あらすじ
剣と魔法の世界・ターミナルは魔族の侵攻により滅亡の危機を迎えていた。
近隣諸国は皆侵攻され、残されたのは
光の血筋を受け継ぐと言われている、サイトピア国のみ。
そんな絶望的状況を打破すべくサイトピア王が下した命は、
異世界から救世主を召喚する事。
大臣より指令を受けた宮廷視聴者のダマヤは、
天才召喚師クランエと共に救世主召喚を試みる。
「サムライ」「ニンジャ」「リキシ」等、異世界には様々な特殊技能を
持つ者が存在する。
宮廷執務室では皆期待を胸に、ダマヤの報告を待っていた。
だが、ダマヤが召喚して連れてきたのは「キモノ」という見慣れない
装備をまとった一人の男。
彼は……「ハナシカ」であった。
――そう。これは、一人の噺家が落語で世界を救う物語である。
朱雀 新吾(スジャクシンゴ):福岡県在住。関西大学卒業。大学時代は落語研究会に在籍。卒業後は伝統芸能に関わりたいとの思いから劇場などで大道具として働くかたわら、小説の執筆に勤しむ。
深山 フギン(ミヤマフギン):漫画家・イラストレーター。主なコミック作品に『オーバーロード』『未来デリバリー 小さなアシモフと緑の忘れ物』など。
柳家 喬太郎(ヤナギヤキョウタロウ):『今おもしろい落語家ベスト50』(文藝春秋)では第1位に選出されるなど、現在の落語界を牽引する一人。“今もっともチケットの取れない落語家"とも言われる。1963年東京都生まれ。 書店勤務を経て、柳家さん喬師匠のもとに弟子入り、落語家の道に進む。 2016年には映画『スプリング、ハズ、カム』で初主演を果たすなど活動の幅を広げている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
あまりにも世界観がバカバカしすぎて、設定に関しては細かいこと考える必要ないな、と序盤で思わせてくれるのは逆に好感が持てた。お陰で落語パートに集中して楽しめたのでよし。エピソードとしてはニグニグ草が非常に完成度が高い。
Posted by ブクログ
ネット発の数ある異世界物の中でも異色の、噺家を召喚した物語である。本格的に落語を扱っていて、モデルとなったらしい柳家喬太郎氏が監修を務めている点においても、異色の作品だろう。
筋立てとしては、元となる落語(例えば元犬)を異世界風にアレンジし(元竜及び元スライム)、それによって魔族の侵攻に喘ぐサイトピア国を少しずつ盛り立てていく物語になっている。
主人公である楽々亭一福の飄々とした落語家らしい立ち振る舞いも含め、非常に完成度の高い作品だ。おそらく、ネット発の物語の中でも指折りの作品だろう。
ネット版もある程度読んだ上での感想になるが、一冊としてのまとまりを持った構成の仕方なども達者である。
ただ、ネタとなる落語が「時そば」から「青菜」に続く形になっていて、笑いの引っ掛け方が似通ってしまった点は残念に思えた。
その点を気にかけて、星四つ半相当と評価している。
Posted by ブクログ
最近流行りの異世界もので安直に落語くっつけただけかと思いきや意外と面白いです。
世界が違っても人種が違っても伝わる落語の面白さみたいなのがちゃんと書いてあるので落語好きな人が読んでも満足できるのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
最近落語に興味がわいてきて、タイトルで購入。
異世界に召喚されてしまった落語家の一福さんが
すばらしい順応性を発揮して召喚された世界に
笑いと和をもたらすお話しでした。
「エルフやドワーフが住む剣と魔法の世界」は
他のファンタジーや映画でなんとなく知っている
世界。
どちらかというと落語のほうが自分にとっては
観る・触れる機会が少ないもののような気がします。
一福さんの噺は、もともとある落語の噺をファンタジーの
世界に通用するようアレンジしているとのこと。
私は元の噺をまだ知らないものも多いので、
これから自分の世界の落語もみてみたい、と
読みながら思いました。
2巻以降早く出てくれたらいいなと期待しています。