あらすじ
下士上がりで執政に昇り詰めた桐谷主水。執政となり初登城した日から、忌まわしい事件が蒸し返され、人生は暗転する。己は友を見捨て出世した卑怯者なのか。三十半ばにして娶った妻・由布は、己の手で介錯した親友の娘だった。自らの手で介錯した親友の息子・喬之助が仇討ちに現れて窮地に至る主水。事件の鍵となる不可解な落書の真相とは――武士の挫折と再生を切々と訴える傑作。
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Posted by ブクログ
下士から執政になった桐谷主水は、親友の綱四郎を藩主に対する不平落書の罪で告発する。死罪となった、綱四郎は、介錯人に主水を指名する。
罪人になった綱四郎のために、娘由布は嫁ぎ先もなかった。主水は、17も年若い由布と結婚する。
一方、綱四郎の息子、喬四郎は、仇討ちをするため師匠と兄弟子と共に、主水に迫りくる。
しかし、その落書の件には、まだ若かりし頃に、主水と綱四郎が喧嘩仲裁に入った、後世河原事件が関わっていた。
現藩主興与が、世子の頃、後世河原で打ちのめされた者たちを、押さえつけ木刀で嬲る残忍な事件を起こしていた。死者まで出るほどの事件であった。
周りの者たちは、藩主世子のため、誰も諫言できなかったが、綱四郎は、興与に対しても意見していた。
それを、根に持ち落書を綱四郎の文字に似せ、書いたのであった。
その事実を知った、主水は、藩主である興与を討つことを誓う。
ミステリーのような感じで、どんな展開になるんだろうと楽しみながら読めました。
Posted by ブクログ
飼い犬の苦労などたかが知れておるわ。その日の飯にも困り、寝る場所を探して風雨にさらされる世過ぎ味わえば、綺麗事は言っておられるようになるのだ
生きたいと思って生きているものは存外、少ないものだ。皆、死ぬのも嫌だから、仕方なく生きておるだけじゃ
正義を振りかざし、悪を倒すのもいわば己の立場を守らんがための方便でなのではありますまいか
人生は選択の積み重ねである