あらすじ
【各紙誌で話題を呼んだ哀しくも愛しい物語】
その人は、もういないかもしれない。
もういなくても――確かにここにいた。
お針子の齣江や向かいの老婆トメさんが、
いつ、どこから来て棲み始めたのか、
長屋の誰も知らない。
正体不明の男「雨降らし」が門口に立つとき、
そこには必ず不思議が起こる。
少しずつ姿を変える日々の営みの中に、
ふと立ち上る誰かの面影。
時を超え、降り積もる人々の思い。
路地にあやかしの鈴が響き、
彼女はふたたび彼と出会う――。
「いつかの人々」が囁きかけてくる感動長篇。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
年末年始のお供にTぬオススメのこの本。穏やかに静かに浸れそうだと手にとったが大正解。何とも沁みる。
最初のほうは中学に行きたいのに言い出せない浩三や、気づいているおかみさん、心優しい浩一などにじんわり。
特に月に一度の和菓子や、朝、桶に張った氷を楽しみにしている浩一がとても良い。
そのうち、少し不思議な感覚を覚えて、時間のつながりにはてとなり、なるほど過去と未來が入り交じっているのかと気づく。
トメさんと齣さんの人生がせつなく、でもただ悲しいということでもない、とにかく、沁みる。
何とも言えない余韻が残るお話。