あらすじ
サッカーが「ながら見」できなくなる本。
得点したら喜び、失点したらだんまり。
試合に勝てばすべて良しで、負けが込んだら監督交代…
そんな「サッカーの見方」では、現代サッカーに取り残される!?
プロの監督から一ファンまで、「戦術的」な試合分析が大流行する昨今。
SNSで精力的に活動する「戦術クラスタ」の最古参である著者が、
新しくて面白いサッカーの「分析眼」の習得法を提示する。
アジアカップで準優勝に終わり、コパ・アメリカを控える
日本代表の未来も見据える一冊。
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Posted by ブクログ
人気サッカーブロガーのらいかーると氏による初の単著である。
名著と言っていいだろう。サッカーのピッチ上で生じる現象を(いつも通りの)平易な表現で説明してくれている上、その内実もかなり現実に即したものだ。
現実のチームや選手を例に表しながら、実際のサッカーにおける場面を紐解き、各レベルで丁寧に読み解くための導線を引いてくれている。
惜しみなく分析手法を教授してくれている内容は、多くのサッカーファン、サッカープレイヤーにとって資するものだろう。
文句なしに星五つで評価したい。昨今はこうした戦術をロジカルに読み解く良著が増えていて、サッカーファンとしては大変ありがたいことである。
Posted by ブクログ
サッカーもプロ野球もバスケットもアメフトも全ては札束の世界。より多額の金を用意出来るところがいい選手を獲得出来る。それが、プロの世界だから。
さて、本書はサッカーの戦術分析話。
では、国同士で戦う五輪やワールドカップはどうか?基本的に選手は自国出身に限定され、少なくともお金が物を言う世界ではなくなる。(もちろん、有名監督の招聘や地域別出場国数の政治的駆け引きなどはビッグマネーが動いている可能性はあるが)
私の様な素人は、とにかく試合結果が全てで、試合後の選手採点を見ながら「なるほど~」と頭を整理するのが関の山。
本書では、サッカーの戦術をスペース、配置、ゾーン(ビエルサゾーンという言葉を初めて知りました)などから分析。試合開始時の選手選択と配置により攻撃的布陣なのか守備的布陣なのか、得点や失点の状況からの戦術の変化、ピッチを3ゾーンに分けて攻撃の起点となる方からゾーン1と定義し、各ゾーンでのテーマと課題(ゾーン1ではビルドアップとロングボール、ゾーン2でのスペースの創出と崩し、ゾーン3でのゴール前の攻防)を解説。
中でも参考になったのが、「日本代表試合分析」。
2019年2月1日アジアカップ決勝戦の対カタール戦【1-3で負け】と同年3月22日国際親善試合の対コロンビア戦【0-1で負け】。どちらも得点につながる決定的場面を選手の動きと戦術を絡めて解説。ボールを持っていない選手の動きがキーになるのが面白い。昔、オシム監督が試合中に歩いてる選手を激怒したが、その時のオシム語録に「走りすぎて死ぬことはない」が懐かしく思い出された。
あとがきでは、筆者が《らいかーると》という名前でサッカーブログを始めた経緯が書かれています。1つは、2006年のワールドカップで日本代表が惨敗して微力ながら何か貢献したいという気持ちと、ベルント・シュスター監督のヘタフェ、マルセリーノ監督のレクレアティーボ、ウナイ・エメリ監督のアルメリアのジャイアントキリング(持たざるチームが戦術で強豪チームに勝つ)を見てサッカーの答えはピッチに落ちている(現象を分析し、その理由を考察)と気づいたから。
「データも大事だが、自分の目の方がより大事」byジョゼ・モウリーニョ(マンチェスター・ユナイテッド)。