あらすじ
骨折した俺のために、白草が泊まり込みでお世話にやってくる……! 初恋の美少女と家で一晩中二人っきりとか、何も起こらないわけがない! 動かない右腕の代わりにご飯をアーンとか、ふ、風呂もあるよな。あとは寝る時に……みたいな妄想を繰り広げていたが――。黒羽や真理愛が白草の独走を許すはずもなく、3人日替わりで俺を看病することに。あれ、もしかしてこっちのほうが美味しい状況なのでは……?
ところが、可知家の白草大好きメイド、紫苑がお目付け役で常駐することになり、3人の同棲バトルは一筋縄ではいかず!? ヒロインレースも大波乱の第4巻!
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各ヒロインたちの予想を超える頭脳戦に毎回驚かされています。また作品内で最後に今回の解説が用意されているため、解釈違いを起こすことなく読めます。
メイドさん.......
可知白草のところのメイドがひたすらウザかったw
これは目に見えたヒール役だな〜と思ってたけど、彼女にも彼女なりのバックグラウンドがあるし、これから先どうなっていくのか気になる。内容自体は過去編みたいな感じあったし、やっぱり白草が最高。
Posted by ブクログ
二丸修一著『幼なじみが絶対に負けないラブコメ4』は、恋と策謀が渦巻く青春劇の中に、登場人物たちの「心の奥底」が露わになる一冊。
物語の中心に立つ末晴は、これまで築き上げてきた関係の綻びに直面し、表面上の軽やかさの裏に潜む人間の複雑な感情を受け止めざるを得なくなる。特に本巻で強い印象を残すのが、大良儀紫苑という存在。彼女の末晴に対する一方的な悪意は、決して容易に受け入れられるものではない。しかし、その不快さこそが作品に厚みをもたらしている。
紫苑の感情は単なる敵意ではなく、嫉妬、焦燥、そして愛情の裏返しといった、誰もが抱きうる「人間の負の揺らぎ」の象徴でもある。読者はその激しさに戸惑いながらも、彼女の内にある「救われたいという叫び」にどこか共感を覚える。作者はこの危うい心理の描写を決して避けず、むしろ登場人物たちの脆さを真正面から描き出すことで、青春の輝きと痛みを同時に刻み込んでいる。
また、白草や黒羽、真理愛といった他のヒロインたちも、それぞれの想いを抱えて動く。その感情の交錯が、単なる恋愛模様ではなく、人と人との理解やすれ違い、そして成長へと繋がっていく構造になっているのが見事だ。軽妙なセリフ回しの裏で、登場人物たちの心は確実に成熟へと歩みを進めている。
「ラブコメ」と銘打ちながらも、笑いと同じだけの痛みを孕んだ本巻は、シリーズの中でもとりわけ重層的な一冊といえる。悪意を描きながら、それを人間の深みに転化してみせる筆致には、作者の確かな力量と真摯な眼差しが感じられる。
ページを閉じた後に残るのは、単なる恋の結末ではなく、誰かを理解しようとする難しさ、そしてそれでもなお手を伸ばす人間の尊さである。