~物理学界のカリスマがやらかした“神の手”
軟膏を拭うスポンジ / そのスポンジを絞り上げる
~奇妙な医療にまつわる、奇妙な論争
物の本質について
~世界で最初の快楽主義者は、この世の真理を語る
サンゴルスキーの「ルバイヤート」
~読めば酒に溺れたくなる、水難の書物
椿井文書
~いまも地域に根差す、江戸時代の偽歴史書
ビリティスの歌
~古代ギリシャ女流詩人が紡ぐ、赤裸々な愛の独白
月世界旅行
~1つの創作が科学へ導く、壮大なムーンショット

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

本自体は知ってるものもあったけど、その本にまつわる歴史や人の関わりは知らなかったからすごくおもしろかった
ニュートンが偏屈すぎてハレー(ハレー彗星の人)がいなかったら有名人にはなってなかったとか、ハレーの話がちょこちょこあってこの人すごいな〜ってなった
最後が月世界旅行だったのもすごくよかった

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2024年10月14日

Posted by ブクログ

奇書(この本では数奇な運命を辿った書物という意味合い)の紹介。今まで触れたことのない分野で大変興味深かった。
特に面白かったのは、最後の『月世界旅行』。1つのフィクションが人類を宇宙へと駆り立てたなんてロマンがありすぎる。

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2023年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もっとポップで逆要素が強い作品かと思いきや、章ごとの取り上げる奇書に対する説明の入れ込み具合が熱い。ということで、期待以上に自分好みの内容でした。

なんでこんなへんてこな内容が世にはばかるのだよ、と現代人目線で論じることが甘ちゃんで、それぞれの奇書が生まれた時代背景、著者について、当時の世論など多角的にメタ認知をしたうえで、各章の最後に著者が述べている現代へ照らし合わせて考えることが大切なのだろう。

しかし、それでも武器軟膏や魔女に与える鉄槌、台湾誌など現代の常識(これすら未来から見ると非常識なこと大いにありうる)から鑑みると、なんでやねんと突っ込みを入れざるを得ない。もちろん、そんな突っ込みをしても仕様がないことは重々承知の上でのことなり。

通時的に世界史を学ぶのも大切だけど、ニッチなトピックに絞って当時の世相を垣間見るという手法は、非常に興味をそそられる。ロマンや人間味が歴史から染み出てくる感じ。中学・高校の基礎学力の詰め込み勉強にはない、大人の教養・学びの特権ですね。
前者もちゃんとやっとけば、もっと理解が深まるのに―と悔しいし当時の私に諭してあげたい、その授業とっても大切だよって。

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2022年09月19日

Posted by ブクログ

人間はなぜこんなにも間違ってきたのだろう。歴史上の奇書を通して人類の狂乱と過ちを振り返る。本書では単に奇書を断罪するなどということはしない。情報化された現代でさえそのような歴史と地続きであることを思い出させてくれる。人間は真実を見ているのではなく真実だと信じたい物語を見ているのだと教えてくれた。

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2022年04月24日

Posted by ブクログ

トピックのチョイスも素晴らしいし、文調も人を引き込ませるので、どんどん読み進めてしまう。
最後の解説も面白いですね。

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2022年04月23日

Posted by ブクログ

魔女狩りの方法が事細かに書かれたマニュアル、全て作者の妄想・嘘で塗り固められた台湾誌、「野球は右腕ばかり使うため右腕だけ発達するからダメ」と暴論中の暴論を真顔で書いてた野球と其害論、食糧難を回避するためには1歳の子供を食用で育てる「穏便なる提案」、武器に軟膏を塗ったら傷が治る(意味不明)「武器軟膏」の本、、、
まーーじで全部面白かった 頭おかしいの!?え?正気!?!って読みながらぶつぶつ言ってた
理解できないと思いつつも、理解できる。人間の本質は変わってないけど、時代が違えば考えが違う
ちょーおもしろいです 読んでください!

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2022年04月18日

Posted by ブクログ

今は名作とされる手塚治虫作品も、
僅か数十年前には悪書追放運動の標的でした。

同じ本でもその価値は、
時代や社会の流れで、簡単に入れ替わります。
そんな価値の逆転が起きた本がたくさん紹介されており、
読むと止まらなくなります。

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2021年05月22日

Posted by ブクログ

表紙で気になって読んでみたら元がニコニコでめっちゃ笑いましたね。そこで再生数を得ているだけあって、とても分かりやすい文章でした。読者にハッとさせる構成もあり、奇書(数奇な運命を辿った書物)の存在をエンターテイメントとして昇華した『楽しんで読む本』だと思います。シンプルに、歴史に対するスタンスとして、あるいは今の私たちのことを考えさせられる文もあり、読んで損はないと思いますし色んな人に読んでもらいたい一冊だと思います。元になった動画も必見。

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2020年10月26日

Posted by ブクログ

現代の視点で見るとやばい書物ばっかり。でも、現代の人間の視点と、書物が書かれた当時の人間の視点は違う。書籍が発行された当時では、支持されて当然というものもある。
個人的には、『月世界旅行』が世に出されて人類が月に着陸するまでの道のりが感動する。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

動画の下位互換。 大元の動画自体が素晴らしい名作のため本も面白くはあるが、普通にYouTubeかニコニコ動画で動画見た方が良いと思う。

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2025年03月05日

Posted by ブクログ

奇書(偽書)と人物の歴史を追う。筆者の興味は本の中身よりはその数奇な運命を辿る事にあるのだろう。奇書そのものを期待するとやや肩透かしにあった気はするかもしれないが人間ドラマをリズム良く語っておりとても面白い。私も奇書と人物を学んでみようと思った。

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2024年07月12日

Posted by ブクログ

おもしろかった!
ピンとこないジャンルのは流し読みしてしまったけど、魔女裁判や台湾誌など、とても興味深かった。
そして特筆すべきあとがき。著者に完全に同意、これからもどんどん学んで価値観をアップデートしていきたい。

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2023年08月06日

Posted by ブクログ

面白い。
書物をめぐる「人間の泥臭さ」が縦横に描かれている。
さくさく読めた。

脚色された時代劇と違って、実際に解像度を上げて歴史を学ぶとなんと単調なのかと驚くことがある。裏返すとドラマとは人間が介在、解釈するところにしか産まれない。

ヴォイニッチ手稿、穏健なる提案、ルバイヤートが面白かった。
月面着陸には『月世界旅行』がかき立てた夢が駆動していたことも初めて知った。

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2023年02月06日

Posted by ブクログ

現代人から見たら馬鹿げた創作にしか見えない偽書も偏りすぎのヤバ思想も、その時代の人が「信じたい」と強く強く思ったからこそこうして「奇書」として後世まで語り継がれたんだなぁ。
「信じたいものだけ見る」ことの怖さを、全体通して読んで強く思った。
とはいえ、自分たちに都合のよすぎる歴史とか思想が出てきたら飛びつきたくなる当時の人たちの気持ちも分かるっちゃ分かる。私もプロ野球中継延長被害者の会側の人間なので野球有害論とか現代のメディアで現代人が書いてるのを見たら「ほんとそれなー」って思って拡散してたかもしれないし。

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2022年12月08日

Posted by ブクログ

もっと難しい話が展開されるのかと思いきや、何があったのかどう奇書なのかが分かりやすく説明されていて読みやすく面白いし歴史の勉強にもなる一冊

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2022年09月19日

Posted by ブクログ

ひとつひとつの奇書の話が人に話したくなるような魅力がある。世界の見え方みたいなものを考えるきっかけになる本。

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2021年12月14日

Posted by ブクログ

読み応えあり!面白かった。

今では奇書とされる本が、
ある時代には熱狂的な支持を得る

魔女狩りの本、
徹底して破綻の無いよう工作し尽くした「台湾誌」
偽論文を数多く発表した人

信じたいというバイアスが集団規模でかかると
おかしなこともまことしやかに流布し始める

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2021年07月31日

Posted by ブクログ

様々な奇書について短いページでまとめてあるため、とても読みやすかった。
書物自体が奇異というよりは、書物が人類に与えた影響や、著者の人生、書物に対する捉え方といった、書物を取り巻くものにより、奇書となっていたと言える。
YouTubeの音声では入り込めないので、続編を出して欲しい。

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2021年07月12日

Posted by ブクログ

面白いし、少し歴史的な背景を勉強できると思います。挿絵も良いし、注訳も読みやすい。

各書のさわりを読んでしまうと最後まで止まらないのが難点かも。それほど面白かった!

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2021年04月12日

Posted by ブクログ

面白い!装丁も、挿絵も美しく、文体は非常に読みやすい。また取り扱っているテーマも興味深く、少し読み足りない箇所があるぐらいだが、腹八分目で多くの読者に受け入れやすいと思う。
が、何か通常の書籍とは違う。エッセイのような軽い読み口で、マクロとミクロの切り替えも早すぎる。
最後の解説、あとがきで判明したが筆者はYouTubeの動画編集者で、その人気動画をまとめたもの、との事。YouTubeなどの動画文化に乗れないおじさんには衝撃であった。が、納得もできた。動画のような飽きとの戦いにおいては常に引きを切らさないように端的に知的欲求を満たす必要がある。そのための工夫が本書をここまで面白くしているのだ。

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2021年01月01日

Posted by ブクログ

新旧問わず、世界中の奇書を取り上げた一冊。
知っていたのはヴォイニッチ手稿だけだったが、他の本も中身や作られ方などを知れてとても楽しかった。知的好奇心がくすぐられる一冊。

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2020年11月03日

Posted by ブクログ

フィクションが持ち得る強さ 「現実と虚構の区別くらいつけろよ」とよく言われるなかで、本による「嘘」が持つ強さを知った気がする。本はある意味「これは合理的なものだ」と信じ込ませてしまう力があるんだな。それが奇書を産むのだと感じた。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

面白かったです。
時代背景も踏まえながら、現在 奇書扱いされている書物を解説していく。
「語り手は語りたいことを語るし、聞き手は信じたいことを信じる。」
人が持つ想像力、創造力。の面白さ、真剣さが魅力に見える。
聞き手が信じたいことを信じさせる語り手の妙も愉しい。
その当時は愉しいで済まなかっただろうが。

本書が奇書扱いされかな?と思いながら読むことも面白い。

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2020年07月19日

Posted by ブクログ

奇書といっても解読困難なものとか、価値観が無茶苦茶なものとか、嘘だらけだったり破廉恥だったり、様々だ。そんな奇妙な本を紹介するのが本書。常識を逸脱するような中身は見ていて興奮する。こんな時代、世界があったのかと。

少しそのヤバさを引用してみる。

アイルランドでは、貧困層において毎年12万人の子供が生まれている。貧困層において子供たちが働けるようになるまで育成する事は困難である。そのため、両親による子殺しや堕胎が後を絶たない。子供がその両親をこの残酷な状況から救済するため、満一歳になった赤ん坊を富裕層へ食料として高額で販売することを提案する。貧困層の子供を育てるために必要な費用は衣食合わせて年2シリングである。富裕層はよく太った赤ん坊を1人に10シリング支払うだろう。これにより貧困層へ金が回るとともに、国内産業が発展する。
『穏健なる提案』 スウィフト

上記は、本書の解説を読むと、権力者たちの搾取に対して、貧困の中死なざるを得なかった子供たちがいる現状に対し、彼らが口にする美食は、貧民の血肉を貪っているに等しいと言う強烈な皮肉だったともいう。そこまで読むとマトモな感じもするが、文章だけ見るとハッとする。

人類史上大飢饉に陥るとカニバリズムが起こる。日本でも1782年から88年に起こったあの大飢饉では、死者が出た家を訪れて、その肉を求めたり子供を手にかけて食したと言う記録が残されている。つい最近、百田尚樹が中国の人肉食文化を取り上げた本を読んだばかりだが、世界中、この通りだ。

常識的な主張はつまらない。ヤバい書物が病みつきになりそうだ。

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2024年07月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んだのがちょっと前だけど、電車とかで少しづつおもろ雑学読めるみたいな感じで面白かった記憶。ヴォイニッチ手稿とかもあったと思うけど、あれは昔読んでた児童書の怪盗クイーンにも出てきたものだったからテンション上がった!

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2024年01月15日

Posted by ブクログ

古今東西、どれもこれも、奇妙な本ばかりだった。
現代の視点で言えば、何でこの本が流行った?その時代の人たちを洗脳した?と思ってしまうが、情報が少なく、かつ、分断されていたからこその、著者や読者の誤解、社会の常識があったからこそなのだろう。偽書が偽書ではない奇抜な世界。

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2023年12月25日

Posted by ブクログ

◎奇書は大きく2つに分けられるのでは?
○社会に自分の知識を披露する為のもの、自分の欲求や美意識の赴くままに制作したもの。
→いや、よくよく考えてみれば。上記の考察は、
「人が食事するとき2つの方法がある。右手で食べるか、左手で食べるか。」ていどの話ししかしてないかもしれん。人の衝動が外に向くか、内に向くかという話になる


◎椿井文書、台湾史のような偽書は情報が溢れた現在の方が作りやすいのでは?
○ビコリム戦争、ウクライナ戦争の飛び交うプロパガンダ
→ネットやsnsの映像を盲信しすぎている?

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2022年10月19日

Posted by ブクログ

おもしろかった。奇書より偽書って感じ。偽書じゃないものもたくさんあったけど、印象に残るのはやはり偽書。
偽書、成立の背景や伝わり続けた歴史や、裏にある人々の思惑やらがとても面白くて、ロマンがあるよな…

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2022年09月01日

Posted by ブクログ

世の中のさまざまな奇書を紹介されている本で、当時の価値観と今の価値観を対比しながら開設されていた。
本中で著者も言われていたが、当時正しいと思われていたことが、今は間違いとわかっていたり、反対に当時間違いだと思われていたことが今は正しいと思われていたり、その時々で何が信じられるのかで世の中の事実が作られている。
今の時代は自然科学主義の人が多いが、自ら科学に関わって信じているわけではなく、なんとなけ信じている人も少なくない。
この本で紹介されていたけれど、世界の科学者たちがある1人の人に騙され続けていたこともあるなど、人は全てを知ってそれを信じるのではないことがよく理解できた。

だからこそ、何を信じるのか?自分の中のスピリチュアル的な価値観が必要なのだろう。

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2021年11月04日

Posted by ブクログ

歴史は面白いこと言った人が勝ちみたいな
確かに当たり前だと思って受けている世界史の授業だけど
教科書に載る前に、誰かが口伝していく間に、嘘が混じったりしているかも事実は異なるのかもと思ってわくわくした
絶対本当だとは限らないよなあ私たちの教わる歴史っていうのはというあたりまえのことに気づけた 

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2020年11月19日

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