もっとポップで逆要素が強い作品かと思いきや、章ごとの取り上げる奇書に対する説明の入れ込み具合が熱い。ということで、期待以上に自分好みの内容でした。
なんでこんなへんてこな内容が世にはばかるのだよ、と現代人目線で論じることが甘ちゃんで、それぞれの奇書が生まれた時代背景、著者について、当時の世論など多
...続きを読む角的にメタ認知をしたうえで、各章の最後に著者が述べている現代へ照らし合わせて考えることが大切なのだろう。
しかし、それでも武器軟膏や魔女に与える鉄槌、台湾誌など現代の常識(これすら未来から見ると非常識なこと大いにありうる)から鑑みると、なんでやねんと突っ込みを入れざるを得ない。もちろん、そんな突っ込みをしても仕様がないことは重々承知の上でのことなり。
通時的に世界史を学ぶのも大切だけど、ニッチなトピックに絞って当時の世相を垣間見るという手法は、非常に興味をそそられる。ロマンや人間味が歴史から染み出てくる感じ。中学・高校の基礎学力の詰め込み勉強にはない、大人の教養・学びの特権ですね。
前者もちゃんとやっとけば、もっと理解が深まるのに―と悔しいし当時の私に諭してあげたい、その授業とっても大切だよって。