あらすじ
アザーズ侵攻からパヴ人の星系を守るための戦いは敗北に終わった。しかもその戦闘で、敵に地球の位置を知られてしまう。つぎに狙われるのは地球だ! ボブたちは必死で対抗策を考えるが、対処しなければならない問題はほかにも数多くあった。ポセンドンの独裁者政権、ブラジルの複製人メデイロスの攻撃……そんななか、ついに強大なアザーズの艦隊が襲来する。地球防衛のために集結した500体のボブは……3部作、堂々完結!
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Posted by ブクログ
2巻で感じたボブのゴチャゴチャ感が整理されたように感じた。
物語が収束してきて、深宇宙への探査ではなくアザーズとの決戦に話が集中してきたからだろうか。
新しい星の話はおまけ程度に挟まれているが、「メインが2〜3系統あって、時々フレーバーとして出てくる」という感じの方が把握しやすい。
3巻では人類側の主要人物、特にボブらと親しい人物が死に直面することで、人の心を持つ不死の機械と人間との境を感じさせる描写がいくつもある。
ヴァンパイアもの(他にもファンタジー)でも問題になることがあるが、人間の寿命を大きく超えて生きると、親しくなった人は必ず失うことになる。今作でもボブが感傷的になったり、人間との距離を置くような示唆があるが、その様子から(ヴァンパイアものでもあるように)やがては狂ってしまうのではないかと思えてしまう。そういう意味では、シリーズが長く続けば、不死のハズのボブの死(自壊、総会での寿命の設定)やボブが狂った場合の対処を描かなければならなくなるかもしれない。
このシリーズは、戦闘をメインとしない、冒険譚としてのSFが話の中心だと思っているので、アザーズとの決戦が緊張感はあっても容量としては比較的薄く書かれ、母星への攻撃(= アザーズ問題の解決)に至ってはハリウッド映画のような”ドーン”という終わり方(決着直前までは残りのページ数が無いので、地球防衛の成功だけで真の決着は次作へ持ち越しかと思っていたたぐらい)だが、これで良いのだと思う。
一方的な開拓では話が長く続くとダレてしまうし、友好的な超文明を出せば世界が複雑になりすぎ、それは作者の方針と違う感じがする。敵対的で高度な文明を出すのが物語に適度な締まりを持たせるには良いのだろうが、宇宙戦争を描きたいわけでもなかっただろうから長く戦わずスパッと切った感じなのだろう。
あくまで主眼は新しい技術を開発して宇宙開拓をしていく物語なのだと感じる。そう思うと、ずっと技術開発を続けてるビルは主役のひとり、作者のお気に入りなのかもしれないと思える。
解説ではボブ達の物語はまだまだ続くように言っているが、ここでキレイに終わったのと、1巻が面白さのピークだったように思っているので続編は読まないことにしようと思っている。