あらすじ
冬の朝、43人の子供が市内に突然現れた。ほぼ同時に、病院の地下で女性の死体が発見される。〈ガラスの鍵〉賞受賞シリーズ最新刊
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Posted by ブクログ
表向きにはいないということになっているスウェーデンのストリートチルドレン。だけど現実に地下にたくさん存在している。誰からも探してもらえない人がいるということ。子どももいるということ。ひとつの殺人と43人の子どもが路上に置き去りにされる事件。このふたつの事件の捜査から地下へと続き、スウェーデンや近隣でのストリートチルドレンの問題が表面化していく。グレーンスの癇癪や独断で動く捜査や一匹狼なところは相変わらずで、でもシリーズのなかで重要な位置になりそうな今作。大きな社会問題とグレーンス個人の問題を抱え苛立ちが募る。このシリーズは重い問題を扱っていて読み心地がいいとは言えないけれど読むことをやめれない。
Posted by ブクログ
ストックホルム市警シリーズ第4弾。
このシリーズはグレーンス警部たちの活躍ぶりを楽しむものではなく、「(スウェーデンの)社会はこんな問題を抱えていますよね」と提起するもので、今回のテーマはストリートチルドレン。
家出した少女が、自分を探しに来た母親を刺し殺し、その死体を遺棄しに行く時に母の死体へ唾を吐く…というシーンは、読んでいて非常に胸が痛む。
ルーマニアからバスで運ばれてきた43人の子供がストックホルム市内で置き去りにされるという集団捨て子事件も並行して発生し、その顛末も痛ましいが、グレーンス警部のプライベートにも前作から一変して不幸が訪れたり、もうお腹いっぱいと言うか、さすがに詰め込み過ぎかなと感じた。
Posted by ブクログ
エーベルト・グレーンス警部シリーズ第四作。
ルーマニアからバスで運ばれてきた少女たちと
ストックホルムの地下道に住む少女。
二つの国のストリートチルドレンたちの事件は、
驚くことに、全く交わらない。
スェーデンのミステリーは国際的だ。
国境をひらりと超えていく。
橋を渡れば、フェリーに乗れば、
すぐ隣の国に行ける。
EUとなった今では検問もない。
自分が思う「国際的」とは違う気がする。
国をまたいでおこる犯罪に警察は無力だ。
その無力感が、このシリーズの通奏低音なのだろうか。
エーヴェルト警部の恋人も亡くなってしまったし。
教会に少女がたたずむ場面が印象的だった。
クララ教会、行ってみたい。