あらすじ
唐代、治世の問題を真正面から取り扱い、帝王学の指南書となった『貞観政要』。幾多の戦乱を乗り越え、太平の世を現出させた太宗(李世民)が名臣たちと交わした問答を史家・呉兢が編纂。爾来、中国のみならず日本においても為政者たちが折に触れて立ち返る古典の地位を得てきた。「指導者の条件」「人材の登用」「後継者の育成」など、およそ組織運営に関わる人間なら必ず迷い、悩むであろう問題に古人はどのように臨んできたのか。本書には汲めども尽きぬ教訓が今も満ち溢れている。本文庫は明代の通行本(戈直本)を底本とし、全篇より七十篇を精選・訳出。
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唐代の名君の誉れ高い太宗(李世民)の言行録。
このちくま学芸文庫版は、全280篇のうち70篇のみを収録したダイジェスト的なものですが、「貞観の治」と言われた平和な時代の臣下達との問答から学ぶところが多い古典です。
日本においても徳川家康や明治天皇が強い関心を寄せた帝王学のテキストなのですが、あまりに面白いので連続2回一気に読み切ってしまいました。
まず、中国には諌議大夫という諫言専門の役職があったのが驚き。
中には諫言が過ぎて彼らを殺してしまう皇帝もいる中で、太宗は臣下の諫言を素直に聞き入れて、我が身を正そうとするのが素晴らしくもあり、微笑ましくも思えてしまいます。
そこいらのビジネス書では太刀打ちできないリーダーシップの教科書だと思いますが、以前読んだジェフリー・フェファー氏の「権力を握る人の法則」や「悪いヤツほど出世する」に描かれる現実のリーダーとのギャップがすさまじい(笑)
以下、備忘も兼ねて、印象に残った篇(タイトルは訳者による)とその中でもインパクトのあった原文を。
次は280篇の完全版を読んでみたいと思います。
・明君と暗君のちがい
君之所以明者、兼聴也。其所以暗者、偏信也。
・知りて寝黙するなかれ
唯唯苟過、遂無一言諫諍者。
・君は舟なり、人は水なり
君舟也、人水也。水能載舟、亦能覆舟。
・必ず極言規諫すべし
主欲知過、必藉忠臣。
・情を尽くして極諫せんことを欲す
公等亦須受人諫語。
・なぜ沈黙を守るのか
懐禄之人慮不便身而不敢言。所以相与緘黙俛仰過日。
・臣をして良臣とならしめよ
但願陛下使臣為良臣。勿使臣為忠臣。
・諫言をとがめるな
・地方長官の人選
・なんぞ人なしと謂わん
・忠言は耳に逆らいて行ないに利あり
忠言逆耳而利於行。
・流水の清濁はその源にあり
流水清濁在其源也。
・人道は謙を好む
凡為天子、若惟自尊崇、不守謙恭者、在身儻有不是之事、誰肯犯顔諫奏。
・言語は君子の枢機なり
・読書の勧め
不学牆面、莅事惟煩。
・政をなすの要は人を得るにあり
為政之要、惟在得人。用非其才、必難致治。
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帝王学の本。
物事を成すときと、成してからの振舞の違いについて、部下との問答形式で書かれている。
大変参考になった。
人と接する時には貞観政要に書かれていることをしっかりと実践していこうと思った。
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この本は大変ためになった。
部下に耳を傾けて、省みることの重要さが説かれていました。
天下を取った後に、
守りながら攻めて二代三代と続くためのコツが記されています。
北条政子も徳川家康も、
この本を熟読していたそうです。
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人を雇う立場になるにあたり、心得として本書を求めた。その立場になってしばらく経つが、折々に本書の内容が心に浮かんでくる。ことある毎に読み返し、行動の羅針盤として大いに活用している。
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古典の中では1.2を争う読みやすさ。
4コマ漫画を読んでいるような簡単、明快。
聞き慣れない古典だから敬遠しがちだが、考え方は今にも通用するものでスッキリするものが多い。
内容は専制君主が今でいう、不正の3要素を持ちながらいかに不正に流されないか、いかにすれば正しい道を歩めるかを記している。
李世民の心構えはリーダーをはじめ、誰かの上に立つ人として心得ておきたいものだと思う。
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唐の太宗(李世民)が臣下を交わした問答を史家・呉競がまとめた。
トップマネジメントのあるべき姿勢をまとめている。訳者によると以下の5点
・安きに居りて、危うきを思う
・率先垂範、わが身を正す
・部下の諫言に耳を傾ける
・自己のコントロールに徹する
・態度は謙虚、発言は慎重に
3番目はなかなか出来るようでできない。王だけでなく、部下がいる人には大なり小なり当てはまると思う。
王の言葉、行動を逐一記録する役人が居て、王はそれを検閲しないのが常だったらしい。太宗は生前にこれを提出させ、自分の宜しくない行状を更に詳しく書くように言ったとか。
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西の「君主論」東の「貞観政要」
ともに君主としての要諦を後世のためにに書き記したものではあるものの、「君主論」は他者を支配するのための書であり、「貞観政要」は他者を治めるための書、といった印象であった。
もちろん両方とも長年語り継がれてきただけあって名著である。なので、両方のエッセンスをしっかりと頭に入れておく必要はあるものの、今の時世から見ると「君主論」よりも「貞観政要」の方がリーダーの書として役立ちそうに思う。
本書は貞観政要の内容がすべて書かれているわけではないが、漢文書き下しの他現代語訳も用意されており、古典を読んだことがない人でも理解できる内容となっている。ただ、、例えば、出口治明さんの「座右の書『貞観政要』」などに当たると、より理解が深められるのではないか。
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隋が、40年程度の治世しか無かった事を参考に、約300年長安に都を置いて政治を行う基盤を作った、李世民とその臣下のお話。特に中国では既に紙が発達したこともあり、兄弟を殺害した皇帝として風評されるのを恐れて、自身の帝王として、後の世に名を残すまで善政を行った。トップとは?リーダーとは…適材適用、公平、委任、換言…こういうキーワードが本文中にもいくつも出てくるマネージャー必須。
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貞観政要の内容がわかりやすくまとめてある。
自分が感じたのは、平和な時にも緊張感を忘れない、
諫言を受け入れる姿勢を作る、といったところが重要か。
上に立つものは常に謙虚であるべきだ。
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人材集めの箇所
礼につくして、謹んで教えを受ける。これは自分より100倍すぐれた人材がくる。
頭ごなしに怒鳴りつけ叱りとばす。これでは下僕のようなものしかあつまってきません。
など、人材の箇所は気づきが多かったです。
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ビジネス系の雑誌でたびたび紹介される帝王学の名著。何度も登場するとなると気になる。
人事は大事、とか、ダメなところを指摘してくれる人がいる環境を持て、とか、上に立つ人は自分を律して、足るを知るということを覚えろ、とか(だいぶ平たく言っているので、本当はこの100万倍は含蓄がある)様々な教訓が大宗のエピソードと共に語られている。
別に人の上に立つ立場ではないけれど、良いことが書いてあるし、背筋が伸びるので時々、本棚から取り出して読みたい。語られる内容からは太宗の人柄が出ており、とにかく謙虚で実直で誠実。かといって、完璧な人ではない事もエピソードや解説を見るとわかる。それがこの本を「皇帝という遠い世界の人が身につけていた倫理観・哲学」ではなく私たちにも地続きの生き方と感じさせてくれるので、親しみやすく読みやすかった。
ジョウガンセイヨウという読み方も、今回、読んでようやく覚えた。内心「ジョウガン? テイガン?」とちょっと読み方で自信が持てなかったので、スッキリした……。
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唐の二代目太宗(李世民)が臣下らとのやりとりから政治の要諦を、呉兢が編纂したもの。太宗と部下との問答で、それぞれが短めにまとめられており、また本書は訳文の後に原文、書き下し文とも登載してくれているので分かりやすい。
名君の誉れ高い太宗は、勿論ある程度美化と言おうか、後世の人々に読まれることを意識されたところもあろうが、唐の時代がまだ成立して間もないことから如何に政治を安定させ、長期政権化させるのに苦心しているところが見受けられ、まとめられたのはこの文量であるが、太宗は政治について、どういう風に治世を行なっていくかをよくよく部下と語らっていることが滲み出ていよう。
単に政治だけの話しだけでなく、処世にも、自己を省みるにも用いられるべき本で、折に触れては読み直したいもので、是非とも今日の政治家にも読んで欲しいものである。
皇帝とは、孤独であるも諫言を許し、奢侈に溺れず人臣の鑑となるべきものなのだろうが、それはいかに難しいものであるかということは、歴史が語っているからこそ本書のような帝王学が未だ残るのであろう。
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唐は隋の煬帝、秦の始皇帝の悪政、漢の高祖のいい面悪い面を分析し、反面教師にしたから、栄えた。創業から事業継続へのスイッチもうまく転換した。1400も前の中国の国政が今に通じるのは、人間って思ったより変わってないってことか。
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リーダーシップについて普遍的な内容が書かれていて素晴らしいと思うが、恐らく実在の本人像を美化して書かれたのだろうなと思う。
これを読んでこんな聖王がいたのだと思い込むのはマンマとこの皇帝に騙されてます。
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部下の言葉に耳を傾ける、自らの欲望を抑える、など一つ一つの教えはシンプルですし特別真新しいものでもありません。
けれどこの貞観政要が説得力を持つのは、太宗がそれらを上から目線で語るばかりではなく、ときに踏み外しそうな太宗をまさに部下が諫め諭す姿がそのまま書き記されているところだと思います。
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リーダーシップについて学ぶために、古典の名著を選書。
中国史に名を残す名君(最高のリーダー)太宗が、
部下からおもいっきりダメ出しをされて、それを改めるという事例集。
ダメ出しを素直に受け入れる懐の広さが後世に名君として名を残すことになった。たとえ君主に昇り詰めたとしても、そこからの平安〜繁栄は未知の領域。
名君太宗が部下から辛辣なダメ出しを受けたり、葛藤をする様は、親近感があり、命を賭けた部下のダメ出しは説得力のある内容となっている。
1400年前から人間は大きく変わっていないな、と思った。
自分の自制心だけで自分の欲望を制御したり、
問題に気づく事は難しい。
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唐の時代、平和な世の中を実現させた太宗の、家臣たちと交わした議論や問答が収められた本。文庫サイズでコンパクトながら読みごたえは十分。
この手の本は、読むときが変われば響く場所も変わる。社会人になって間もない頃に読むか、中堅になってからか、管理職に近いポジションになってからか、その時々で面白いと思える場所は異なる。なので、本棚のすぐに手に取れる場所に並べておいて、都度、パラパラめくるのが良い。
今の自分にとっては「第二章 諫言の機微」と「第三章 人材の登用」が面白い。人を率いる立場になれば、もっと後の章が役に立つのだろう。
「人を統べ、導く立場の人」にとって有益な内容が主だが、若手人材でも読めば学びになる部分は多い。原文(漢文)と書き下し文、解説のほかに、ものによっては詳説まで載ってるので、気軽に読めるのもプラス評価。
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帝王学の教科書ということで読む。これが出る前は書経か教科書だったという。
唐の太宗による問答集。
太子の廃嫡と高句麗出兵は誤り。
昔から優秀な人材をいかに集めるかが大切だと認識されていた。
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部下の進言・諫言をよく聞き、受け容れることが上にたつものにとって極めて重要である。また、部下たるもの上司に迎合するのではなく進言・諫言することが重要な仕事である。とてもわかりやすいことながら、果たして実行されている組織は多くあるだろうか。
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好きな部分
保持維持は天下を取る時とは異なる思想が必要
身の破滅を招くのは、その人自身の欲望が原因
明君は臣下からの進言に耳を傾ける
長期の野望をいつの時代でも必要
人使いのコツ「短所を見ずに長所を見よ」
政治を安定させる根本は人材を得ることにある
自分の気づき
まだまだ会社では上の立場では無いが、下の立場の振る舞いに気づきを得た。つい思考停止で上の言われたことをやるが違う。違うと思ったことはちゃんと進言しなければならない。自分の立場はどうなってもいい。組織がそれで強くなるなら。
また自分が正人にまだまだ足りないことも気づいた。
器ちっちゃいなって。裕福な時大きなgiveした記憶無いし、自分より凄い人を登用した経験も無い。"上の者"の道は遠い。
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読書会課題本。唐朝の大宗とその重臣たちとの対話をテーマ別に記録したもの。日本では「帝王学」「政治哲学」として、平安時代から読みづがれてきた古典。本書はその解説付きの抄訳である。しかし、時代遅れな感は否めない。
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明治天皇や徳川家康もこれを読んで帝王学を学んだと言われる貞観政要
唐の皇帝・太宗、素晴らしい方!
隋の煬帝、秦の始皇帝など暴君と呼ばれる帝たちの失敗をいつも心に留めて、自分もそうならないようと努め、公平であろう、誠実であろうとし、人民の平安を一番に考え実行しようと努力。
自分のことはわからないから、意見を聞かせてほしいと側近の意見を聞いて反省したり。
子供への教育についても語られ、全てにおいて勉強になりました
こんなに立派でも、息子の代で大変なことになってしまい、とっても残念
Posted by ブクログ
翻訳部分だけなら実質100ページ程。「指導者の条件」「人材の登用」「後継者の育成」などの観点で、唐代の名君と名臣の間のやりとりがまとめられている。印象的だったのは、リーダーの(開かれた方向への)欲望の再開発、いつでも謙虚であること、部下の進言を促し進んで受け入れること、ストレートに言うだけでなく婉曲にほのめかす程度の方が説得力が増す場合もある、短所を見ずに長所を見よ、李克の人物鑑定法、リーダーは発言の影響力大なので失言があってはならない、など。
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唐の太宗と名臣の政治問答集。
諫言の重要性。懐深くそれを受け止める。後継者育成に失敗する太宗。育てようとしたが、策謀好きになってしまい、凡庸な方を選ぶ。
皇帝は船で、人民は海だ。疎かにしてはならない。
礼を尽くして相手の言うことを聞くことで、名臣が来る。
公平に相手に対する。
率先垂範。
謙虚に、発言は慎重に。
自己コントロール。
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トップは孤独。その中でも無私であること、常に謙虚に諫言をされやすく、受け入れる器の重要性を説き続けている。人間の器とか人格といったことは研鑽を積み重ねなので、磨いていきたい。