あらすじ
クリミア戦争で英仏と戦う祖国を離れて折衝に臨むプチャーチンの艦船が地震、津波で被害を受けて沈没し、乗組員五百人が上陸する事態に。厳しい折衝を終え、幕府の配慮で完成した「戸田号」で帰国の途につくプチャーチン。日露関係のみならず、日本外交史において最大の功労者ともいうべき川路聖謨の生涯。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
・久々に読んだ吉村昭さんの作品
・名前しか知らない人だったので、新鮮だった
・幕末というと、安政の大獄などの弾圧のイメージがあり
幕府は基本は無能で、開国したのも弱腰だったからという
なんとなくの先入観があったが、
いろいろな考えの人が実際に活躍しており
開国のために様々な努力もしていたことを知って
少し見方がかわった
Posted by ブクログ
政治・外交に対して冷静な分析力をもち、家族に対して清廉な川路聖謨。
日本に外交力がない、と昨今もいわれているが、幕末、鎖国を解くことにより起こりうる 国内の内乱という危惧を抱えながら、譲歩せずに進めたロシアとの交渉。その手腕たるや、に感動する。
すでにこの時期、欧米諸国は日本に対しての情報を共有しつつあった、という状況。幕末に向け、物価の高騰、江戸の火事、といった時代の空気も伝わってくる。位替えになると、一両日ぐらいで行われる、屋敷替えというシステムもあったとは・・
幕府派遣の初の英国留学生の船に、コマ回し、手品、軽業師などの巡業芸人が、ロンドン巡業のために乗船している史実にも、驚きがあった。
四代にわたる将軍に仕え、しかも討幕軍が江戸入りする前に、身辺整理をして切腹。すでに病に侵されている箕でありながらの最期に、幕吏であった重みを思う。