あらすじ
ここは杉並の古びた洋館。父の行方を知らない刺繍作家の佐知と気ままな母・鶴代、佐知の友人の雪乃(毒舌)と多恵美(ダメ男に甘い)の四人が暮らす。ストーカー男の闖入に謎の老人・山田も馳せ参じ、今日も笑いと珍事に事欠かない牧田家。ゆるやかに流れる日々が、心に巣くった孤独をほぐす同居物語。織田作之助賞受賞作。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
牧田佐知
刺繍作家。明け方まで刺繍に没頭してしまうことがある。三十七歳。
牧田鶴代
佐知の母。外で働いた経験はもちろん、自分で稼いだこともない「箱入り娘」のまま、七十近くになった女。
谷山雪乃
物静かなくせに毒舌なところがある。西新宿にある保険会社で働いている。生まれは新潟で、大学進学時から牧田家に転がりこんでくるまでのあいた、一人暮らしをしていた。三十七歳。佐知が人違いをして出会った。
上野多恵美
雪乃の会社の後輩で十歳年下。三年ぐらいまえ、雪乃のいる部署に配属された。手芸好きで、雪乃につきそわれて佐知の刺繍教室に見学に行き、生徒となる。
山田一郎
牧田家の離れにある守衛小屋に住んでいる。八十歳。
杉田
セレクトショップの経営者。
佐知の父
牧田家に婿入りし、佐知が生まれてすぐに出て行った。
本条宗一
多恵美の元彼。
中村
刺繍教室の生徒。七十六歳。
善福丸
カラス。
岡本
鶴代が大学生の頃の近所の人。
神田幸夫
前歯へし折られ男。大学時代の鶴代の恋人で結婚相手。
梶
内装業者。
梶の甥
内装業者。
川太郎
河童のミイラ。
盗っ人
警察官
たーくん
多恵美の新しい彼。
Posted by ブクログ
気づかなかった~!『細雪』のオマージュとして生まれた小説だったとは。
雪乃?多惠美?(どっちだった?)が作中で言ってくれなかったら、まったく知らずに読み終わるところでした。
こちらは旧家の四姉妹じゃなくて、老朽化した洋館に暮らす鶴代と佐知の母娘+同居人の雪乃と多恵美が主人公。
恋愛や仕事のことだったり将来への不安だったり、それなりに人生を積み重ねてきた4人には悲喜こもごもありますが(多恵美にはない…かも?)、いきなり出てくるカラスの善福丸と河童のミイラ、佐知の心の声や雪乃の毒舌のおかげで暗さのない面白い作品に仕上がっていました。あ、山田さんの騎士道精神もいいスパイスになっています。
この共同生活がこの先終わるとしたら、多恵美が同棲するとかかな。ダメ男好きだから戻って来そうですが。
河童のミイラが動いた真相は、佐知は分からずじまいですね(笑)