【感想・ネタバレ】告白のレビュー

あらすじ

人はなぜ人を殺すのか――。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最初の一歩で躓いた人間なんだと自暴自棄になり、しかしその躓きは自分の思い込みで、自分は思い込みに怯えて人生を棒に振ってしまったのではないか

こここそが引き返し不能地点だ、と思っていたところは実は楽勝で引き返せる地点だった

行き止まりだと思ってぶち当たった壁は紙でできていて、その先には変わらぬ世界があった

もしや自分は取り返しがつかないことをしてしまった、もう元の自分には戻れないぞと気づいた瞬間の沈んでいくような恐怖と、それでも世界は終わってくれないということに対する驚愕に近い絶望感
最後の山で過ごした熊太郎の心境を想像すると切なくなった

思弁的な熊太郎、何を考えているのか読者は知っているし、こいつおかしいぞと思うところもあれば普通で常識的なところもある、むしろそっちの方が多いということもわかる。共感もできるし村民の中では一番こちら側に近い人間だとも感じさせる
ただ、その熊太郎の思弁を知らない村民からしたら、熊太郎はどんな人物に見えていただろう
大量殺傷事件を犯した人の中にもしかしたら熊太郎のような人間がいるのかもしれないと思うと怖い
境界線というのがやっぱりわからない…

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

19世紀末に実際に起きた殺人事件をモデルに、殺人犯となった一人の男の生涯を描く怪作。圧倒的なボリュームで「人はなぜ人を殺すのか」が描かれる。
主人公の熊太郎は自分の思考を言語化することがとにかく苦手で、幼少期から大人に至るまで他者とのコミュニケーションを上手に取ることができない。決して頭も性格も悪いわけではないのに社会の中で生きづらさを感じている。現代でいうところの発達障害のような描かれ方だが、当時は誰にも理解されない。そんなわけで、熊太郎はろくに働きもせず博打ばかりに日常を費やしている。
そんな男が大量殺人に至るまでの過程を、圧倒的な心理描写で描き切る。作品全体を通じて河内弁の独特の文体が徹底されており、重いテーマのはずなのに滑稽かつ虚無的な独特の雰囲気を作ることに成功している。読んでいる最中に、何度も爆笑してしまった。その分、終盤のシリアスな殺人描写、ラストの熊太郎の慟哭が際立っている。

読み進めるうちに、熊太郎にとても共感してしまった。以下は、特に共感した場面。
○p.490
『道を歩いていて突然、暴れ込んだときの自分の台詞を思い出し、「あ。うーん」と呻き、両手で顔を覆って畦道にうずくまったりした。或いは、大きな声で、「えべらぼんべん」などと意味不明のことを口走るなどした。』
↑の熊太郎のように、自分自身も過去の嫌なことを思い出した時に突発的に叫んでしまうことがよくある…
○p.723-724
熊太郎が殺害を決意する心理描写にもとても感情移入した。自分自身、前職の職場の上司を心底憎んでおり、生きる価値がないと思っている。「殺す」はないにしても、未だに「死ねばいい」と常々思っている。熊太郎が松永家に対して「悪の芽はこれを摘んでおかなければならない。正義のために。殺す。」と決意するが、自分も全く同じことを元上司に思った。パワハラするやつ、それを容認するやつ、軒並み社会から淘汰されるべきである。

このように、社会の中で失敗した経験や抑圧された経験を持つ人には圧倒的にブッ刺さる作品だと思った。ただし、本作の最も凄いところはそうした恨みの感情を爆発させたところで、下記のように虚無に終着することを描いている点である。
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曠野であった。
なんらの言葉もなかった。
なんらの思いもなかった。
なにひとつ出てこなかった。
ただ涙があふれるばかりだった。
熊太郎の口から息のような声が洩れた。
「あかんかった」
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復讐を単純に美化しているわけではない。
読者に対して「恨みは終わらせないといけない」ことも描いている。まさしく、何度裏切られても「人の正義」を信じ続けていた熊太郎のように生きないといけない。

とにかく凄い作品だった。「平成を代表する一作」と言われることも納得。

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2026年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

結局、熊太郎の怠惰が招いた結果では…?となってしまい、あまり感情移入はできんかった。松永一家の行いが酷いのはもちろんなんだけど(やったれ!と思ってしまった。子や奥さんまでは納得いかないけど)、結婚後も碌に家におらず家族らしい行いもせずなら…他の人に心が移るのも仕方ない。勝手に神様だと理想を押し付けて、理想から外れたら殺すのは身勝手すぎる。

後半の怒涛の描写は好きだった。覚悟を決めて穏やかになってる2人の描写や、「平たい土地に松の木が生えている〜」の文章特に好き。分かります。1番好きかもしれんこの文章。

独特な理屈の中に、ちょっと分かるなあみたいな部分もあって、同情はできないんだけど、遠くもない話だなと思った。

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても長い小説で、途中中弛みして諦めそうだったけど、700ページからの怒涛の展開がスイスイ読めた。
「あかんかった」

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2025年08月09日

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