あらすじ
おいしくて、いとおしい。 同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。 山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。 それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。 巻末に番外編を収録。
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Posted by ブクログ
食べることは命をいただくこと。
私も今まで以上に食材に感謝したいなという思い。
熊さんのやさしさ、みんな食堂かたつむりの想いを受け取っていい方向に進むところ(これはご飯の力で勇気が出たり活力が湧くからだと思う)が微笑ましかった。
そして最後のふくろうの謎とおかんからのお手紙は私も大号泣。おかんも倫子も不器用だけど愛があるんだね。
Posted by ブクログ
『食堂かたつむり』を読み終えて、涙が止まらなかった。
本を読んでここまで声を上げて泣いたのは、生まれて初めてだと思う。
“命はどれほど大切なものなのか”という問いが、静かに、だけど強く胸の奥に突き刺さった。
物語が進むにつれて、お母さんの倫子への愛情が少しずつ明らかになっていく。
派手に示される愛じゃない。
人目につかないところで、そっと積み重ねられてきた愛。
その存在に気づいた瞬間、胸が締め付けられて、最後の手紙ではもう涙を抑えられなかった。
エルメスのシーンは言葉にできないほど心を揺さぶられた。
様々な事情を理解したうえで、自ら解体されるために歩み寄る姿は、残酷で、優しくて、尊くて、悲しくて…
大切な存在の死を経験したことのある人なら、きっと涙せずにはいられないと思う。
そして、料理によって人が幸せになっていく描写がとても好きだ。
「料理は祈りそのもの」という言葉が強く心に残った。
誰かのために作る料理は、“幸せになってほしい”という願いの形なんだと気づかせてくれる。
読み終えた今、胸にぽっかり穴が空いたような寂しさと、確かに温かいものが残っている。
『食堂かたつむり』は、間違いなく大切な一冊になった。
出会えて本当に良かった。
Posted by ブクログ
食べること、生きること、死ぬこと。
やさしい物語の顔をしながら、
容赦なく命の重さを突きつけてくる一冊。
あらすじやネタバレレビューを読んで展開を知っていたのに、つらすぎて涙が止まらなかった。
読み飛ばしはしなかったけれど、味わって読む余裕はなかった。
物語の冒頭、
インド人の恋人がすべてを持ち去って消えるという展開は衝撃的だった。声を失うほどの出来事なのに、主人公はそれを悲観的に捉えていない。強い人なのかと思ったけれど、それは「向き合わない」ことで保たれていた強さでもあった。
私は自分を弱い人間だと自認していた。
倫子のように切り替えられず、
悲しみや痛みに真正面から向き合い続けてしまい
いなくなった大切な人のことを
何年も考え続け、理解しようとするからだ。
だけど、どんなに切り替えが早く強く見える人でも、”向き合えない“ってだけかもしれない。
どちらが強い・弱いではなく、
その人なりの生存戦略なのだと思わされた。
向き合うことにも、向き合わないことにも、
きっとバランスが必要なのだと思う。
おかんを失った倫子と同じように、
私は昔から「命を感じる食べ物」が苦手だった。
都会で育ち、料理は好きだけれど、
鶏や豚を自分でしめることはきっとできない。
自然の中で生きているという実感が、ほとんどない。
エルメスにとってあの選択が本当に良かったのか、
私にはわからない。でも、食べるという行為が
命を引き受けることなのだとしたら、
その覚悟もないまま生きている自分は
生物として脆弱している。
小川糸さんの作品はいつも、
料理のあたたかさや人の心、
ささやかな幸せに包まれているのに、
同時に、生きること・死ぬことという
逃れられない生物の宿命を静かに、でも鋭く突き刺してくる。この柔らかさの中にある残酷さが、
必要なメッセージとして流れ込んできた。
Posted by ブクログ
相変わらず小川糸さんは心温まるお話だった!
恋人に裏切られたショックで声をなくした主人公が田舎の故郷に帰って、そこで開いたお店で心を込めて料理を作って人を幸せにする、一方でお母さんとの確執が解れていって、お母さんからの最後の手紙はちょっと泣けた