あらすじ
スマホ、インスタ、ゲームから、ネットドラマやメールチェックまで――。薬物などの物質以外にまで広がった「新時代の依存症」を、心の仕組みと、私たちをのめり込ませる「依存症ビジネス」の仕掛けの両面から読み解き、その対処法を指南する。ダニエル・ピンクをはじめ、世界中が絶賛(+警告)した話題の書、ついに上陸。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
圧倒的な取材力で様々な事例が紹介されているんだけどどれもこれも興味深く読めた。まずは「依存症」とは何か、ということ。薬物依存から行動依存。依存症へと陥れる6つのテクニック。回避する方法や立ち直る方法については思ったより少なかった。ただハマりやすい状況を知ることによって自分を客観視できるようになるのではないかなぁ。
Posted by ブクログ
「行動嗜癖」という観点から、インターネットやそれを活用したデジタルデバイス、デジタル商品に対する現代人の「依存症」について警鐘を鳴らす本書。現在のデジタルデバイスやサービスは顧客に「依存」させる仕掛けを巧妙に用意しているというのは事実だし、具体例として紹介される内容も「自分にも身に覚えがある」と思えるものばかりで、その内容自体は非常に興味深い。
ただその一方で、「どこまでこの主張を信用していいのか」という根本的な疑問が解消できない。
例えば第一章p.37では、「オンラインでの交流は(中略)ある種の害をもたらす。人間は、自分の行動が他人に影響を与える様子を観察することで、他人への共感や理解というものを学ぶ。目の前で反応を見られなければ共感力は育たない」とし、実際に1979年から2009年までのあいだで、大学生の共感力が下がっているという研究結果も出している。その後も本書の中でこの手の主張は何度も出てくる。
しかしp.300では、「幼いころに長期的にテクノロジーを過剰使用した場合の影響が、まだはっきりと解明されていない」と言ってしまっている。これまで長々とインターネットやデジタルデバイスの悪影響を主張しておきながら、その根拠を揺るがすであろう重要な事実を終盤にしれっと書き、しかもその一行以上は言及はしないまま、本書では「でもやっぱり悪影響あるよね」とばかりに自説を展開していく。これではさすがにその主張を完全に信用することはできない。これ以外にも、正直「それ本当?」と思わせる内容が散見されるように個人的には思う。
基本的に、非常に面白い本だとは思う。書かれている内容は実に興味深いし、一読の価値は十分すぎるほどあると思う。ただ、この本の初版は2019年で、当然その内容はそれ以前の研究・調査内容がベースになっているはず。それを踏まえて、この本の内容が「どこまで本当か」の判断は、慎重に見極める必要がある。