あらすじ
適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、ビジネスパーソンは経験から多くのことを学ぶことができる。これが筆者の主張の核心部分である。優れたマネジャーへのヒアリングを多用し、現場で応用可能な育成ツールも紹介しながら、『経験から学ぶ力』の身につけ方を解説する。
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Posted by ブクログ
評価
学びと成長、そして育成の基本が詰まった一冊。
事例の豊富さとわかりやすさがあり、とくに部下の成長になやむ上司が
見るべき一冊と考える。
自分の成長欲求が高いと思う社員も見ることで、
足りないこと、過剰なことがわかってくるとも考える。
内容
経験から学ぶ3つの要素
・ストレッチ(挑戦)
・挑戦する方略を立てて土台を作る
大きな目標を立てなければ、できることしか経験しない
一つ一つの小さい挑戦が積み重なって大きな経験になる
・周囲の信頼を得てストレッチ経験を呼び込む
この人に挑戦してほしい。という気持ちを起こさせる
周囲に期待をされることで、自分の望む機会を手にする
・できることをテコにつかってチャレンジする
適度に難しい課題をつくることで、意欲と成長実感尾作る
・エンジョイ(楽しみながら)
・面白さの発見
・意味づけ(あらたな)
・我慢
・リフレクション(振り返る)
・行為の中で内省する
回数とタイミングが重要。
常に学ぼうとすることが行動に表れて成長が早まる
・他者からのフィードバックを受け入れる
フィードバックはありがたいもの
立場が上がれば直接的なことは言われづらい
・批判にオープンになり未来につなげる
批判は改善成長の種
防衛反応が起こることを理解してうけいれる
今までを見つめるのではなくこれからさらによくするにはという
視点にたつ
経験から学べるためのスタンス
・思い
自分のためと他者のため。そして適切さが必要
他者と自分との二つの軸が融合すると伸びる
・つながり
人は一人では学べない
発達的なつながりが個人に成長をもたらす
①多様さ・強さ ➡ ②支援(心理・キャリア)・モデリング ➡ ③個人の結果(スキル・気づき・責任・昇進・キャリア転換)
成長を促すOJTに必要な経験学習要素
・目標の適度なストレッチ(P)
・1.2倍のストレッチがベスト(懸命に手を伸ばすと届く)
・成長した後のイメージを持たせる
・成長していることを伝える
・相談や進捗での相談と内省促進の問い(D・C)
・上司から場をつくる
・定期的に個別MTGでしっかりと聴く
・こまめに時間を取って見えるかする
・本人視点の成功失敗要因を語らせる
・成功と失敗をパターン学習させる
・よりよくする点を考えてもらう
・ポジティブフィードバックによる自信と形式知(A)
・成果にかかわらずまず労をねぎらう
・良い点から悪い点にする
・普段の行動のなかでの生長点を見つけて伝える
部下をつぶす上司
・目標が高すぎる
・ほったらかし
Posted by ブクログ
会社からたくさん研修や学びの機会は与えられども、やっぱり、仕事の経験からの学びが多い。そして、もっとこの経験を成長に変えたい、効率よく成長したいと思う。
経験学習という言葉を知って、読むことに。
豊富な実例が掲載され、理論と実践のイメージがつきやすかった。
何度も読みたい。この経験学習のサイクルを取り入れて、日々、定期的にリフレクションしたいな。
Posted by ブクログ
人は経験から学ぶことができる。
知識の固定化は学ぶ力を阻害してしまうから不必要な部分を捨て、改善を図る必要がある。
組織の階層があがるにつれて異なるスキルが必要になる。
仕事は1番下のところからやってみないと分からない。
信頼はどんな仕事でも質の高いものにすることで得ることができる。
自分の頭で考える「ノウイング」を実施できるかどうかで経験からの学びの度合いが変化する。
効率化と考えなくなることの折り合いをどのようにつけるか。
疑問をもつことは自分で考えること。
人が経験から学ぶ上で他者が大きな影響力をもつ。
様々な集団の友達をつくることで自分の経験学習に活かすことができる。
人の成長には「思い」「つながり」「楽しみながら挑戦」がキーポイントであると感じた。
Posted by ブクログ
体験学習のサイクルを学びたい人にオススメです。
体験学習に必要な3つのサイクルを自分なりに言い換えると、チャレンジ•リフレクション•HAVE FUNです。
思いやり=個人と集団のありかた
つながり=ネットワーク
と言い換えることができるかなと。
自分なりの言葉に置き換えて、クラスにどう落とし込むか
思案中です。
経験学習のリフレクションシートも活用できそうです。
文章構成も非常にわかりやすく、学術的根拠もしっかりとしているので、オススメです。
Posted by ブクログ
経験から学ぶとはどうすることかがわかる本。具体的には、ストレッチとリフレクションとエンジョイメントの3つの要素があり、個々に説明を加えている。
Posted by ブクログ
昔読んでそのままになっていたので、改めて読んでみた。
経験から学んで成長する人とそうでない人、その違いとは何か、あるいは人を成長させる仕事、環境とはどういうものか、分かりやすくまとまっていて本当に良い本だな、と改めて思った。
ストレッチ・リフレクション・エンジョイメント、そしてそれぞれのドライバとなる「思い」と「つながり」。それぞれ独立しているものでもなく相互に関係していて、どれかが欠けているとどこかで行き詰まる時がくる。それぞれをバランスよく伸ばしていくこと、整えていくことがポイントなのかなと感じた。
Posted by ブクログ
経験から学び、成長する人財は、ストレッチ、リフレクション、エンジョイメント、そして、つながりと思い。
どうやってOJTを浸透させればいいのか、そもそもOJTってどうやるの?の解があった気がします。
Posted by ブクログ
(要約)
人は経験を通して成長する。
しかし、経験しただけでは学びにはならない。
成長するためには、経験を「振り返り」「意味づけ」「次に活かす」ことが重要。
具体的経験(実際にやってみる)
省察(何が起きたか・なぜそうなったかを振り返る)
概念化(学びを言語化・理論化する)
実践への応用(次の行動で試す)
上司や先輩が「経験を学びに変える支援者」になることが大切。
例:フィードバック、対話、問いかけ
失敗や試行錯誤を学びの機会として捉える文化をつくる。
OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を「やらせる場」ではなく「考えさせる場」に変える。
「経験学習」は、特別な研修ではなく日常の仕事そのものが学びの場になるという考え方。
つまり、職場のマネジメント次第で、人はどこでも育つ。
Posted by ブクログ
適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができる。
他者に奉仕することに意義を感じることが、プロフェッショナルの条件。
やりたいことにこだわり過ぎる人は伸びません。「サラリーマンとはこういうものだ」と腹をくくり、達観できる人は伸びます。腹をくくり、覚悟を持って臨めば、成長のための根っこができる。
なるほどと腹に落ちる内容でした。
Posted by ブクログ
「適切な思いとつながりを大切にし、挑戦し、振り返り、楽しみながら仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができる。」
後輩指導のために手に取ったが、指導するために自分の仕事への思い、これまでどんな風に仕事をしてきたかなど、改めて振り返る必要があると感じた。
指導する側の成長も期待できる良書。
読み直しながら活用したい。
Posted by ブクログ
自己成長の考えかたがまとまっている。成長のサイクルに悩んでいる人向け。
時代に合わせた学び直し(アンラーン)をしていこうと思った。
自分に合う仕事ではなく、仕事に合わせる。没頭(フロー状態)する事で好きになる。なるほど。
Posted by ブクログ
本書により、なんとなくイメージしていた経験と成長について整理ができ改めて自分の課題を考えるきっかけとなった。
同じ経験をしても、「経験から学ぶ力」の差で、得られる成長や次の経験の呼び込みが変わってくるため、自身で理解し実践していくことはもちろんのこと、メンバーに対してもその視点からのOJTを今後実践したい。
「思い」「つながり」を原動力として、「ストレッチ」「リフレクション」「エンジョイメント」の三要素が「経験から学ぶ力」となるわけだが、自身の職務と今後の成長を考えると、より高いストレッチの設定につながる「思い」「つながり」の引き上げが重要と思われ、他者と自分に恩恵をもたらす適切な大きな思いを改めて考えること、本音で自ら発信してフィードバックを求めるつながりの実践は意識して進めたいと思った。特にフィードバックを得ることは、本書のリフレクションや中原淳著「フィードバック入門」にも重要性が示されていたが、なかなか実践できないものだ。
Posted by ブクログ
経験から学ぶ力とは何かという普遍的なテーマについて研究された本。とっつきづらさがあるが、文章は平易で非常に読みやすい。ふわっとしたテーマをよくここまでまとめてあると思う。一方で、概念的な話が多くなるので現場で長くやっている身からすると「それは知っている」と読み流してしまう文章が多いのも事実。ここを読み飛ばさずに意識的に再度自覚することで再現性を持たせることが大切な気がする。
Posted by ブクログ
仕事で成長する人の特徴についてわかった。自分はストレッチの経験が少ないかもしれないと思ったので、仕事が始まったら積極的にてを上げて行きたい。また地味な仕事を丁寧にすることが次の大きな仕事につながると感じたので、価値を見出して丁寧に頑張っていきたい
Posted by ブクログ
職場が生きる 人が育つ「経験学習入門」 を読んで実践
本を読んだり、研修を受けるだけではほとんど学習効果はない。
成長したいとき、成長させたいとき、みなさんは何をしますか?僕はこの本を読むまで、研修、読書のようなインプットを増やすことをしてきました。しかし、研修や読書による学習定着率はかなり低いことがアメリカ国立訓練研究所の研究でわかっています。学習方法と平均学習定着率の関係は「ラーニングピラミッド」で表すことができます。これによると読書や研修による学びはたった10%以下しか定着しません。一方で自ら体験したり、他人に教えるとその定着率は75%以上と読書や研修の7倍以上の学習定着率です。この考え方が元になっているのがこの本の「経験学習」でした。もちろん、読書や講義の意味がないと言っているわけではありません。そこで学んだことを他人に教えれば学習定着率は90%を超えるわけですから。
また、この本では仕事の中で経験した事をアウトプットする事で学習定着率を向上する取り組みが書かれています。ただ、漫然と仕事をするのではなく、仕事をして学んだこと、次回以降に生かせる学びがあったか、反省すべきことがあったかなど具体的に誰かに話すこと、アウトプットする事で自らを振り返る実践方法が書いてあります。ただ、本人にとってあまり挑戦的ではない仕事である場合は仕事中の試行錯誤が少なく、そこから得られる教訓も少ないので適度な難易度の仕事が必要です。また、適度な難易度の仕事は本人がやりがいや面白さを味わうことにも繋がります。
これをふまえて、以下のようなアクションを実施しました。
アクションと結果
【アクション】
1.経験学習のサイクルを作る仕組みを作りました。具体的には各人が自らを顧みる機会として、フォーマットを決めて仕事の振り返りをしてもらいます。そこから、1on1ミーティングを通して、教訓を引き出すように話を聴くことに徹します。最後に、その教訓を他に活かせるかを考えてもらいます。経験学習のサイクルとは、具体的経験をする→内省する→教訓を引き出す→新しい状況に適用する→最初に戻る のサイクルです。
2.1on1ミーティングで話す時にフォーマットを決めました。
期間内に行った仕事の概要
経験したこと(うまくいったこと、いかなかったこと)
学んだこと
自由に記入すること
経験したことの点数付(5段階評価)
①評価項目は挑戦的な課題か
②良かった点や改善点を見つけたかどうか、やりがいや意義、面白さを感じたか
③具体的には挑戦的な仕事かどうか、仕事から教訓が得られたか、
【結果】
気づきが得られていることを実感できるようになりました。あえてアウトプットする場を作ることは有効で、そのフォーマットを決めることで話し易くなりました。定期的な1on1は形骸化、書くことが面倒になってしまうことがあります。聴く側のスキルが大事だと思っています。話す側に話したいと思ってもらえれば良いのですが、こちらも学ばなければなりません。
本の概要と感想
本の冒頭、2人の営業マンの話があります。二人とも同じような経歴と実績を持っていましたが、だんだんと差がついてきます。一人は黙々と自分で改善をするタイプ、もう一人は悩んだ時に率直なアドバイスをくれる人が数名います。最終的に後者の人が伸びていきます。この話から、自分自身で反省するには限界があり、人が成長するには社内でも社外でも、誰か気づきを与えてくれる人の存在が必要であると言えます。また、その存在は30代以降に非常に大事になってくると思います。本の中である調査結果が示されます。それは30代以降は成長実感がどんどん下がり、35を超えたあたりからほぼ成長実感が横ばいになってしまうということです。原因は知識の固定化です。新しいかちをこの年齢の時に、気づかせてくれる相手や社内での仕組みがあれば、また成長を感じることができると思います。
Posted by ブクログ
職場における経験学習、人材育成を平易な文章・グラフ、具体例などを交えて書いた本です。
自分としては、「アンラーニング(学びほぐし)」での時代遅れになった知識を捨てる。「リーダーは持論を構築すべき」「ただし、持論は常に改定し続けていないといけない」今の時代に必要な力かなと感じ。
そして、「knowing」他者の知識や書物の知識を「道具として」使用しながら、新しく知識を作り出しているという部分に非常に共感致します。
全体を通して、職場でそのまま使える内容となっており、部下の指導に使用しています。
Posted by ブクログ
「学習する組織」の副読本を意図して買ったものの、内容は組織論ではなく個人の成長とコーチングに関するもの。組織論をマクロとすればこれはミクロにあたる。
あては外れたが、ベーシックな成長手法の紹介としては大変わかりやすく、また納得いくものであった。
「業績の達成」を目標とするよりも「能力の向上」を目標としてほうが成長率が高いことは、言われてみれば自明だが指摘されるまで気が付いていなかった。
Posted by ブクログ
適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができる。
・思い
仕事をする上で大事にしている考え方や価値観
・つながり
他者との関係性
3要素
* ストレッチ
高い目標を達成に向かって挑戦する姿勢
* リフレクション
何が良くて何が悪かったかを振り返ること
* エンジョイメント
やりがいや意義を見出して、仕事を楽しむ
経験から学ぶ力を持っているかどうかが成長を左右する
初心者→ 見習い→ 一人前→ 中堅(30.5%)→ 熟達者(10.8%)
時代の変化に合わせて自分を柔軟に変える
業務を遂行するための能力が高まることを能力的成長、仕事に対する考え方が適切なものになることを精神的成長と呼ぶことにする。
* テクニカルスキル
専門的な知識や技能
* ヒューマンスキル
他者とコミュニケーションしたり、集団を率いる能力
* コンセプチュアルスキル
自分たちを取り囲む環境の動きを察知したり、戦略的に物事を考える力
普通の人には真似できない高度な知識やスキルを持つと同時に、他者に奉仕することに意義を感じることが、プロフェッショナルの条件といえる。
名選手が必ずしも名監督になるとは限らない
能動的惰性
過去に成功した手法に頼り、それをさらに強化して対処しようとする性向。
アンラーニング(学びほぐし)
時代遅れになった知識を捨てること
リーダーは持論を構築すべき。ただし、持論は常に改定し続けていないといけない。
自分の得意技を捨てること
人の成長を決める要素の比率
・70:20:10の法則
直接体験、他者の観察アドバイス、読書・研修
他者を模倣しながらも「疑問を持ち、自分で考える」姿勢
本質は何か?
守破離の考え方
守とは、先人が積み重ねてきた方を模倣し、習得すること
破とは、自分なりの工夫を重ねる努力をすること
離とは、自分独自の技術を生み出すこと
経験には、他者から与えられる側面と、自ら創り出す側面がある。
コルブの経験学習サイクル
1. 具体的経験をする
2. 内省する
3. 教訓を引き出す
4. 新しい状況に適用する
よく考えられた実践
1. 課題が適度に難しく、明確であること
2. 実行した結果についてフィードバックがあること
3. 誤りを修正する機会があること
永田農法
水や肥料を最小限しか与えないことで、植物が持っている自ら成長する力を引き出す農法
植物を甘やかさない。満腹だとなまけものになります。
植物の根っこの部分。
ーー
人間の基礎に当たる?
ーー
人間の場合でも、情報を与えすぎたり、何から何まで教えすぎると、自分で考える力が低下していきます。
土台づくりの経験は、挑戦の基盤づくりであり、それを足場としてよりレベルの高い仕事ができるようになる。
成長するためには、苦手なことを練習することが大切だ。
適度に難しい課題に取り組ませることで、部員の意欲を高めた。
目標が高くとも、因数分解して、やるべきことを分け、できるところから1つずつつぶしていけば乗り越えられるものです。
「挑戦のための足場づくり」をしているかどうかの違い
ノウイング
他者の知識や書物の知識を「道具として」使用しながら、新しい知識を作り出している。
知識共有のジレンマ
知識共有は効率化のためには、有効な手段ですが、知識共有を進めすぎると、メンバーが自分で考えることを阻害してしまうことがある。
「もっと良い方法はないか」といったことを考えながら仕事をする
「行為の中で内省する」ことは、物事の本質を考え、疑問を持ちながら、常に改善を目指すことを意味します。
世の中の動きが見えるように常に自分のレンズを磨いている。ルーチンワークに思えるような仕事の背景や意味を考える。
情熱的謙虚さ
自分が正しいという熱い思いを持ちつつ、自分が間違っている可能性についても考える傾向
内省的実践
仕事や問題の本質を考えながら、自分の行為を振り返り、自分の持論やノウハウを問い直すこと
自分への思いと他者への思いを融合する。
聖書の黄金律。仏教の自利利他。
プロであり、使命感を持ち、誠実で、視野が広い人と付き合う。
関係の強さと関係の多様さという2軸
* 受動的ネットワーク
* 伝統的ネットワーク
* 機会主義的ネットワーク
* 起業家的ネットワーク
職場外から率直な意見を聞く
人を選び、誠実につきあう
自ら発信し、相手を受け入れる
挨拶するということは心を開くことを意味します。畑に肥料をまいて育てるのと同じように、人間も『声』をかけると育ちます。
調子が良くて記録も上がったときに、『どうして良かったのか?』と考えること。
いつも順調に行くわけではないし、必ず崩れる時がくる。それがわかってないと調子を元に戻せなくなってしまう。いちばん大切なのは、悪くなったときの『リカバリー能力』なのだ。
* 成功失敗の原因探求
* 成功失敗のパターン
* より良い方法
良い点→悪い点という順番の方が、受け手の吸収能力を高めることができる。
* 目標のストレッチ
* 進捗確認と相談
* 内省の促進
* ポジティブ・フィードバック
チャールズ・アレン(技術者)
1. やって見せる show
2. 説明する tell
3. やらせる do
4. チェックする check
Posted by ブクログ
経験学習という概念が非常にわかりやすく説明されていた。ちょうど、チームのリーダーとしてどうして行くべきか、考え出したタイミングで読んだので、気づきが多かった。特に印象的だったキーワードは「進行形の内省」「情熱的謙虚さ」「フィードバックを求めてみる」「指導者からの声かけで情報収集」「行為中のリフレクションが行為後のリフレクションの質を決める」
Posted by ブクログ
人事施策のひとつである目標管理制度。
その上位概念にあたる部分を分かりやすく解説してくれています。
さまざまなモチベーション理論や組織論を解体し、著者なりに構築していくので、それなりに普遍性のある理論であると思います。
目標×振り返り×意欲
コミュニケーションと理念
よくある、たったひとつの自分の成功方法をひけらかしたハウトゥーものではありません。
Posted by ブクログ
「爆速経営」でお薦めされていた著書。
マネージャー経験者の具体的なアドバイスが多く掲載されていて、共感できた。
・コルブの経験学習サイクル
①「具体的経験」をした後、
②その内容を「内省し(振り返り)」
③そこから「教訓」を引き出して
④その教訓を「新しい状況に適用する」ことで、
学ぶ
元ラグビー日本代表監督で、現在、神戸製鋼ラグビー部の総監督を務める平尾誠二氏は、コーチのアドバイスのあり方について次のように述べています。
「ぼくは、コーチのアドバイスには三つのポイントがあると思っています。
一つめは、教えることを一つか二つにしぼり、できるだけ簡略化して伝える。
二つめは、頑張ったらできることしか言わない。
三つめは、それができたら状況が激変したことを、必ず本人が実感できる」
…育て上手の指導者は、…、「目標のストレッチ」、「進捗確認と相談」、「内省の促進」、「ポジティブ・フィードバック」という四つのカテゴリーからなる指導方法をとっていることが明らかになりました。
…
すなわち、育て上手の指導者は、①「計画」を立てるときには、若手がより高い目標に挑戦するように励まし、②「実行」時には、相談しやすい雰囲気を作って仕事の進み具合について確認し、③仕事の成果を「評価」するときには、成功や失敗の原因を考えさせるなど内省を促し、④教訓を引き出したり「改善」する場合には、改善ポイントだけでなく、必ず良い面もフィードバックする傾向にありました。
人材をつぶす傾向が高い指導者は、一年目の新人を指導する時に、「目標のストレッチ」と「ポジティブ・フィードバック」のいずれもが不足していました。これは、「成長のイメージを持たせたり、成長を期待する」こと、「成長している点を伝える」ことが不足しているためだと思われます。つまり、「放ったらかし」の指導方法をとっているのです。
一方、人材をつぶす指導者は、二年目以降の若手を指導するときに、「目標のストレッチ」が過剰になる傾向がありました。「懸命に手を伸ばしても届きそうもない目標」を持たせたり、「過度に
成長を期待」することによって、つぶれてしまう若手が出ると思われます。
要は、「一年目の放置と、二年目以降のスパルタ」の取り合わせが、人材をつぶしてしまう指導者の特徴といえるでしょう。
・経験学習チェックリスト
ストレッチ
挑戦のための土台づくりをしている
周囲の信頼を得てストレッチ経験を呼び込んでいる
できることをテコに挑戦を広げている
リフレクション
行為をしながら振り返っている
他社からフィードバックを求めている
批判的な意見にも耳を傾けている
エンジョイメント
仕事の面白さの兆候を見逃さないようにしている
仕事の背景を考えて、意味を見いだしている
即効的楽しさを追わず、後から来る喜びを待っている
思い
自分のことだけでなく他者のことを考えて働いている
業績や成果だけでなく、能力の向上を目標としている
つながり
職場外から率直な意見を聞いている
人を選び、誠実につきあっている
自ら発信し、相手の意見を受け入れている
Posted by ブクログ
「爆速経営」でお薦めされていた著書。
マネージャー経験者の具体的なアドバイスが多く掲載されていて、共感できた。
・コルブの経験学習サイクル
?「具体的経験」をした後、
?その内容を「内省し(振り返り)」
?そこから「教訓」を引き出して
?その教訓を「新しい状況に適用する」ことで、
学ぶ
元ラグビー日本代表監督で、現在、神戸製鋼ラグビー部の総監督を務める平尾誠二氏は、コーチのアドバイスのあり方について次のように述べています。
「ぼくは、コーチのアドバイスには三つのポイントがあると思っています。
一つめは、教えることを一つか二つにしぼり、できるだけ簡略化して伝える。
二つめは、頑張ったらできることしか言わない。
三つめは、それができたら状況が激変したことを、必ず本人が実感できる」
…育て上手の指導者は、…、「目標のストレッチ」、「進捗確認と相談」、「内省の促進」、「ポジティブ・フィードバック」という四つのカテゴリーからなる指導方法をとっていることが明らかになりました。
…
すなわち、育て上手の指導者は、?「計画」を立てるときには、若手がより高い目標に挑戦するように励まし、?「実行」時には、相談しやすい雰囲気を作って仕事の進み具合について確認し、?仕事の成果を「評価」するときには、成功や失敗の原因を考えさせるなど内省を促し、?教訓を引き出したり「改善」する場合には、改善ポイントだけでなく、必ず良い面もフィードバックする傾向にありました。
人材をつぶす傾向が高い指導者は、一年目の新人を指導する時に、「目標のストレッチ」と「ポジティブ・フィードバック」のいずれもが不足していました。これは、「成長のイメージを持たせたり、成長を期待する」こと、「成長している点を伝える」ことが不足しているためだと思われます。つまり、「放ったらかし」の指導方法をとっているのです。
一方、人材をつぶす指導者は、二年目以降の若手を指導するときに、「目標のストレッチ」が過剰になる傾向がありました。「懸命に手を伸ばしても届きそうもない目標」を持たせたり、「過度に
成長を期待」することによって、つぶれてしまう若手が出ると思われます。
要は、「一年目の放置と、二年目以降のスパルタ」の取り合わせが、人材をつぶしてしまう指導者の特徴といえるでしょう。
・経験学習チェックリスト
ストレッチ
挑戦のための土台づくりをしている
周囲の信頼を得てストレッチ経験を呼び込んでいる
できることをテコに挑戦を広げている
リフレクション
行為をしながら振り返っている
他社からフィードバックを求めている
批判的な意見にも耳を傾けている
エンジョイメント
仕事の面白さの兆候を見逃さないようにしている
仕事の背景を考えて、意味を見いだしている
即効的楽しさを追わず、後から来る喜びを待っている
思い
自分のことだけでなく他者のことを考えて働いている
業績や成果だけでなく、能力の向上を目標としている
つながり
職場外から率直な意見を聞いている
人を選び、誠実につきあっている
自ら発信し、相手の意見を受け入れている
2025/5/31
===
第1章 成長とは何か
ある大手メーカーの人材育成部門のマネジャーから興味深い話を聞くことができました。
このマネジャーが、入社一年後に行われる研修を担当していたときのことです。一五〇名ほどの若手に「一年間、どのように働いたか」についてレポートを書いてもらったそうです。
それをじっくり読んだ彼が、仕事を通して成長した新人と、あまり成長しなかった新人の違いを分析したところ、成長した新人の特徴は、本書の「経験から学ぶ力のモデル」が示すものとほぼ一致することがわかりました。
第一に、彼らは、上司や先輩の意見や指示をただ鵜呑みにするのではなく、自分だったらこう思う、 というように、自分の頭で主体的に考えて、常により良いものを目指そうとする姿勢を持っていました ( ストレッチ)。
第二に、業務を通じての成功や失敗を謙虚に振り返り、それぞれの要因をしっかりと整理した上で、 今後に向けてどうすべきかを考えていました(リフレクション)。
第三に、自分がやりたい仕事でなくても、決して後ろ向きにならず、プラス思考で常に前向きに仕事に取り組んでいました(エンジョイメント)。
最後に、彼らは、グループの目標とは別に、個人としての仕事を進める上での基本姿勢や目標を自ら定め、何のためにやっている仕事なのかを全社的視点でとらえていました(思い)。
能力的成長に比べて、やや見えにくいのが精神的成長です。
精神的成長とは、仕事に対して適切な「思い」を持つようになることを指します。ここでいう「思い」 とは、信念や価値観であり、「大事に思っていること、こだわっていること」です。
では「適切な思い」とは何でしょうか。自分のことだけでなく、他者のことも配慮できることが「適切な思い」を持つということです。
具体的には、自分の力を伸ばしたい、成果をあげたい、認められたいという「自分への思い」を持つと同時に、顧客に喜んでもらいたい、同僚を助けたい、社会に役立つ仕事をしたいという「他者への思い」を持つとき、人は精神的に成長したといえます。
この考え方の基礎となるのが「プロフェッショナルとはどうあるべきか」を探求するプロフェッショナリズム研究です。この研究によれば、普通の人には真似のできない高度な知識やスキルを持つと同時に、他者に奉仕することに意義を感じることが、プロフェッショナルの条件となります。つまり、「自分への思い」と「他者への思い」を両方持っている人が真のプロフェッショナルといえるのです。
この「自分への思い」と「他者への思い」は、人間の基本的な動機づけであって、私たちの態度や行動を決定するものだといわれています。
第1章のまとめ
本章では、「成長とは何か」について検討してきました。重要ポイントをまとめると、次のようになります。
・成長には、能力的成長と精神的成長がある
・プレイヤーとしての成長とマネジャーとしての成長は異なる
・成長し続けるためには「学びほぐし(アンラーン)」が必要になる
第2章 経験から学ぶ
コルブの経験学習サイクル
①「具体的経験」をした後、
②その内容を「内省し(振り返り)」
③そこから「教訓」を引き出して
④その教訓を「新しい状況に適用する」ことで、
学ぶ
第2章のまとめ
本章では、人は経験からいかに学ぶのかについて説明してきました。主なポイントは次のようにまとめることができます。
・人は、直接経験と間接経験から学んでいる
・経験は与えられる側面と、自ら創り出す側面がある
・人は、経験学習サイクルを回すことで学んでいる
・よく考えられた実践は、経験学習サイクルを活性化させる
第3章 経験から学ぶための三つの力
経験から学ぶ力の三要素
本論に入る前に、三つの要素について簡単に説明しておきましょう(図表3-1)。
まず、ストレッチとは、問題意識を持って、挑戦的で新規性のある課題に取り組む姿勢のことです。
挑戦的で新規性のある仕事に取り組むと、自分が持っていなかった新しい知識やスキルが必要になります。逆に、ストレッチしない人、言い換えると、できることばかりに取り組んでいる人は、新しい知識やスキルを身につける必要がないため、あまり成長できません。
次にリフレクションですが、これは、行為の後に内省するだけでなく、行為をしている最中に内省することが含まれています。つまり、一日の終わりやプロジェクト終了後に、成功や失敗を振り返ることで、教訓を引き出すとともに、 仕事をしている最中に「問題の本質は何か」「この方法でよいのだろうか」と試行錯誤を繰り返すこともリフレクションに含まれています。このリフレクションによって、人は、新しい知識やスキルを記憶の中に刻みこむのです。
せっかく良い経験をしても、その意味を深く考えなかったり、成功や失敗の原因を振り返らないと、 そこから十分な教訓を得ることはできません。
そして、エンジョイメントとは、自分の取り組む仕事にやりがいや意義を見つける姿勢を指しています。エンジョイメントというと単に仕事を楽しんでいるというイメージがあるかもしれませんが、こここでいうエンジョイメントは、常にプラス思考で、一見つまらない仕事、きつい仕事の中に意義や面白さを見いだそうとする姿勢を指しています。
このモデルの特徴は、各要素が互いにつながりあい、循環する点です。すなわち、挑戦的な仕事に取り組むほど(ストレッチ)、仕事中の試行錯誤や仕事の後の振り返りから引き出される教訓の質は高くなり(リフレクション)、その結果として感じるやりがいや意義は大きくなります(エンジョイメント)。そして、仕事にやりがいや面白さを感じれば、より挑戦的な仕事に取り組もうという気持ちも強くなります(ストレッチ)。
ストレッチの方略
方略1 挑戦するための土台を作る
方略2 周囲の信頼を得てストレッチ経験を呼び込む
経験学習の自由記述調査をすると、「ルーチンワークばかりで、成長につながる経験が与えられない」 という悩みを持つビジネスパーソンが多いことに気づきます。たしかに、ストレッチ経験には、自分で創り出すという側面だけでなく、他者から与えられるという側面があります。
インタビュー調査の中で示されたことは、これら二つの側面がつながっているということです。つまり、目の前の仕事に集中して質の高い仕事をすることにより、他者から信頼され、その結果としてチャレンジングな仕事が与えられるというパターンが多く見られたのです。
方略3 できることをテコにして挑戦を広げる
第一に、振り返りによって、経験からより多くの教訓を引き出すことができるからです。すでに説明しましたが、リフレクションには、行為の中での振り返りと、行為の後の振り返りの二つのタイプがあります。
リフレクションとは、起こった事象や自身の行為を内省すること、すなわち振り返ることを指します。 では、なぜリフレクションが成長にとって重要になるのでしょうか。その理由は次の二つです。
行為の中での振り返りとは、考えながら行動することです。「何のためにこの仕事をしているのか」、「はたしてこのアプローチでいいのか」、「もっと良い方法はないか」といったことを考えながら仕事をすることは、より成果をおさめ、そこから質の高い知識を得るために必要になります。
二〇一〇年に甲子園で春夏を連覇した興南高校の我喜屋優監督や、ラグビーU23 日本代表の薫田真弘監督は、練習の途中で短いミーティングを挟み、プレーの意味を確認したり、話し合うという手法を取り入れています。また、日本の製造現場では、問題が発生したときには生産ラインを止め、その場で問題を解決することで品質を高めているところもあります。
なぜ練習や仕事の最中なのでしょうか。それは、練習や仕事の後で振り返っていては、 そのときの感覚を忘れてしまうからです。行為の最中に、よく考え工夫することが、新しい知識やスキルを生み出す上で欠かせません。
リフレクションが重要となる第二の理由は、行為の後で振り返ることによって、仕事を通して学んだことや得た教訓を、頭の中で整理し、意識づけることができるからです。
前述したように、サッカー日本代表の選手の中には、毎日の練習や試合を振り返るノートをつけることで、学びを引き出している選手がいます。
ここで注意しなければならないことは、行為中のリフレクションが、行為後のリフレクションの質を決めるということです。行為中のリフレクションが十分でないと、行為後のリフレクションの効果が半減してしまいます。惰性で行った仕事を振り返っても、そこから得られる教訓は限られているからです。自分の頭で考えながら集中して行った仕事を振り返ることで、はじめて意味のある教訓を引き出すことができます。
方略1 行為の中で内省する
方略2 他者からフィードバックを求める
方略3 批判にオープンになり未来につなげる
経験から学習する能力についての過去の研究においても「批判に対しオープンである」ことが重視されています。批判にオープンであるということは、批判を無批判に受け入れることではなく、批判されていることの本質をつかみ、自分の行動を修正することです。
経営学者のヤノーは、「自分が正しいという熱い思いを持ちつつ、自分が間違っている可能性についても考える傾向」を「情熱的謙虚さ (passionate humility)」と呼んでいます。情熱的謙虚さは、リフレクションを通して成長するための条件の一つであるといえるでしょう。
ただ、人は他者から批判されると防衛的になってしまいがちです。経営学者のアージリスは、学習を阻む考え方として「防衛的思考」を挙げています。防衛的思考とは、自分のやり方がうまくいかないと、 他者からの批判をかわそうとしたり、自分自身を責めるのではなく、他人に責任をかぶせようとする考え方を指します。
こうした思考に陥ることを防ぐためには、自分の能力を高めることを重視する「学習志向の目標」を持つことが有効です。自分を高めたいと思っていれば、他者からの批判を拒否するよりも、取捨選択しながら取り込もうとする気持ちになるからです。学習目標については、第4章の「思い」のセクションで説明します。
コラム 持論を問い直す「内省的実践」
他者から教えてもらいながらも、人は自分の頭で考えることによって、自分なりの 「持論」や「ノウハウ」を作り上げます。しかし、すでに指摘したように、経験を積むに従ってこの持論やノウハウが固定化し、成長が止まってしまう傾向があります。 このノウハウの固定化を防ぐのが、「持論を問い直す」ことです。
ショーンという学者は、仕事や問題の本質を考えながら、自分の行為を振り返り、 自分の持論やノウハウを問い直すことを「内省的実践」と呼んでいます。
この内省的実践は、リフレクション系の学ぶ力の理論的な土台となるものです。
「問題の本質は何か」、「自分のやり方は本当に正しいのだろうか」、「この仕事はどんな意味があるのか」という問いを自分に投げかけながら仕事をすることで、見過ごしがちな点を意識したり、自分が当たり前だと思っていた前提や仮定に気づき、今までとは違う考えや行動を受け入れることができるようになるのです。
時代が変化しているのに自分のやり方に固執している「昔のヒーロー」は、内省的実践ができない人です。これに対し、顧客のニーズや社会環境の変化を敏感に感じ取りながら、自分の営業スタイルや、仕事に対して自分が抱いている前提を問い直すことのできる営業担当者は内省的実践者だといえるでしょう。
「経験→内省→教訓の引き出し→新しい状況への適用」という経験学習サイクルの中で、より深いレベルで「内省」と「教訓の引き出し」を行うのが内省的実践です。内省的実践は、前述した「アンラーン=学びほぐし」を促すものですが、「自分の頭で考える」という行為を突き詰めたものであるといえるでしょう。
「なぜエンジョイメントが必要なのか
これまでストレッチとリフレクションについて説明してきました。これらの要素は成長のために欠かせませんが、この二つだけだと、学びの活動が「つらい」ものになりがちです。つまり、高い目標に挑戦して内省することだけだと「ストイックな修行」のようになってしまいます。 そこで必要になるのが、第三の要素「エンジョイメント」です。
エンジョイメントとは、仕事自体に関心を持ち、やりがいや面白さを感じることで意欲が高まっている状態、および仕事をやりきることで達成感や成長感を感じている状態を指します。エンジョイメントが必要な理由は、それによって、活動に対する自信がつき、さらなるストレッチの動機づけが高まるからです。
創造性を研究しているアマビールによれば、外的なプレッシャーによって動機づけられるときよりも、 仕事そのものから得られる関心、楽しみ、満足、挑戦によって動機づけられていると感じるときに、人は最も創造的になります。
エンジョイメント系の方略
方略1 集中し、面白さの兆候を見逃さない
方略2 仕事の背景を考え、意味を見いだす
方略3 達観して、後から来る喜びを待つ
これまでの方略をまとめてみましょう。まず、仕事を継続する中で、一瞬現れる面白さの兆候を見逃さず、深掘りすることです。
次に、仕事の背景を考えながら、仕事の中に自分なりの意味づけをしたり、新たな目標を付け加えるという方法があります。「この仕事は何のためにやっているのか」、「この仕事から得られる学びは何か」 を考えると、一見つまらない仕事の奥に面白さが眠っていることがあります。
三番目の方法は、「仕事とはこんなもんだ」と達観すること、即効的な面白さを追わないという手です。 こうした達観がない場合には、不満ばかりがたまり、仕事に集中することができなくなるでしょう。「この仕事で得たことはのちのち何かにつながるだろう」という期待を持ちながら、後から来る喜びを楽しみにすることがポイントになります。
以上の方略からわかることは、エンジョイメント力を高める鍵は、「意味の発見」にあるということです。つまり、はじめから面白い仕事はなかなかあるわけではなく、達観して仕事に集中する中で、面白さの兆候を見逃さず、仕事の背景を考えたり、自分なりの目標を再設定するとき、仕事のやりがいを見つけることができるといえます。
第3章のまとめ
本章では、経験から学ぶ力の三要素について検討してきました。ポイントは以下のようにまとめることができます。
・ストレッチ:足場形成
挑戦のための土台づくり
周囲の信頼を得る
できることをテコに挑戦
・リフレクション: 進行形の内省
行為の中で内省
他者からのフィードバック
批判にオープン
・エンジョイメント: 意味発見
面白さの兆候を見逃さない
仕事の背景を考える
達観し、喜びを待つ
第4章 「思い」と「つながり」
なぜ、自分のことだけでなく、他者のことも考えながら仕事をすることが、適切で正しい「思い」といえるのでしょうか。
その理由は二つあります。一つは理論、もう一つは実証データです。
第1章の精神的成長のところでも述べたように、プロフェッショナリズム研究によれば、高度な知識やスキルを持つと同時に、他者に奉仕することに意義を感じることが、プロフェッショナルの条件となります。つまり、「自分への思い」と「他者への思い」を両方持っている人がプロフェッショナルといえるのです。この「自分への思い」と「他者への思い」は、人間の基本的な動機づけであって、私たちの態度や行動を決定するものだといわれています。
もう一つの根拠は、実証研究の結果です。私は、これまでさまざまな職業に就く方々の仕事の信念を調べてきました。仕事の信念としての「思い」は、個人の理想や価値観と関係しているため、その内容はさまざまです。
しかし、調査データを分析しているうちに、回答の中に大きく二つのグループがあることがわかりました。それが、「自分への思い」と「他者への思い」です。
自分への思いとは、自分の目標を達成したい、周りの人から認められたい、プロとしての力を身につけたいという信念です。
他者への思いとは、仕事上の相手に喜んでもらいたい、相手と信頼関係を築きたい、社会の役に立ちたいという信念です。
ここでいう「仕事上の相手」とは、営業や販売の場合には「顧客」であり、総務・人事・生産部門などの間接部門の場合には、「関係部署、取引先、職場の同僚や部下」になります。 優れた人材、成長している人材の特徴は、「自分への思い」と「他者への思い」の両方を持っていることなのです。
つまり、「他者のために頑張ることが、自分の成長につながる」、「自分が成長することで、結果的に他者の役に立つ」という相互補完的な関係が見られるのです。他者に奉仕することを自身の目標とし、 それを達成することが、他者からの評価や自分の喜びになるとき、「自分への思い」と「他者への思い」 が融合されます。
「思い」のまとめ
仕事の信念としての「思い」のポイントは、以下のようにまとめることができます。
・仕事の信念としての「思い」は、経験からの学びに影響を与える
・「自分への思い」と「他者への思い」が融合するとき、大きな成長のエネルギーとなる
・自分への思いには、認められたいという「業績目標」と成長したいという「学習目標」がある
「つながり」のまとめ
多様な啓発者との深い関係 (発達的ネットワーク) が成長を促します。
マネジャーたちは、多様で深い他者との関係を構築するために、次のような方略を用いていました。
・職場外から率直な意見を聞く
・人を選び、誠実につきあう
・自ら発信し、相手を受け入れる
つまり、「外部性(職場外の関係)」、「誠実さ」、「積極性(自ら発信する)」、「受容性(相手を受け入れる)」が、発達的なつながりを作るキーワードとなります。
第5章 学ぶ力を育てるOJT
進捗確認と相談
・こちらから声をかける
・定期的に個別ミーティングを行いしっかりと聞く
・こまめに時間をとり、取り組みが見えるようにする
「普段の仕事の中で声をかけることが大事です。挨拶するということは心を開くことを意味します。個人の情報を常に頭に入れておいて、声をかける。声をかけるということは『あなたのことに関心を持っています』ということです。畑に『肥え(肥料)』をまいて育てるのと同じように、人間も『声』をかけると育ちます」
内省の促進
・成功失敗の原因を本人に語らせる
・成功失敗のパターンを認識させる
・より良い方法を考えてもらう
ポジティブ・フィードバック
・成功失敗にかかわらずまずは労をねぎらう
・まず良い点を伝えてから問題点を指摘する
・普段の仕事の中で成長したと感じた部分を伝える
育て上手の指導方法
目標のストレッチ
・懸命に手を伸ばせば届く目標を立てさせている
・成長のイメージを持たせている
・成長を期待していることを伝えている
進捗確認と相談
・こちらから声をかけている
・定期的に個別ミーティングを行い、しっかり聞いている
・こまめに時間をとり、取り組みが見えるようにしている
内省の促進
・成功失敗の原因を本人に語らせている
・成功失敗のパターンを認識させている
・より良い方法を考えてもらっている
ポジティブ・ フィードバック
・成功失敗にかかわらず、まずは労をねぎらっている
・まず良い点を伝えてから、問題点を指摘している
・普段の仕事の中で成長したと感じた部分を伝えている
第5章のまとめ
・若手の学ぶ力を高めるOJTのあり方は、次のようにまとめることができます。
・育て上手の担当者は「目標のストレッチ」、「進捗確認と相談」、「内省の促進」、「ポジティブ・ フィードバック」に力を入れている
・若手の発達段階によって、指導方法を変える必要がある
・新人を「放置」したり、二~五年目の若手の目標を「ストレッチしすぎる」と人材をつぶす危険性がある
第6章 学ぶ力を高めるツール
経験から学ぶ力
ストレッチ
・挑戦のための土台づくりをしている
・周囲の信頼を得てストレッチ経験を呼び込んでいる
・できることをテコに挑戦を広げている
リフレクション
・行為をしながら振り返っている
・他者からフィードバックを求めている
・批判的な意見にも耳を傾けている
エンジョイメント
・仕事の面白さの兆候を見逃さないようにしている
・仕事の背景を考えて、意味を見いだしている
・即効的楽しさを追わず、後から来る喜びを待っている
思い
・自分のことだけでなく他者のことを考えて働いている
・業績や成果だけでなく、能力の向上を目標としている
つながり
・職場外から率直な意見を聞いている
・人を選び、誠実につきあっている
・自ら発信し、相手の意見を受け入れている
第6章のまとめ
経験から学ぶ力を高めるツールは、次のように活用することができます。
・経験から学ぶ力のチェックリストで自己診断、他者診断をする
・経験学習カルテで、経験から学ぶ力を高める
・経験キャリアシートで経験を振り返り、職場で経験を共有する
・経験学習の事例集を作り、経験学習パターンを明らかにする
Posted by ブクログ
・大切なのはまず自分たちが置かれている状況を正確に把握した上で、次に現在のシステムのどこが現状に適合しなくなっているのかをみる。そうして行く中ではじめて捨てるべきカードと残すべきカードが見えてくる
・成人における学びの70%は自分の仕事経験から、20%は他社の観察やアドバイスから、10%は本を読んだり研修を受けたりすることから得ている
・一見つまらなそうな仕事の中にも宝が埋まっている。仕事をどのように意味付けるかにかかっている
・個人を成長させる練習や仕事のやり方=「よく考えられた実践」①課題が適度に難しく、明確であること ②実行した結果についてフィードバックがあること ③誤りを修正する機会があること
・小さな仕事でもしっかり仕事をしてくれる人にはより大きな仕事がくる
・人は他者を通してしか、自分をみることができない
・伸びる人材は素直な人間。素直な人とは、良いと思ったことを合理的に吸収していける人間
・ミスの反省も大切だが、もっと大切なのはどうして良かったのかを考えること。できた理由がわかっていないと、調子を元に戻せない。悪くなったときのリカバリー能力が大切。
・人を潰す指導者の特長→(新人)指導の際に目標のストレッチとポジティブフィードバックが不足=成長のイメージを持たせたり、期待すること、成長している点を伝えることが不足。つまり放ったらかし。(2年目以降)目標のストレッチが過剰。手を伸ばしても届きそうもない目標を持たせたり、過度に成長を期待。
キャリアコンサルタントとしてクライアントに対して必要な考え方でもあり、自身が成長するために必要な考え方だよ、とスーパーバイザーに勧められて読んだ。経験をしてみることの大切さと、その経験に対するPDCAのやり方。