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Posted by ブクログ
少女に拉致監禁された作家志望の大学生の物語、そのコミカライズ作品はこの三巻で完結している。
自分は原作を読んでいないので、この作品のどの要素がどこまで原作に従って描かれたものかは判断が付きかねるのだが、物語の中核をえぐるような演出は本当に素晴らしかった。
最初から破綻が予告されていた物語は、この三巻でも静々と破綻へと向かって一つ一つ歩を進めている。象徴的に描かれた生きた化石が、Uにまとわりつく亡霊がいずこから現れたものかがここでようやく端的に紹介されている。
そして、彼が唯一できたことが、彼女のその片鱗を剝がした。これが救いの表現であることは明らかだろう。ここでの彼の行いがどれほど彼女を救い上げたのかは、絵が持つ力が十全に表現している。
全体的に黒で描かれた物語は、逆光によって描かれた両親のように世間によって暴かれた。であればこそ、白を基調に描かれたエピローグの、黒で正装した彼女が印象深い。
彼が言うように刻苦を重ねて得たであろう適応がまぶしくも喜ばしく、どこか哀しみさえあった。
物語こそシンプルだが、演出の妙が光る優れた漫画作品であった。奥行きもまた味わい深い。
文句なしに星五つで評価している。
続編を!!
最初はUのこと怖いと思ってたが可哀想という感情が最後に残った。
この二人のアフターストーリーを見てみたい!
もしくはUのそれまでのストーリーを見たい!
先を見たい作品!
ストーリーを紡ぐための動機の話
実話として描かれるこの話が実話ではないだろうということは、読んでいくと分かると思います。
実話だという前提で感想を書くなら、あまりにもやる瀬なく過酷な話です。
ただ、成長した少女が社会に溶け込み生きる姿を描いた最後は救いでもあります。
それが同時に物語らしく出来すぎているところでもありますが。
この話が何に主軸を置いているのか考えると、やはり物語を作り出すにはそれなりの動機がないと難しいというところでしょうか。
この話自体はフィクションだと思うのですが、もしかしたら作者があれだけのストーリーを書き上げるにあたって人生の分岐点となるような、物語を作り上げるための切実な動機ができる出来事があったという点については、ノンフィクションなのかもしれません。
ラノベ的なくどい言い回しは少し気になりますが、内容は楽しめました。
Posted by ブクログ
道から外れても面白おかしく生きていく事ができる、という主題と乾いた雰囲気が凄くマッチしているんですよねぇ
読後感も爽やかで気持ちいいです。
ただ、全3巻は長かったようにも。
でも無理に短くしたら最後が軽くなる気がするし、難しいですねぇ