あらすじ
わか姉にこうされるの、何年ぶりだろ…。
どうしてここでお店を始めようとしたの?熱海の小さなクリーニング店を営む金目綿花奈さんは、二年より前の記憶はないけれど、明るくて働き者で温泉が大好き。以前の金目さんを知っているという少女。彼女はどんな目的で金目さんに会いに来たのか? そして金目さんは自身の過去と初めて対峙することとなり……。さらに矢柄さんから新たなクリーニングの依頼を受けることとなるが、それは思いもかけない品物で……。記憶(おもいで)を失ったクリーニング店主の生活ストーリー第7巻。
(C)2021 Mitsuru Hattori
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Posted by ブクログ
出会いと別れの季節を迎える7巻である。
前巻の引きとなった少女・糸織とのやり取りが前半に描かれていて、再会の物語はこの作品らしく丁寧に、そして淡々と(劇的になりすぎず)描かれている。
衝撃の過去との再会、といった風景ではなく、しかし糸織という少女がなぜ遠くまで出向いたのか、その心情に寄り添った物語はさすがだろう。
後半ではランドセルのクリーニングを題材にして物語が展開している。
まさにお仕事物の本領発揮というべき内容であり、実際にこうしたサービスはあるようだが、その内情が垣間見える興味深い物語である。
改めて「めっちゃ大変やん……」と知れたので、お値段高めでもきっと文句は言いづらくなるエピソードである。
シリーズでも一番に疲れ果てた金目さんは要注目である。
そして最後に置かれたのが、矢柄さんとのホテルニューアカオでの女子旅的宿泊。
教職に就く彼女の4月は出会いと別れの季節であり、物寂しい風情が漂う素敵なエピソードである。
描かれたニューアカオは実は刊行後の11月に閉館されていて、そのことも含めて味わい深いエピソードだったと思う。
今回も楽しく読ませていただいた。不動の星五つであり、アカオのエピも含めると星七つで評価したい巻である。
次巻は新キャラの登場が予告されていて、出会いと別れの季節はまだまだ続くようだ。楽しみに刊行を待ちたい。