あらすじ
世界最大級の本格推理小説、華麗なる終幕。人狼城殺人事件の怪異に満ちた謎のすべてが、名探偵・二階堂蘭子の冷徹な論理によってついに解き明かされる。死屍累々たる惨劇の舞台《人狼城》で、蘭子を迎えた真犯人とは?その想像を絶する殺人動機とは?そして不可能を可能ならしめた驚天動地の大トリックとは!?4000枚を超える本格推理小説の金字塔、とうとう完結!
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Posted by ブクログ
人狼城の恐怖 第四部 完結編
第三部にて蘭子達は謎のグループに捕えられて「青の狼城」に連れ去られる。待ち構えていた人物から、狼城で何の事件も起きていない、人狼城を気の済むまで調査する様にと自信ありげに告げられ調査に乗り出す。そして、事実どんな痕跡も発見されない。
冒頭からどうやってこの問題を解決するのか疑問だったが、黎人が述べる実は四つ子の城説よりももっと衝撃的で確実な城の秘密が明かされる。
僕は第一部の際に実は白は一つなのではないかと考えたのだが、全く違ったトリックになる。偽装は幾つかあるが、城自体のトリックも面白いし、更に明かされる衝撃的結末には驚きがある。
作品のクライマックスはどちらかといえば怪奇小説的な部分もあるが、江戸川乱歩を読んでいた自分からすればとても楽しめたし見事の一言。やはり人智を超えた「怪物」が相手だと盛り上がるし面白い。もう少しスリリングでも良かったが充分に楽しむ事ができた。一方でとある登場人物について、(以下ネタバレになってしまう)
そこで死ぬ必要があるかという部分で命を落としてしまうわけだが、グレゴール刑事が生きていた方が物語としては面白いし、あの様な退場の方法はとても残念に思う。
犯人達は悪い奴ばかりだが、とある女性についてはどういったキャラクター設定になっていたのだろうと気になった。僕は彼女が真犯人であると予測して見事に外れたが、ある意味で彼女が今後、蘭子シリーズにどのように絡んでくるのか(登場しないかもしれないが)心待ちにしたい。
敵役の配役は見事だと思う反面、実は第五部未来編の様な追加エピソードがあって欲しい程、犯人グループの謎は深いままである。
遂に読み終えてしまったなあ。第四部まで通して読み応えがあり、中弛みなども無い為大満足の作品だった。最後、少しオカルト的な要素を盛り込みつつ、また、蘭子が失踪してしまう衝撃はあるが、リアルタイムで読んでいない僕たちは彼女の帰還を感動的に感じる事は少ないだろう。彼女の帰還後にはとある衝撃があるのだが、おそらく敵である伯爵との関係が築かれるとは思えないので、もう一方のドラマがあったのだろうと想定する。
いままで分作で、シリーズとして長く続く作品はいくつもあるが、これだけ重厚で謎めいていて疾走感のある一括りのミステリーはほとんどないだろう。これまでの蘭子シリーズは一部長ったらしく思ってしまう部分もあったが今作では全く感じなかった。
蘭子シリーズでまだ読んでいない作品もあるが、意外に数が少ないので、今年度中には新しい探偵を探さなければと少し寂しい気持ちだ。
Posted by ブクログ
世界最長の本格推理小説ということで読破した達成感はひとしお。ただ長いだけではなく、最初から最後までずっと面白い。メインとなる大トリックはバカミスに近いが、良くこんなトリックを思い付くと感心する。