【感想・ネタバレ】TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したかのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年05月02日

ボッツマンは「シェア」という本を書いたことで有名です。この本は、シェアリング・エコノミーの潮流をいち早くキャッチした本でしたが、本書も中身を読むと著者の先見性を感じました。確かに「信頼」という概念自体は古くから存在していますが、デジタル時代では信頼の形が大きく変わっている、いまはその過渡期であるとい...続きを読むう主張です。昔はコミュニティ内での信頼しかありませんでしたが、ついで国や企業、マスコミなど「制度」に対する信頼が生まれてきた。そして第3の波として「分散化された信頼」がデジタル技術の進展によって生まれているのです。

本書の面白い点は、「信頼が分散化された」で本が終わっているのではなく、実は一周して集中する、あるいは向きが逆になるような動きもあることを指摘しているところです。例えば中国では社会信用制度ということで国民全員の格付けスコアをつける試みが始まっています。これは信頼の向きが逆になったと言えるでしょう。本来的には、国家がどうやって国民に信頼される存在になれるのかを考えるわけですが(特に選挙で政権が選ばれている国では「国民の信頼を得る」ことが最重要ポイント)、中国で導入されつつある制度では、「国民がどうすれば国に信頼されるようになるか」を考えるようになります。ある人物が、政府が好まない行動をとると、その人の格付けが下がり、日常生活に支障が出るような世界です。これは訳者後書きにも書いてあったように、ジョージ・オーウェル的な世界を想起させますが、個人的には古代中国の科挙制度が国民全体に適用される、というようなイメージも浮かびました。ただし、科挙であれば試験が終わってしまえば高得点を取らなければというプレッシャーは無くなりますが、中国の社会信用制度は終わりがなく死ぬまで息をつく暇がないということでしょう。
「信頼」の構築の仕方、誰が誰に対して信頼を構築するのか、などが大きく変わりつつある時代だというのは本書を読んで間違いない気がしました。5年後、10年後に振り返ると本書が指摘するポイントの重要性はさらに高まっているのではないでしょうか。

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Posted by ブクログ 2020年01月25日

1、信用する相手が変わってきている。広告への信頼がなくなり、口コミなどが信用されるようになってきた。そういえば、Googleの検索を使わず、TwitterやInstagramで情報を取り入れる人が多くなったなあ

2、使わない機会損失をもったいない精神でシェアすることで大きなビジネスにつなげられる時...続きを読む代になってきたが、その際には”信用”をどのようにマネジメントするかが大事

3、コントロールされたくない人たちがスタートアップで既存のシステムを作り替えたが、GAFAのように新たなプラットフォームとしてコントロール層に置き換わった。ヒエラルキーがなくなったというよりは新陳代謝が起こっただけ。

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Posted by ブクログ 2019年04月27日

人と人の信頼から制度的な信頼、さらに分散化された信頼に移行していくという整理の下、豊富な事例が紹介される。情報通信関連で久しぶりに通読した書。あまり話題にならなかった本だが、内容は濃く面白い。

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Posted by ブクログ 2018年11月20日

信頼を様々なangleから考察、分析し、今後デジタル時代における「信頼」を得、維持するためのメカニズムの構築がkey となることを示唆する圧巻の書

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年10月07日

久々にいい本。

人が新しいものを信頼する3つの原則=アイデアを受け入れる3原則。
それは何? 自分にどういう得が? 他に誰がやってる?
人間は本当に新しいものは欲しがらない。馴染みのあるものがこれまでとちょっと違うやり方で提供されると欲しい。アップルのデザイナーの目標は「はじめてなのに見慣れたもの...続きを読む」。カリフォルニアロールの話。

持たない会社Pferとして成功してる。
「ウーバーは車を持たず、世界最大のメディアのフェイスブックコンテンツを作らず、世界一の小売企業のアリババは在庫を持たない、宿泊業者のエアービーは不動産を持たない。何か面白いことが起きている」

サービスが原因でえ何か問題が起きた時Pferはその責任を負うべきか。
Pferは問題を抑止できる存在であるがゆえににある程度責任は負うべき。
ただし、利用者側もそのような不安定な信頼の上で成り立っていることを意識すべき。過度に簡単に信頼する(信頼の飛躍)には気をつけるべし。我々はクレジットカードをブラックボックスに入力している。システムが滞りないと感覚が麻痺してしまう。

信頼の3要素。有能さ、頼りがい、正直さ。

分散した信頼を成り立たせる主要な方法は口コミ。
偽レビューの可能性や問題もあるがユーザにみメリットがあり売り手にも責任ある行動をとらせる有効な手段。

データを預けているという意識は持ちづらいが、その弊害ともいうべき動きが出てきている。
中国では社会信用制度(国民格付け制度)。2020年には強制参加になる。
セサミクレジットという会社がユーザにあらゆる行動を点数付けするサービスを国の指示のもと提供。
何をやってるかが全て監視されて点数付けされる社会。プライバシーはもはやなし。

信頼のステージは、F2Fに直接的な相手を信頼してたステージ。制度を信頼するステージ(ブランド力、業種、学歴、名声、資格、評判など)(BCの世界はこれを揺るがす)。
そして今は、分散された信頼のステージ(レビューシステム)。



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Posted by ブクログ 2019年03月03日

ダークサイドのディラーが顧客の信頼を損ねないために、品質や配達やサービスにはるかに気を使う。には驚きました。良く考えてみると、犯罪者であれ普通のビジネスであれ継続的に果実を得て成功するにはやはり顧客からの信頼を得ないと成り立たないことがわかります。こうした信頼の過程を本書では1つ目ローカルの信頼とし...続きを読む身近なコミニュティー内での顔見知り2つ目制度への信頼として学校、役所、メディアの報道など3つ目 は、分散された信頼として今のネット社会であると位置づけています。以前の信頼は下から上に流れていて、より高い権威に人々が信頼の礎をおいていましたが、ネット社会では横に向かって水平の信頼に移行して、昔ほどマスコミや政府や権威的なものの信頼度が減ってきている。ただ、行きすぎると中国が義務化しようとしている個人の信用格付けシステムなど一部の権力がそれを利用する危険性もあることなど様々な視点から今後の信用について考えさせられる良書です。

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Posted by ブクログ 2022年11月06日

信頼度がお金に変わり、ビジネスとして成り立つ奇妙な世界が何か解説されている。

定性的なものを定量にする難しさをなり遂げる一方で、そこまで分析されてしまうのかという気持ち悪さが生まれる世界がやってきそう

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Posted by ブクログ 2019年03月19日

要点
1
中国のビジネスでは、信頼が重要だ。アリババの創業者ジャック・マーは、買い手に売り手を信頼させ、ものを買わせるために、売り手の認証制度を設けた。認証を受けた売り手への問い合わせは、未認証の売り手よりも6倍多かったという。
要点
2
人は、アイデアを信頼し、プラットフォームと企業を信頼し、...続きを読む個人を信頼するという順に新しいビジネスへの信頼を深めていく。
要点
3
中国政府は、国民の信用力を格付けするシステムを開発中だ。すでに数百万人が登録しており、信用履歴、履行能力、個人的な特徴、行動と嗜好、人間関係の5つの要素から人間を格付けする仕組みになっている。ランクが高い人には、さまざまな特典が提供される。

人が新しいビジネスを信頼するには、必ず次の行動パターンをたどる。まずアイデアを信頼し、次にプラットフォームと企業を信頼し、最後に個人を信頼するという順番だ。ブラブラカーの例では、まずライドシェアというアイデアを信頼して試してみようと感じる。次にブラブラカー社が悪質なドライバーをあらかじめ取り除いてくれていることと、トラブルが発生したときにユーザーを助けてくれることを信じる。そして最後に、ライドシェアする相手を信頼するというプロセスを踏むことになる。アイデアとプラットフォーム・企業を信頼しなければ、個人を信頼するか否かを判断するステップにはたどりつけない。

1つ目がカリフォルニアロールの原則である。馴染みのないものを身近に感じさせるため、新しいものと馴染みのあるものを組み合わせて、「新しいのに見慣れたもの」を作るというルールだ。新しいものである「寿司」と、アメリカ人にとって馴染みのあるキュウリやカニ、アボカドを組み合わせて作られたカリフォルニアロールのように。新しいアイデアを信頼させるためには、親近感が必要なのだ。

エアビーアンドビーも、この原則を利用している。ホームページに行くと、多くの人は企業紹介ページを読まず、まず自宅のある場所を検索してみる。そして近所の「あの家」に泊まれるのだとわかってはじめてピンと来るのだという。

2つ目がメリットの原則だ。新しいアイデアを信頼するには、自分が享受できるメリットを理解できなければならないというルールである。たとえば自動運転車の場合なら、自動運転車が人間の運転を肩代わりするメリットがリスクを上回るかどうかだ。

ただし人間は、得たものより失ったもののほうがより強く心に残る傾向にある。2016年に起こったテスラの事故は、マスコミに大げさに書きたてられた。アメリカ全体でいうと約1億5000万キロに付き1件の死亡事故が起きるとされているなかで、テスラは約2億キロ走ってはじめて死亡事故を起こしたにもかかわらずだ。

3つ目が信頼のインフルエンサーの原則である。「信頼のインフルエンサー」とは、ある物事のやり方を一変させるような影響を持つ少数の人たちのことだ。必ずしも地位や名誉のある人、有名人、高名な専門家である必要はない。

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