あらすじ
日本の"新域"で発令された、自死の権利を認める「自殺法」。その静かな熱波は世界中に伝播した。新法に追随する都市が次々に出現し、自殺者が急増。揺れる米国で、各国首脳が生と死について語り合うG7が開催される!人類の命運を握る会議に忍び寄る"最悪の女"曲世の影。彼女の前に正崎が立ちはだかるとき、世界の終わりを告げる銃声が響く。超才が描く予測不可能な未来。
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Posted by ブクログ
この章がどうして我々にとって残念なのかと言うと、自殺を大真面目に議論したところで稀代のヴィラネス曲世愛との対決と排除とはなんら関係がないことが、前章までで明らかになっていたからだ。また前章の衝撃的な幕引きを経た以上、次に必ず正崎善の家族が狙われることや、その展開が訪れるまでは単なる茶番か目眩しで実質停滞同然であることも我々は見透かせてしまえたからだ。
だから我々は、おそらく作家がそれなりに真剣に考えて練ったであろう、この章の大部分を占める他国民の思考と議論について、まともに取り合うことなく、活字を然程拾わず、おざなりに受け流して最後まで滑っていけてしまったのだった。(漫画・映像媒体の特色については触れない)ゆえに主要人物の悲劇的な最期にも当然ろくろく没入出来ないし、これで最後の引きが初めから当然視されていた範疇を出ないとなれば、竜頭蛇尾の謗りは免れないだろう。
前章最終場面で曲世愛は初めて例外的な行動をとっており、それは曲世愛が初めて見せた隙でもあったはずなのに、肝心の正崎善がこれを奇貨とし得ないまま、石に齧り付くような地道な捜査に執念深く入れ上げることもなく、ただの大統領の話し相手……はっきりと言えば無策で無能で無価値なままだったことも物語を腰砕けにした。あの弱腰では曲世愛ほどのヴィラネスでなくても嘲笑われてしまう。なんのために渡米したのか。曲世愛におそれをなして家族をおいて逃げたも同然なのにそんな自責も出来ない死に体同然の衰弱には同情するが、「正崎善が復活しない間に世の中では大変なことが起きていました」と省略できてしまう程度の話がこの章である。我々は次回に期待するしかない。
Posted by ブクログ
積ん読していたバビロンシリーズを、「アニメのネタバレ情報が入る前に原作を読んでしまおう」と読み始め、そうしたらまんまと一気読み。
曲世の禍々しい力は、正義感の強い正崎や瀬黒、無邪気なアレックスには効かないのでは、と予測していたら、全くそんなことはありませんでした。
そうすると、曲世は、なんで最初に会った時に正崎を「骨抜き」にしなかったのか、また、瀬黒を自殺させなかった理由は何か、という謎が残ります。
齋開花のように、正崎には何か使い道があると考えているのか……。
そして、続刊は出るのでしょうか?
Posted by ブクログ
「自殺法」海外へ、といった内容の第3部
しかし、エンタメとしての勢いはガクッと落ち、広まる自殺法も結局超能力頼りっぽい所は強引すぎて少しがっかり
が、長い長い前置きを越えてからの、期待していた善悪についての議論は圧巻
難しい問いにこの作品なりの答えを出した事も大いに評価したいし
その上で「甘美なる死」に向かう理由についても納得のいく結論があり素晴らしい
ただ、この答えであれば何故前巻のラストで曲世は自ら殺しを行ったのか?
あれがセンセーショナルなシーンを描きたいだけであったなら個人的には残念
つづくのかは気になるところ