あらすじ
「紳士淑女の皆さん！ 摩訶不思議な手品の世界をご覧に入れましょう！」少年は何ものにも従わず、軽やかに己の道を歩む――。マジシャンとして天性の才能を持ちながら、何ものにも縛られることなく自由に生きる少年・長見良（ながみ・りょう）。マジシャンだった祖父・龍五郎（たつごろう）に憧れて育ったサラリーマン・北條（ほうじょう）。龍五郎が生前にとった唯一の弟子だった良には、ある秘密があった。そして、良の才能に魅入られた北條は、ともに歩んでゆく。
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心の動きが丁寧に
なんの気無しに読み始めたのだが予想もしない傑作マンガであった。ハンディキャップを持った子供の成長物語 といえばそれまでであるが、主人公の そして周辺人物の気持ち 感情 心の動きが丁寧に描いてあってとても心地よい。と奇異な才能であるだけに その才能を利用して一儲け企む なんていう誘惑も出てきそうだが、暖かく しかも真剣に主人公をもり立てようとしているとこが良い。
ウェルメイドな人間物語
ディスクレイシアで、手品の類稀な才能を持つ少年・長見良と、彼を見出したマジシャンの孫、北條が二人三脚でマジックを軸に成長する物語。少し前の作品だが、ディスクレイシアへの理解は深い。何かを持つ者／持たない者の対比が繰り返し提示され、主人公二人がそれに向き合うさまが丁寧に描かれている。良書。
良作
ディスレクシア（読み書き困難症）の天才少年マジシャンと、その保護者となる青年との話。
ディスレクシアは海外ではかなり有名で、トム・クルーズやキアヌ・リーブス、オーランド・ブルームなどのハリウッドスター、スティーブン・スピルバーグやさらにはエジソン、ダヴィンチ、アインシュタインと言った人々もこの症状だったと言われているもの。
日本では文字自体の違いや、おそらく教育環境の違いもあってあまり有名ではないが、実は総人口の5～8％程度がこの症状を持っているとの事。
いわゆる特殊能力の「ギフテッド」とは違うものであるはずだが、欧米でのそうそうたるメンツを見る限り、やはり代わりに何かの特殊能力を持っている事もあるのかもしれない。
本作の主人公の少年は、代わりに天才的なマジシャンとしてのテクニックを身に付け、また育ってきた環境から、周囲から自分を切り離し、冷静に判断する能力を身に付けている。
性格は素直でひねくれたところが無く、信頼できる人の前では子供っぽい仕草も見せ、かわいい。
これがひねくれものだったり、全てに醒めて大人びた人物であれば、この作品はここまでのめり込めるものになっていなかっただろう。
マジックというテーマから、作品全体に不思議な雰囲気と、また幻としての儚げさがにじみ出ている。
このせいか、どうもハッピーエンドにならないような気がして、読み進めるのが怖い印象がある。
作品の欠点を1つ上げるとすれば、たまに描写が良く分からなくなる場面がある事かな？
登場人物たちの会話の流れから急に違う展開になることが、3巻までで2～3回あった。
また、寄って来るオトナ達が（元々モブキャラなので）見分けがつきにくい点もある。
が、それらは些細な事であり、非常に深く、かつ不思議な世界観を持つ良作だと思います。
バトルはもちろんないし、アツい友情などもほぼ無い作品であり、多くのマンガとは違う雰囲気ではあるけれど、読後に何とも言えない切なさと温かさの残る、重松清の小説を読んだ時と同じような印象を受ける作品。
面白く考えさせられる
面白いです。無料版だけのつもりでしたが、ついつい全巻買ってしまいました。
きっと色々調べながら書かれたのではないでしょうか、登場人物の振る舞い、台詞一つ一つが自然で、深みがあり、且つ優しいです。読書感想文が書けそう。
でも絵やストーリーが渋いので大人向きです。特に横浜の野毛や黄金町あたりを知っている方には哀愁を感じることでしょう。
匿名
考えさせられる
中学生のもう一人の主人公は、一般教養などが欠けており一般的なバランスは悪いが、神がかったマジックという特殊能力で、相棒である大人のもう一人の主人公とマジックの世界で生きる道を開拓する話。
いわゆる普通ではなくとも、人間社会で生きる道を築き上げるという、人が人間社会で生きていく以上、必ず問われる課題の一つについて考えさせられる話でもあると思いました。
ディスレクシアが興味深い
マジックに対して非凡な才能をもつがディスレクシア（難読症）で様々な困難がある少年と、その少年の才能を生かしたいと思う少年のマジックの師匠の孫。文字の読み書きができないとこんなにたいへんなのかと興味深かった。
