【感想・ネタバレ】数学する身体(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

数学はもっと人間のためにあることはできないのか。最先端の数学に、身体の、心の居場所はあるのか――。身体能力を拡張するものとして出発し、記号と計算の発達とともに抽象化の極北へ向かってきたその歴史を清新な目で見直す著者は、アラン・チューリングと岡潔という二人の巨人へと辿り着く。数学の営みの新たな風景を切りひらく俊英、その煌めくような思考の軌跡。小林秀雄賞受賞作。(解説・鈴木健)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

遺伝的アルゴリズムのような人工進化では、磁束などのノイズをリソースとして活用した効率的な回路ができる話は面白い。科学的な思考をもとにしたエンジニアリングではノイズとリソースを明確に分けるが、自然的で即興的なブリコラージュではノイズもリソースもありものの材料として組み合わせて世界を創る。

人類にはまだ理で理解できないこの世界の全体感を、全身とこころで分かろうとする岡潔のアプローチの素晴らしさを改めて感じられる一冊。これが本来の日本のこころなのかも。

0
2024年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

常に身体と共にあった数学が、証明や記号(+,=)を含んで、どんどん抽象的で普遍的な物へと変わっていく。
そして遂に「コンピューター」「AI」という産物を生むに至る。
そのプロセスは「身体」「心」と「物」とを分離していく事であった。
そしてそれを進めたのは、数学者たちの普遍の追求に対する情熱だった。
だから、今日の数学は一見身体から数字が離れて一人歩きしている、空虚な物に見える。
しかし、「コンピューター」「AI」は再び人と人の心を通わせる。
「物」と「心」はそう簡単には分離できない。

アラン・チューリング / 岡潔の2人の巨人は、「数学=物」を追求する事で、「心」とは何かを追求した。

0
2021年08月07日

「学術・語学」ランキング