あらすじ
「テクノロジーの中を流れる力はただのぼんやりした情報に過ぎないのか。その力は自然なのか非自然なのか。テクノロジーはどういう意味で自然と異なるのか。テクノロジーは人間の知性から出てきたものであることは明らかだが、われわれの知性とどう違うのか」(本文より)人類は石器からコンピューターに至るまで、さまざまなテクノロジーを生み出してきた。これらに通底する普遍的な法則、そしてテクノロジーの本質とは、いったい何なのだろうか?現代のテクノロジーが向かう情報化、非物質化への流れを踏まえつつ、生命における生態系と同等なものとして、テクノロジーの活動空間を〈テクニウム〉と定義し、そこでのテクノロジーの振る舞いを、複雑性、多様性、自由、美、感受性、構造性、遍在性などの概念で読み解いていく。雑誌『Wired』の創刊編集長であり、毎月50万人のユニークユーザーを持つサイト Cool Tools も運営する著者が贈る、テクノロジー版〈種の起源〉。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
元wired編集長のケビンケリー入魂の書。あまりに自分にど真ん中なので下北沢のB and Bで開催された著者講演会にも参加してサイン本を購入してのゆっくり読書。IDとかに下手をすると落ちてしまうとても微妙なサブジェクトを、アメリカ西海岸楽天思想によって描いた作品です。未来を楽天的に見ようという意志であって、見方をどう設定すれば楽天的に見ることができるのか?という話なので、正しい話をするとかそういうことではないと思って読んでいるのが僕の立場。みうらじゅん名づけるところの「カリフォルニアの青いバカ」ってやつですな。それで、まあ要約なんてできるわけがないんですが、本書のアイディアの流れを一応示すと、技術っていうけど、これは自然界と異質なもの、対立したものではないんだよ。という話が一つ。つまり、原初の生命というのもテクノロジーなんだと。それで、じゃあテクノロジーの定義はなんなの?って言ったら、「自分の生まれた後に世の中に現れたもの全部」だと。それで、でも技術って世の中に悪いこともたくさんしているけどいいの?という問いに対する立場は、よくよく検証してみれば、技術入れたほうがちょっとだけいいんじゃない?っていう。技術悪いところたくさんあるけどそういうのは直していけばいいじゃん。みたいな。それで、技術に対してとても慎重な立場をとるコミュニティとして「刑事ジョンブック」とかに出てくるアーミッシュに対する取材に基づく観察が述べられている。それからユナボマー。あとソロー。まあもともとwhole earth catalogな人なので地球の論点とかスチュワートブラントな言及もたくさんありますよ。なので、singularity来ても大丈夫そこは天国みたいって思いたい人はぜひ読んでね。それ以外の人もぜひぜひ。面白いですよ。あと、服部桂さんすごい。とても読みやすい。値段以外は。