【感想・ネタバレ】戦国日本と大航海時代 秀吉・家康・政宗の外交戦略のレビュー

あらすじ

15世紀以来、スペインやポルトガルはキリスト教布教と一体化した「世界征服事業」を展開。16世紀にはアジアに勢力を広げた。本書は史料を通じて、戦国日本とヨーロッパ列強による虚々実々の駆け引きを描きだす。豊臣秀吉はなぜ朝鮮に出兵したのか、徳川家康はなぜ鎖国へ転じたのか、伊達政宗が遣欧使節を送った狙いとは。そして日本が植民地化されなかった理由は――。日本史と世界史の接点に着目し、数々の謎を解明する。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

目からウロコ。
こんな視点で日本史(世界史)を見たことがなかった。
日本史と世界史を分ける弊害というか、
その横断的な視点が必要なんだなと思った。
秀吉の朝鮮出兵は、
たんにモウロクしたじいさんの思い付き、
と思ってたけど、
秀吉の頭の中では
緻密な世界戦略があったのかもしれない。
失敗と言われる慶長遣欧使節にも、
新たな意味が与えられた気がする。
オススメ。

1
2020年11月03日

Posted by ブクログ

戦国日本というどちらかというと内部での闘争に明け暮れた時代という描かれ方をする時代に対して一石を投じるような本だった。5だと盛りすぎなので4.5くらいかなと。
特に、秀吉の朝鮮出兵の意図を再解釈したところが特に面白かった(だからといって他国へんの侵略を容認するわけではないというのが筆者の主張でもある)。
また、外交関係を洗うことで家康と政宗の関係性を炙り出したところも興味深い点だった。

歴史を見る目が変えてくれる良書だと思います。

0
2024年03月11日

Posted by ブクログ

一般的な歴史教科書でも書かれ、しかし詳しくは説明されない豊臣秀吉・徳川家康の外交政策の目的やブレ、それが世界史的観点では腑に落ちる説明ができると分かった一冊でした。社会科の話の題材に使わせてもらいます。

0
2023年10月30日

Posted by ブクログ

戦国期、ポルトガルとスペインは世界を征服しようとしていた。
キリスト教伝来はその流れの中での出来事であったが、日本は強かったから征服されなかったというのが本書の主張。
そこには秀吉や家康の巧みな外交戦術があった。
歴史の教科書にはさらりとしか書かれない朝鮮出兵やバテレン追放例、禁教令、さらには伊達政宗による支倉常長の欧州派遣を全く別の角度からとらえ直すことができる本。

0
2023年06月13日

Posted by ブクログ

勉強する時は、日本史世界史一緒に同じ時系列て学んだ方が、何故それを行ったか論理的に覚えられる。

戦国時代。日本国内だけで内戦してるばかりじゃ、そりゃないよなぁ。

0
2021年10月29日

Posted by ブクログ

目からウロコの本。内向きな「日本史」ではなく、巨視的な観点から日本の位置づけを論じている。

1494年のスペインとポルトガルによるトルデシリャス条約による「世界領土分割」体制の影響を当時の日本も影響を受け、ポルトガル・スペインから宣教師が来航。これらに対抗し、軍事力を誇示するために秀吉は朝鮮出兵を行なったとある。戦国時代に国内に軍事力を蓄え、秀吉・家康と国家の形を造り上げるなか、世界から「帝国」として認知されるに至り、これが日本の植民地化を防いだと分析。

それにしても、かつてからこれほど海外とのやり取りが多かったということや日本人奴隷があちらこちらにいたという事実には驚き。丹念に調べ上げた好著。

0
2021年07月12日

Posted by ブクログ

いやあ面白かった!

大航海時代の西欧が日本も侵略しようという明確な意図があり、それに秀吉や家康がどう対応したか。

戦国から江戸初期に、まるで幕末かのようなグローバルな躍動的面白さ感じた!

0
2021年06月06日

Posted by ブクログ

戦国時代(世界史としては大航海時代)、ポルトガルやスペインがヨーロッパで覇権を握る中、アジアにもそれらの国が迫ってくる。ザビエルをはじめとするカトリック宣教師が来日したのは、偶然なのか、はたまた必然なのか。なぜスペインは日本に手を出そうとしたのか、日本を侵略してどうしようとしていたのだろうか。当時の世界情勢と共に、日本という国の特徴を改めて学ぶことができた。
日本が侵略されなかった大きな要因は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の存在が大きいだろう。信長はキリスト教の布教には寛容であったが、自分で神を名乗っている。宣教師からすれば、自ら信じているイエスキリストではなく、日本には織田信長という神が存在していたということは非常に布教においては大きな鍵となるだろう。彼らの目的を知ってから知らずかその後秀吉と家康はバテレン追放連などを発令し、徹底的にキリスト教を日本から追い払った。彼らがいなければ今の日本は違った姿になっていたかもしれない。

0
2021年02月23日

Posted by ブクログ

めっちゃ面白い。秀吉は、朝鮮を攻める10万の大軍を動員した時、マニラのスペイン総督府を恫喝した。総督は、もしかしたら、朝鮮は陽動作戦で、マニラに攻め込んで来るのではと恐れていた。
 ポルトガルとスペインが勝手に世界を二分して、東西に進んで侵略を続けると、地球は丸く、出会った地の果てが日本だった。両大国は、伝説の黄金の国を征服したかったが、そこに住む民族は、好奇心旺盛で、鉄砲を手に入れると、またたくまに自分たちで量産し、もはや手に負えない強力な軍事力を持つ国となり、さらに新興国のイギリス、オランダが台頭し、日本を征服することはできなかった。
 この時代の世界とのかけ引きが面白い。

0
2021年02月05日

Posted by ブクログ

「鎖国」と教えられたのとは全然違う実態。
徳川家康、伊達政宗を中心に、西欧諸国との関係をどのように構築し、主導権を保ったか。目を見開かされた。

0
2020年08月14日

Posted by ブクログ

授業準備の一環で読みました。どこまでこの内容を反映させることができるか、まだわかりません。
研究授業に結びつけることができたらいいなぁと思います。
近世初頭の日本の外交政策を、東アジア史を超えた世界史の中で捉えるのは、とても興味深いです。

0
2020年05月11日

Posted by ブクログ

圧倒的5つ星。
これまで謎だった
・日本はなぜ西欧の植民地にならなかったのか
・なぜ秀吉は無謀な朝鮮出兵を強行したのか
への疑問が氷解した。政宗と家康・秀忠とのやりとりも臨場感を持って伝わってくる。これまで読んだ新書の中でもベストの一つ。
同時に、もし当時の日本が武士の世でなかったら、もし承久の乱で幕府側が敗れていたら、など考えを巡らさざるをえない。時代を遡って歴史書を読み進めてみたくなった。

0
2019年02月16日

Posted by ブクログ

世界史の中に戦国末期の日本を位置づけると、秀吉の朝鮮出兵が何だったのか、それがその後の世界の歴史をどう変えたのかといったことがわかる。
ポルトガルやスペインも日本の植民地化を考えていたが、その考えを改めさせたのが秀吉の朝鮮出兵だったと。自分的にこの時期はインドやフィリピンのヨーロッパ人たちに意識を向けてこなかったけど、彼らが日本を侮っていたのが後から恐怖に変わったりだとかって事実は面白い。
また、政宗の慶長遣欧使節の背景に何があったのか、それが単なる謀叛の試みではなかったことを分析していてこれも面白い。

0
2018年12月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

秀吉も家康も、日本国内の「天下」だけを見ていたわけでは無く、欧州列強とのゲームをプレイしていた。
家康の対外貿易方針/キリスト教対策の変遷
家康・秀忠と政宗との間の熾烈な駆け引き、情報戦
国内問題であり、対外問題でもあり。

世界を分割線としていたポルトガルとスペイン
そのスペインから独立し、アジアの海で一番荒事をしていたオランダ
彼等を追い抜かんとしていたイギリス

そんな欧州列強は、朝鮮出兵における日本の対外戦争能力を注視していた。
武力征服を断念したのみならず、布教の禁止も、貿易の制限も彼等が受け入れたのは、受け入れざるを得ないと判断させるだけの軍事力の裏付けを日本側が持っていたから。

日本は、「帝国」を名乗る前から、「帝国」として欧州列強には認識されていた。
幕末に来航したペリーの親書でも「帝国」扱いされている。

0
2018年11月04日

Posted by ブクログ

中国を中心にした東アジアの枠組みではなく、スペイン・ポルトガルの世界支配の枠組みの中で、信長・秀吉・家康・政宗の対外政策を見ていくとどうなるか、という内容。

特に秀吉の朝鮮出兵や明の征服は、東アジア支配をもくろむポルトガル・スペインへの反抗だという評価が一番印象的。
秀吉の「天竺を切り取る」というプランも、そこにポルトガルの貿易拠点ゴアがあることを踏まえるとインド洋交易ルートの掌握を狙っていたのでは、という妄想もふくらんでくる。

可能性や推測で語っているところも多いし、そこまで言っていいの?と思うところもあるけど、とりあえず筋は通っている。日本史を考えるうえで視野を広げてくれる一冊だった。

0
2018年06月28日

Posted by ブクログ

東アジアに進出したヨーロッパ列強との外交関係を軸として、戦国から近世へと移る時代を捉え直そうとする内容。各国との虚々実々の駆け引き、列強への対抗という視座からの朝鮮出兵の評価、慶長遣欧使節の意義といった点が興味深かった。

0
2023年10月16日

Posted by ブクログ

秀吉の朝鮮出兵や、秀吉や家康によるキリスト教の禁止政策が、スペインやポルトガルの対外政策の影響を大いに受けていたことを述べた本。また朝鮮出兵が、ひいては、日本の植民地化を防いだと述べている。こうした見方は新鮮である。

0
2022年06月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦国〜江戸初期の外交がわかる1冊
歴史好きの私でみ初めて知る事が多い
中でも1番驚愕なのは海外でに日本人奴隷が
戦国時代に居たという事実だ。
そこから秀吉のバテレン追放令も
納得のいく政策だと感じた。

また、最大のオチとして
何故植民地にならずに済んだか
この理由も大変面白いし納得がいく

歴史ファン(特に戦国を好き)
は読んで欲しい。

0
2021年11月15日

Posted by ブクログ

2022年に始まる高校教科「歴史総合」、日本史と世界史を統一的に扱う科目とのことだが、正にこの本で行われている営みであり、両者を統合することで見えてくる視点があることを実感できた。
秀吉の朝鮮出兵や家康の鎖国など、日本のことだからだろうか。あまりにもあっさり片付けられてしまう。しかし、「日本が朝鮮に出兵した理由、それを受けて特に欧州各国はどう反応したか」「なぜ日本は植民地にならず鎖国を強行できたのか」という問いは、日本の部分を他の非ヨーロッパ国に変えた時に当然出てくる疑問のはずだ。まさに灯台下暗しの灯台下を照らしてくれたような一冊だった。

0
2021年05月28日

Posted by ブクログ

戦国時代って、ちょうど大航海時代の後半なんですよね。相手は基本的に通商利権のあるところを植民地化して回ってるヨーロッパ。日本を植民地にせずに済ますつもりは毛頭ないわけで、植民地化を阻止するには軍事力を見せつけるしかない。
そう考えると、戦国時代が終わって国内統一が進むころにヨーロッパがやってきたのは、日本的にはベストタイミングだったのですね。
後半の伊達政宗の通商は、やはりここでも政宗は生まれてくるのが10年遅かったのかと。

0
2021年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった!世界史地理選択だったので、日本史を最後にやったのは高校1年の時で、23年大河に向けた勉強の一貫で読みました。
最初はキリストを「大日」と訳し、仏教の一派と勘違いされながらキリスト教が布教されたこと、カトリック国/プロテスタント国、武将それぞれの思惑、タイミング。かつてポルトガルに留学していた頃、大好きだったリスボンの美術館にもNamban Artと称し、当時の煌びやかな財宝が展示されていたのを思い出しました。
群雄割拠の戦国時代が克服される過程を目の当たりにしたヨーロッパ列強諸国から、当時神聖ローマ帝国に対してしか用いられなかったImpério(帝国), Empero(皇帝)の呼び名が使われたこと。結果的に我が国を植民地化から守ってくれた、強く賢かった御先祖様に感謝したいと思います。

0
2021年02月07日

Posted by ブクログ

今までの「戦国時代の日本」からの視点を超え、「グローバル・世界の中の日本」の視点で捉える本書など、視点の置き方が現代的。

0
2020年11月06日

Posted by ブクログ

論旨明快で引用される資料も多く一気に読ませる。けれども、EmperadorやImperioをめぐる議論にはひっかかってしまう。秀吉や家康が西洋諸国からEmperador(皇帝)と呼ばれるようになったことについて、「日本の国家としての格は[帝国」であり、その君主は[皇帝」‥だった」「当時、世界最強を自負したスペインの国王はRey(王)‥、イギリスもオランダもフランスも王国であり、国王であった。一方、当時のヨーロッパにおける皇帝は神聖ローマ皇帝であり‥、EmperadorやImperioと称された徳川家康や日本は、それと並び称される存在として認識されていた」と論じ、そのような西洋諸国からの評価や畏敬こそが、日本が西洋の植民地となることを防いだ、というのが著者の論じるところ。でもスペインに簡単に植民地とされてしまったインカ(Imperio Inca)もアステカ(Imperio Asteca)も帝国とみなされ、その支配者は皇帝と呼ばれていた。わたしには、これまでヨーロッパ人に「王」(rei)と呼ばれていた各地の大名を服属させて、国内統一を果たしたからEmperadorと呼ばれたとしか思えない。

0
2018年08月29日

Posted by ブクログ

秀吉の海外出兵も、家康の鎖国も、当時世界最強のスペインという国への対抗から生まれたもの。鎖国も、要は、それを実行する力が日本にあったということだ。
この視点は面白い。
いずれにしろ、国を守るに強大な武力が必要なことは間違いがない。
使い方を間違うと大変なことになるが、だから持たないというのは誤りだ。

0
2021年10月17日

Posted by ブクログ

歴史に疎い自分を省みた一冊。
伊達政宗のところから集中力が途切れ、挫折。。。
ただ、大航海時代の中で、日本が植民地にされなかった理由として、豊臣秀吉らの危機感だけなく、また朝鮮・明・フィリピン島への海外展開を視野にしていたことで結果、日本は他国とは違う道を歩けたのだと思う。
また、布教活動=植民地化という構図は刺激的だった。どの時代もマインドコントロールのため、宗教が使われていることの恐怖が出てきた。

もう少し、歴史を多面的に学習し、再読したい一冊。
今回はとりあえず、豊臣を理解するところまで。。。

0
2019年06月09日

Posted by ブクログ

織田信長、豊臣秀吉、イエズス会、徳川家康、三浦按針、フランチェスコ会、スペイン国王フェリペ3世、伊達政宗、徳川家光、支倉常長、ローマ法王パウルス3世といった面々が、日本史と世界史のボーダーなんかお構いなしに知略謀略の限りを尽くすというお話…じゃなかった歴史書。

テーマは、大きく分けて、大航海時代において日本が当時の最強国スペイン等の植民地にならなかったのはなぜかと、伊達政宗はなぜあのタイミングで慶長遣欧使節団を送り出したのか、の2つ。

1つ目のテーマについて、文禄・慶長の役は秀吉が耄碌したためではなくてスペイン・ポルトガルを掣肘するための戦争だったという説には度肝を抜かれるものの、トルデシリャス条約下のスペイン・ポルトガルのつばぜり合いをロシアvsイギリスのグレート・ゲームに、朝鮮の服従拒否を壬午事変に置き換え(こじつけ?)れば、あら不思議、著者いうところの戦後の「一等国」としての世界史への登場も含め、日清戦争の時代背景に見えてこなくもない。

秀吉の目論見は見事当たり、ヨーロッパ列強からは日本は” 軍事大国””帝国”として認識され、侵略の対象とはならなかったというのには、日本スゴイ本的な臭いがして(もちろん著者の平川先生はそうではないとあとがきで説明しておられる)、微妙な気分になるが、平川先生に倣い日本史/世界史のボーダを無視、史上の画期となった攻城戦ということで、第二次ウィーン包囲と大阪冬の陣を比べてみると、wikipedia調べで、なんと後者の方が大規模(前者で神聖ローマ帝国が動員した籠城方8万、後者で徳川軍が動員した寄せ手20万)。しかも徳川軍はほぼ常備軍。
それに、戦国日本の諸国を、ヨーロッパでいうところの領邦国家等と捉えれば、ヨーロッパ人の目には織豊政権や徳川幕府が「帝国」に見えるのは、考えて見れば不思議ではないのかも…。

研究書としての価値は素人にはわかりませんが、知的刺激に溢れた1冊であることは間違いありません。
2つ目のテーマと合わせて、1冊で2冊分楽しめるという点でお買い得でもあります。

0
2018年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
序章   戦国日本から「海国」日本へ
第1章  大航海時代と世界の植民地化
第2章  信長とイエズス会
第3章  秀吉のアジア征服構想はなぜ生まれたか
第4章  家康外交の変遷
第5章  伊達政宗と慶長遣欧使節
第6章  政宗謀反の噂と家康の情報戦
第7章  戦国大名型外交から徳川幕府の一元外交へ
終章   なぜ日本は植民地にならなかったのか

<内容>
今までの戦国期から江戸初期の外交の考え方に違う視点を与えてくれる本。ただその信憑性はわからない。私にはややオーバーに感じた。ただイエズス会の記録などを丹念に読み込み、そこから推論を重ねていく視点は面白い。終章にある「日本が植民地にならなかった」については、面白いが、中国も朝鮮も植民地にならなかったことに対する答えはない。他の本でも見られたが、日本は結構長い期間「軍事国家」と外国からみなされていたという指摘は、うなずくことが多かった。

0
2018年07月08日

「学術・語学」ランキング