あらすじ
おいしくて、いとおしい。 同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。 山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。 それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。 巻末に番外編を収録。
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Posted by ブクログ
ひとりの女性が、料理を通して周りの人を幸せにし、夢に向かってひたむきに努力する姿に読んでいるこちらが励まされた。倫子さんは魅力的だ。
エルメスの解体シーンにすごくドキドキしてしまったけれど、これが命を頂くということだよね。普段、何も気にせずに食事をしていたけど、命を貰うことって本来はこれほど重いことなのだよね。
きっと、昔だったらこの小説はハマらなかった。
自分が料理をする立場になったからこそ、この小説の良さがわかるようになった気がする。
Posted by ブクログ
最初から衝撃的な始まりで、
そんな事あるの!?とは思ったが、あるのかもしれない。
その後のラッキーな展開が、ラッキー過ぎて
またそこでも、いやいやそんなに運がいいことある?と思ったが
話の続きに料理の描写がある事で引き込まれてしまった。
隔世遺伝、というのも何となくわかるような気もするし
最後にはやはり読んで楽しかったと思える小説だった。
Posted by ブクログ
ていねいに描写されており、イメージが湧いてきます。
少しのすれ違いなどからなかなか関係が良くならないことがありますが、最後はよい形にひとまずなるお話でした。
インド人はどこへ??
Posted by ブクログ
柴咲コウ主演で映画化もされた作品。
見たことも聞いたこともない料理が次々と登場するが、どれもただ美味しそうなだけではない。地産地消や大地の恵みを、その人の人生や想いごと血肉へと変えていくような、特別な一皿だった。
喪服を脱いだお妾さん。シニョリータに会えた熊さん。施設へ入る前の誕生日会で振る舞われた“大人のお子様ランチ”――。料理はお腹を満たすだけではなく、その人がもう一度前を向き、生きる力を取り戻すための「希望」として描かれていた。
物語自体は淡々と進むため、好みは分かれるかもしれない。それでも、言葉を失った(たとえ一時的だったとしても)りんごちゃんを、柴咲コウが映画でどう表現したのかはとても気になった。
母との確執、そして最後の手紙には思わず涙がこぼれた。エルメスのくだりは受け入れにくいと感じる人もいるだろう。しかし、それさえも命をいただくということへの感謝につながる描写なのだと思う。
この作品を読んで改めて感じたのは、食事とは単なる栄養補給ではなく、あらゆる命をいただき、自分の命へとつないでいく尊い営みだということ。
最近は「泣いた=名作」と短絡的に結びつけてしまいがちだけれど、作品の価値は涙の量では測れない。この物語は、静かに心へ染み込み、読後にじんわりと温もりを残してくれる一冊だった。
Posted by ブクログ
恋人との別れをきっかけに声を失った倫子が、ふるさとに戻り小さな食堂を開くという始まりはとても魅力的だった。出てくる料理もどれも美味しそうで、食材や調理法ひとつひとつにこだわりが感じられ、「誰かのために心を込めて料理を作ること」の温かさが強く印象に残った。
物語の途中からは想像とは違う展開になっていき、そこはやや置いていかれる感覚もあった。
エルメスを自らの手で調理し、人に振る舞う場面は読んでいて辛さもあったが、「命をいただく」ということの重みやありがたさを改めて考えさせられた。
最後の母からの手紙の場面では思わず涙。母も娘も、素直になれないまますれ違ってしまった。それでも最後に残された手紙によって、倫子が救われたように感じられ、読後感としては温かさの残る結末だった。