【感想・ネタバレ】姫の一分~若鷹武芸帖~のレビュー

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Posted by ブクログ 2019年02月23日

将軍家斉より「滅びつつある武芸を先の世に語り継ぐ務め」を仰せつかった新宮鷹之介の物語。手裏剣、鎖鎌と続いて、今回は薙刀。とても面白いシリーズです。純真で一本気な鷹之介が女子で薙刀の名手に辿り着きます。岡本さとる 著「姫の一分」、2018.11発行。

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鈴姫は薙刀の凄腕使い

2021年02月23日

将軍家斉からの命を受けて、新宮鷹之助は大奥女中たちを指導する薙刀女武芸者を探すことになった。
広い大江戸のこと。なんとか探した大原家という薙刀道場だったが、その稽古の様子からみると、おおよそ武芸の類にもならない女の舞い踊りだ。
そんな中、同僚の編纂方の中田郡兵衛が2年前に起きた五万石の大名、豊後...続きを読む守の事件を思い出した。
豊後守が江戸家老・樽山大膳にたぶらかされて、家政を怠り、領民からは怒りの一揆を起こされた。その結末は藤波家の鈴姫が筑紫薙刀を振るい、家老始め奸臣の2人を誅殺したのである。当然お家は取り潰しの処分受けたが、当の鈴姫は将軍の計らいもあり、自儘な生活が許された。
鷹之助はこの姫君に目星をつけた。
しかし、出自は申し分ないのだが、いくら悪人とはいえ3人も殺めてしまった人である。大奥女中達の薙刀指導にふさわしいかどうか、慎重にならざるを得ない。
鷹之助は、しばらく染井村の植木屋「福智屋」に身を寄せている姫君の様子を観察し、調査することにした。過去の事件のことが姫の心に深い傷となって残っていたが、鷹之助は、その植木屋で働く嘗ての家臣とも連携しながら、足繁く通い親しくなるうち、姫君は鷹之助に信頼を置くようになり、心の傷もやがて癒えるのである。
そして鷹之助は姫君を薙刀師範に誘うことに成功するのである。
鈴姫は無事に大奥の薙刀師範になり、目出度くお家の再興もなり、お城の近くに家も与えられて家臣たち共々暮らすのであった。
若武者らしい純真な輝きを放つ新宮鷹之助が武芸帖編纂所の頭取をすでに勤めているのだが、仕事は相手のいることだし成果が見込めないときもある。また相手のことを思いやる余裕も必要である。ここは彼の大人への変身ぶりが面白い。

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